ブラックバード 家族が家族であるうちにのレビュー・感想・評価
全46件中、21~40件目を表示
やるせなさと哀しさではち切れそう。
尊厳死の合理性と早過ぎる死の狭間に横たわる哀しさを描いた、97分の佳作は英米合作。ノマドと言い、コレと言い、老いや死の問題を主題とする作品が最近増えた印象あり。特にこの2本は文学的。数年前は家族愛全盛だったけど。世間の興味が、どこにあるのかを考えての映画製作なんだろうし、それが故に「時代を写す鏡」なんて言われるんかなぁ。なんて事を考えてしまいました。
ノマドは何かから逃げながらも、仲間を求めて彷徨う話。こちらは、家族を守るための最良の手段として自死を選んだ女性の話。
身体はボロボロになって、治る見込むは無く、ただただ苦しみながら死を待つだけの状態なら。恐らく誰もが「もう楽になりない」「早く楽にしてあげて」って思うだろうに。
まだ自力で歩ける肉親が死にゆく様を見届ける哀しさたるや。
逃れられない病魔が自分自身を蝕み、家族へも苦痛を与えるだけだと考えれば、そうなる前に。それも、究極の合理的配慮と言える、ってのは分かるんですけどね。
合理性だけじゃ、人は幸せになれないよ、ってのもあるわけで。
やるせなさと哀しさではち切れそうになる映画だった。
「やすらぎの森」「秘密への招待状」と「死に方の話」を比較的短期間で鑑賞した上で思うのは、下手な邦題をつけるのは止めるべきだ!ってのと、今はまだ、今日を生きることを考えよう。
良かった。かなり。
不協和音
大円団で終わるはずの安楽死が、登場人物それぞれの抱えている問題で、変な方向に向いていくというストーリー展開は非常に面白かった。
他のレビュアーさんが、彼女の病名がALSと書いていたが、だとしたら、安楽死の決断は早すぎじゃないかな。
【”私たちの愛は、永遠に繋がれる・・。” 人生の黄昏時を如何に有意義に過ごし、潔く身を処すか・・。深く、重いテーマを名優達がユーモアを交えつつ、演じています。】
ー 舞台は明らかになっていないが、安楽死を認めていない地である事は、直ぐに分かる。ー
◆半身不随のリリー(スーザン・サランドン)と夫ポール(サム・ニール:良い味を出している・・。)の住む瀟洒な家に長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)一家と、二女アナ(ミア・ワシコウスカ)とパートナー、クリス(ベックス・テイラー=クラウス)そして、リズ(リンゼイ・ダンカン)がやってくる。
”リリーに最期の日々を楽しませるために・・”
ー 出演俳優さん達の陣容が、凄い・・。ー
<Caution! 以下、内容に触れています。>
◆感想
・集った人たちが、リリーの選択を許諾して集まった筈なのに、徐々に不協和音が鳴り始める。
そして、冒頭、リズがやって来た事に対するジェニファーの態度。
・女王の様な、リリーの勝気な性格も随所でさり気なく描かれる。
ー ”良いの、一人でやれるから・・。””雰囲気を壊さないで頂戴!”ー
・何故、リズは家族でもないのに、昔からこの家の様々な催し事に参加しているのか・・
徐々に膨らむジェニファーのリズへの不信。そして、まさか父と共謀して・・。広がる不安感。
ー この辺りの家族の描き方が、尺の関係もあるのだろうが、やや粗い気がする。ー
・大家族の朝食風景が良い。余命幾ばくもないリリーが、”主の席”から”ベーコン取ってよ”と大皿からベーコンを皿に乗せたり、ポールがスペアリブ塊肉に、念入りに肉汁を掛けていたり・・。
ー 食は、家族を繋ぐ大切なモノである。ー
・楽しい、季節外れのクリスマスパーティ。最初は、穏やか且つユーモラスに進むが・・。
本音をズバズバ言う、ジェニファーが、母の選択に異を唱え、アナも・・。
・別の場で、アナの秘密にも、ジェニファーは突っ込むが、パートナーであるクリスが語ったアナの真実に、誤解だったことを理解する。
<ベッドに横たわり、クスリを飲むリリーの両脇には、全ての確執を乗り越えたジェニファーとアナが彼女を支えている。
そして、真正面には、理解ある夫ポールの姿。
見事な人生の末期の処し方であろう。
けれど、私たちは、その行為は家族の理解があって出来る事だという事を、忘れてはならないのである。
そして、その家族を長き年月をかけて育てて来たのは、リリーであり、ポールなのである・・。>
<2021年7月18日 刈谷日劇にて鑑賞>
極論が伝える家族の在り方。
頭でわかってても、自分で自分をわからせたとしても、魂まで理解できるものではないよな。家族については。
本音を言いあい、尊重して、理解し合い、抱き合い、許しあい、認めあい、受け入れあう。
最後の最後に家族らしくなるというのは、ゴールががみえたからなんでしょうか?ならば皮肉ですよね。けど、そうありたくはない。
人間はいつ死ぬかわからない。逆にいつ死んでもおかしくない。老若男女問わず。、ならば、明日が、明後日が、いや、2時間後が自分や家族にとってのラストタイムなのかもしれない。ならば、悔いなく家族として生きなければならない。、日頃から、、。
ってことを言いたいなだろうと思います。
命の尊厳とかに議論が集中しそうな攻めた内容だが、家族って?ってお話なのだと思いたいです。極端なお話ですが、、、けど、考えちゃうなー。
大好きな系統
見ておいて本当によかった!
「8月の家族たち」好きとしては
最高に好きな作品だ!!
みんな良かったのだけど特に
スーザンサランドン
ケイトウィンスレット
ミアワシコウスカの演技合戦がよかった
アナのことはとにかく抱きしめたいほど、
それほど愛おしく魅力的でした
ジェニファーとその家族含めの解決は
少々雑に感じなくもなかったですが
ケイト・ウィンスレットの
嫌な長女、母親役が中々だった。息子の事を枠にはめている所、自分が納得できない事を許せず人にガンガン聞いたりする所など。多分この状況の中での不安がそういう態度に出ている。
人はいずれにせよ死ぬのだから、選べるのはいいことかもしれない。
しかし、自分の死後も生きていく人がいる。
死ぬ事を選べるのだからこそ、残される人たちへの思いを伝えられる。
人々に課された課題は大きすぎる…。
安楽死を取り扱った作品。
集められた家族は、家族の心の隙間を埋めるように、別れの瞬間を引き延ばそうとするかのように、ひとつの時間を過ごしていく。
会話は移ろい、歌声はそぞろに響き渡る。
抑えきれない感情が噴き出し、やりきれない思いは行く宛を失い、刻一刻と時間は過ぎ去っていく。
安楽死とは、人権に基づく個人の権利なのか、それとも犯罪なのか、そもそも、それを判断できる人間は存在するのか。
ストーリーは、その考察をも拒むように、ただただ進んでいく。
科学万能の、この現代に、人々は、これをどう判断するのか?科学は本当に人類を進化させているのか?
時代は虚ろに漂い、科学は人の心をはかるには、心もとない。
神の領域に踏み込む時、人は何を心の中心に置くのか?神なき時代に、人々に課された課題は大きすぎると言えるのかもしれない。
彼女たちの選択は間違いじゃない
スーザン・サランドン×ケイト・ウィンスレット× ミア・ワシコウスカ。
不治の病から死を決意した母、そして彼女と最後の週末を過ごす家族、そして友人たちの物語。
自ら命を絶つのも、それを知っていて止めないのも違法なのだろうが、彼女たちの選択は間違いじゃないと思った。
ウィンスレットがある意味嫌われ役。空気が読めない無神経なかき回し役を演じた。家族の中にくすぶっていたわだかまりに波風をたて一掃した。
そう、これは家族の再生の物語でもあった。
清々しいエンディングだった。
傑作だった。
安楽死を決めた人は、知的で冷静で完全に抑制されている
「安楽死を決めた人は、知的で冷静で完全に抑制されている」 これは、医師でもある主人公の夫が劇中で言う言葉。その夫は、ALSで弱っていく妻の「安楽死する」という決断を尊重している。妻が望むとおり、最後の3日を家族集まってのパーティや散歩で楽しく過ごそうとしているのだが、それでもその折々に、夫をふと襲う限りない悲しみが、抑えた演技で印象的だった。
上に書いたように、基本的には最後の3日を夫婦と、娘二人とそれぞれの家族たちといっしょに楽しく、あるときは賑やかに、またある時は静かに過ごすというだけの映画。だが、退屈はしない。「安楽死」 という、ひとつの極限状態で、あらためて沸き起こる家族同士の思い。とくに母と娘姉妹の間にあった微かなわだかまり。母が娘たちに日ごろからあけていた言葉、それを娘はどう受け取っていたか。日常を続けていただけでは、きっと言わずに終わった事々が、強制的に期限を切られたことで思わず表面に現れる。それは、観ているこちらにも、普段は考えきれないそうしたことを、思い起こさせてくれる。
そんな映画でした。素敵というか、価値のある映画でした。
最後の展開に不快感…
人間らしい生き方を尊重し自死を選択した女性とその家族が最後の団欒の時を過ごすというあらすじで、スーザン・サランドン演じる主人公・リリーの肝っ玉母ちゃん振りが良い
日本人的感覚では少し理解し難い点もあって、若干モヤモヤする部分もあるけど…
家族の在り方って様々だなぁなんて、考えさせられると同時に、最終盤の展開は冒頭からの暖かい気持ちをぶち壊された気分に…
それにしてもサム・ニール演じる旦那は、良く言えば理解ある優しい旦那なんだけど、自分にはただの恐妻家の頼りない旦那に見えて仕方ない…
特に最後のリリーの親友リズとの関係に至っては、おいおいそれはないだろ…
死期が近い嫁さんを立てているだろう事を差し引いても、あれではまるで使用人だよ
身近な題材だけど重い。
家族と病気に老いと安楽死。どれも身近でいつ我が身に降りかかるかと思うといろいろ考えさせられる内容だったなー。母に同調出来るも家族としてはね…。アメリカらしいと思うのは愛人問題やはっぱ。何事も意志はっきり。それにしてもケイト・ウィンスレットは何にでもなりきっちゃうんね、さすが名女優。
最後の朝焼けに
病気の為安楽死することを決意したリリーと、その家族がそれぞれの想いを胸に最後の週末を過ごすが・・・といった物語。
かなりクセありの2人の娘、ジェニファーとアンナは、母の決断に対し意見が真っ向対立。最後の時を楽しみたい母の前でも取り繕うことは難しく・・・。
更にこの家族にはある秘密が・・・!?
家族の在り方と安楽死について考えさせられるドラマ。
意見は180度逆でも、根底の気持ちは不思議と同じ方向。気難しい2人だけど、それも母を想うからこそなんですよね。
楽しく穏やかに過ごしたいリリーにとっては思いがけない展開だけど、寧ろこれでスッキリできたのかな。
ちょっとダメだけど、気の優しいマイケルや、悲しくも優しい笑みで頷くジョナサン等々、脇を固めるキャラにもグッとこさせられたし、大切な人を想う気持ちの暖かさ、難しさを考えさせられる作品だった。
因みに、タイトルのブラックバードって何を意味していたんでしょう?(確かに飛んではいましたが)
そして、この作品を語る上で外せないのが、安楽死について。
語弊のある言い方かもしれませんが、これが心の拠り所となって、穏やかに過ごせたり、寧ろ頑張ろうと立ち上がれるってこともあるんじゃないかなぁと思うんですよね。
勿論誰にでも簡単に適応、と言うわけにはいかんと思いますが。
望まない延命の技術開発に躍起になるよりは、命に直接関わらずとも辛い病気の治療方だったり、こういった話の方面を整備したり・・・ってことが大事なんじゃないかな、なんて思ってしまうのです。
深いわー、
この母親の場合、
きちんと考えたし話し合ったし、逝く側の主体でいいと思うねん。
ええねん、自分の命やねんから。
ただ、遺される側も自分主体で考えちゃうのも致し方ないよな…。
でも、しゃーないねん。
生きてる側は時間が解決してくれるねん。
まだ見えない未来があんねん。
病気から自死を選んだ母親を中心にその家族のお話。
海辺のステキなお家での、ほんの数日間だけを描いているんだけど、良く出来ているなー。
また、役者の演技が、どの人も良いんだよね…。
母親が強くて、周りが出しゃばら過ぎずに、でも、きちんと主張しているバランスが素晴らしい。
これは、脚本と演出と役者の力が上手くハマってなし得た佳作だわ。
ジワジワと余韻で感動する。
名優の演技合戦は見応え有り
尊厳死というシリアスなテーマを名優たちの安定の演技合戦で最後までじっくり見れました。
2014年製作のデンマーク映画のアメリカ版リメイク作品です。
日々症状が悪化する自覚症状から安楽死を自ら望む妻、看取る医者の夫、妻の親友、娘姉妹とその友人家族、
最後の晩餐に集められて穏やかな時間を過ごせると思いきや過去の想いや誤解が次々と・・・・。
「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドン、「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレット、
「ジュラシック・パーク」シリーズのサム・ニール、名優競演で楽しめました。
致命的な状態になる前に自分の意志で眠るように人生を終わらせる。将来の我が身に置き換えて見るのも興味深かったです。
【リアリティについて】
2年以上前に、この作品を観ていたら、印象は全然違うものになっていたかもしれない。
なぜなら、約2年前の2019年6月、ある日本人女性の安楽死を取り上げたNHKスペシャルを観たからだ。
だから、この作品を観る前に、このレビューは読まないで欲しいし、もし観賞後であっても、ストーリーに心を揺さぶられた人も読まない方が良いように思う。
このレビューは、僕の備忘録だ。
そして、スコアも参考程度だ。
NHKスペシャルは、身体の自由や機能が失われる神経難病に犯され、耐え難い激痛はそのままに、いずれは胃瘻と人工呼吸器が必要になると医者に宣告され、自殺未遂を繰り返す日本人の女性が、スイスで安楽死を遂げるまでを追ったドキュメンタリーだ。
スイスは厳格な審査を通過すれば、外国人にも安楽死を認めている。
葛藤を重ねる家族は、自殺も厭わない彼女の願いを受け入れざるを得ないと決断する。
最後まで反対する妹もいたが、スイスに駆けつけた他の姉妹に見守られ、医師が最終意思確認をした後、自ら点滴に薬物を注入するボタンを押し、眠るように一瞬で逝くところまで放送されたのだ。
生と死の境目なんて、こんなものだったのかと感じるほどの、呆気なさでもあった。
NHKには、多くの批判が寄せられたらしいが、医療技術が大きく発達して、なかには激痛や心痛を伴いながら、死はもうそこにあるのに、無理矢理生き続けなくてはならないという、矛盾があるのだと改めて認識させられる。
見守る姉妹に丁寧に感謝を伝え、最後に自ら点滴に薬物を流し込む場面は、今でも僕の脳裏に焼き付いている。
答えは出ないままだが、厳格なルール管理が行えるのであれば、安楽死は選択肢としてあっても良いのではないかと思わせられる。
もし、NHKのオンデマンドと契約があって、興味があったら、一度観て欲しいテーマだ。
日本の法律で、こうした最後を遂げた人の遺骨の持ち込みは認められていないらしく、スイスの川に散骨されていた。
さて、映画の方は、葛藤する家族の問題も明らかになり、安楽死そのものもそうだが、家族の物語でもあることが判る。
また、社会として、家族として、安楽死を考える機会にはなるかもしれない。
だが、あの圧倒的リアリティを見せつけられると、複数の場面で、どうしても迫るものなど物足りなさを感じてしまうのも現実だ。
そんな特殊な理由があって、こうしたレビューになりました。
僕は映画ファンだが、映画にも描ききれないリアリティが厳然とあるのだと改めて感じてしまったところが、少し寂しかった…かな。
死を選択する権利
劇中では語られないものの、ALSと思われる病が進行し、動けなくなる前に自死を選んだ母親。その夫と、週末にその家に集まり死を見届ける娘二人、長女の夫と息子、次女とそのパートナーの女性、母親の長年の親友。映画はこの8人の登場人物だけで描かれる。
あらかじめ聞かされて同意していたとはいえ、死の前夜に行われたクリスマスパーティから各人の葛藤が少しずつ見え始めていく。だが、死を選んだ当人の決意は揺らぐことがない。そこに、決して仲が良かったとは見えない姉妹の葛藤と対立や、ある疑惑が絡み、当日を迎えることになる。
わたしだったらどうだろうか。
わたしがもし難病でいずれ苦しみの果てに死を迎えると分かったのなら、そして今ならさほど苦しまずに死ぬことができるのなら、たしかに今、自らの意思で死を選ぶかもしれない。今なら大切な人たちに囲まれて、幸福な思い出だけを胸に逝くことができる。
けれども、わたしが自死を選んだ身内の死を看取る側だったら、はたしてなんの蟠りもなく送ることができるだろうか。最後には納得するしかないにしても、逡巡せずにいられるとは到底考えられないように思う。
自らの死を選ぶ権利が認められている国は少ない。劇中でも、その扱いは州によって異なり舞台となる州では認められていないことが語られる。
ただし自死を選ぶというのは幸福の追求でもあり、自己決定の権利とともに人権の一部と考えることもできる。仮に身内が病苦の果てに、自分で死ぬことができず殺してほしいと望んだ場合、手を下すことができるだろうか、という問いにも繋がる。
実際にそのシチュエーションが訪れた時にどう考えるか。立場が逆ならどう思うか。軽々しく答えの出せない問いを突きつけられるような作品だった。
なお、タイトルの「ブラックバード」については、劇中特に言及がない。夢占いでは(自分もしくは身内に)大きな不幸が訪れる暗示と解釈されるようだが、それだろうか。
死ぬ日を決めたら、死が怖くなくなった。
死を目の前にした祖母の元にあつまった、久しぶりに会う家族。取り乱していないリリーを映すことで、夫と友にこの決断に至るまで、どれだけの葛藤を繰り返し、落ち着きを得たのかが、画面からヒシヒシと伝わってくる。当の本人が(表面上だけでも)一番明るく振る舞う光景の、痛々しさとすがすがしさの共存する空気のやるせなさ。家族に囲まれて死ぬ幸せ、自分の死に時を選ぶ勇気。ここにあるのは倫理でも法でもなく、一人の人間の死ぬ権利なのだ。
ずっと"人間の尊厳とは何か"、を問いかけてくる。
果たして自分が自分の死期を知った時、どうなるのか。
リリーのように、気高く逝くことができるのか。
少しでも生を永らえたいと縋るのか。
自分の家族は許すのか。
そもそも自分の家族は、みな自分の味方なのか。
まるで生前葬のようなお別れの会をすべきなのか、黙って逝くべきなのか。
この家族が、正解、なのか。
ずっと、ずっと問いかけくる。自問し、自責が襲い、困惑がこびりつき、羨ましさや、懐疑や、あきらめの感情が錯綜する。そして、この家族の混乱と行く末を見守りながら、自分の終活のサンプルを見届けたような気分になった。
単なる家族賛歌じゃないかと思ったが、個人的に、制作にイギリス人が混じってる(米英合作)時点で信用し、その期待通りだった。「くっついたり離れたりは、本気で愛してないか、本気で愛しているか」とか、「自ら安楽死を選ぶ人は、鬱などではなく、知的で明快で分析的である。」とか。
TO WONDERFUL LIFE
もうすぐ死ぬことを覚悟した母親とその旦那の家に集められた、それを知る娘達家族と母親の親友が過ごす週末の話。
医者である夫と病気を抱えた妻という夫婦に長女とその家族、次女とそのパートナーが心の内に抱えたものがありながら交流していく。
死生観は人それぞれ、倫理がどうとかいうのかも知れないけれど、自分には非常に共感出来るその選択。
そして、それを受け入れる、受け入れようとして共に過ごす家族達。
悲しく温かい展開だけど、それだけでドラマとしてこの尺をどう埋めるのか…と思っていたら、気持ちを読み過ぎ主張をし過ぎ、少し揉めたり、引っ掛かっていたものが顕著になったり、議論をしたり。
既視感のある部分もあったけれど、悲しい中にも下ネタや悪ふざけの様なやり取りがあり面白かったし、色々と考えさせられた。
感動とともに考え込むあまりに深い物語
テーマは安楽死。生死を彷徨う最中の決断ではなく、侵された病魔に迫りくる五体不満足な日々を超えたその先の死という人生ではなく、自ら旅立ちの日を決断し、親族を集め最期の濃密な3日間を過ごすという選択肢。受け入れたその瞬間を愛する家族がどう迎え入れるのか。感動とともに考え込むあまりに深い物語
全46件中、21~40件目を表示