「多少わかりにくい点もあるが、今週では1~2番手。」ブラックバード 家族が家族であるうちに yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
多少わかりにくい点もあるが、今週では1~2番手。
今年61本目(合計127本目)。 ※まだ書いていないのが大量にあるので実質的には70本目くらい。ぼちぼち書いていきます。
いわゆる安楽死をテーマにした映画です。日本ではきわめて特殊なケースで起訴が見送られる程度(医師が、倫理的に許される範囲で行ったもの)で、日本では基本的に、自分1人でやるならまだしも、今回のように家族まで巻き込むと、家族まで事情聴取を食らう内容です。
それだけなら話は簡単なのですが、この家庭には色々隠れた事情があり、話を複雑にしています。もっとも、単純に安楽死を扱う「のみ」では120分近く持ちませんから、そこはひねりを入れても良いかな…と思います。
PG12ですが、多少なりとも不穏当な表現(薬物乱用を惹起させる表現)はありますが、意味のよくわからない「大人の営み」が突然あるようなシーンはなく、PG12の中では比較的穏やかなほうで、日本でも安楽死を認めるか否か、色々議論が交わされているところですが(もっとも、今現在はコロナ事情なのでそれどころではない)、「安楽死の是非」だけでなく「本人の決定権」といった内容も裏に隠れているので、(お話自体は架空のものであるようですが)この1週間迷ったら推せる内容かな…と思います。
ちなみに、タイトル名「ブラックバード」は blackbird(s) で、そのままの意味しかないようです。大英和を引くと「((やや差別的表現)として)黒人」という意味が掲載されていますが、それではないはずです(文化的な伝承の言い伝えなどかなと思って調べたのですが、結局出てきませんでした)。
さて、さっそく評価に入りましょう。下記の通りで、4.7を4.5まで切り下げています。
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(減点0.3) 文法的に無頓着な点が結構目立ちました。ここは残念…。
「私には誇りに思える娘が(2人)いる」という部分が I have two kids that I'm proud of. となっていますが、英文では「前置詞で終わる文は標準英文法からは外れる」扱いです(句動詞などは別)。
この場合、あくまで標準英文法は I have two kids of whom I'm proud. で(関係代名詞thatの前にはいかなる前置詞も置けない。ここでは(人を先行詞にする)目的格の関係代名詞が来るので、whomが正しい(whoでもダメ))、このミスが結構目立ちます。まぁ、意味は理解できるのですが、この語法は標準英文法からは外れており、ちょっと…とは思いました。
(減点0.1) PG12の映画で、上記のように薬物乱用を惹起する内容が出ますが、PG12である故に表現も中途半端になっており、何がどうか微妙にぼかされていて、ちょっと消化不良かな…という気はします。もっとも、あまりに過激に描きすぎるとR15以上になるので仕方なしともいえますが、ちょっとわかりにくいです(楽物乱用、精神疾患などに関する基礎的知識はないと、それ前提の字幕になっているし、それが「単なる安楽死を扱った内容ではない」という「ひねりの部分」にかかってくるので、置いてけぼりにされるところがあります(上記の通り、PG12どまりなので、表現が中途半端。かつ、大人の営みなども出ないので、前提知識(薬物乱用、精神疾患など)がないと、なぜPG12なのかわかりづらいところが結構あります(字幕も巧妙にぼかしている))。
(加点0.1) このストーリー、登場人物は、その家族の一家と関係者くらいで、あわせても10人もいません(俗にいうエキストラとかという人は誰一人登場しない)。そのため、「誰が何かわからない」という類型はおよそ存在せず、「理解のしやすさ」(登場人物が多すぎて混乱する)類型は存在せず、この点は「わかりやすい」という点で(薬物乱用を扱った内容で、その説明が少ない、という指摘とは別)、加点対象にしました。
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