「後半30分くらい。 呼吸、止まります。 ご注意を。」劇場版 呪術廻戦 0 washikaoさんの映画レビュー(感想・評価)
後半30分くらい。 呼吸、止まります。 ご注意を。
アニメはすべて視聴、原作は渋谷事変の冒頭まで、あとはまだ未読です。
以下、率直な個人的感想です。
後半30分くらい。
息ができません。
呼吸、止まります。
覚醒した乙骨憂太の戦闘シーンがとにかく最高でした。覚醒後のキャラ変がちょっと過ぎやしないだろうか。
制作されたMAPPAさんの特徴がよくわかる作品。
全体的には色彩が独特。どうやってあの色味を出してるんだろうと興味津々です。特に冒頭の夕方なのか夜なのかわからない雨のシーンは鳥肌もので、乙骨が五条悟と出逢うシーン、音楽も壮大で鳥肌が止まりませんでした。
心残りだったことを少し。
全体的にサービスショット満載なので、内容が雑多。原作の良さが映像として反映し切れていなかった気もします……。乙骨×里香がお互いにお互いを想い合う馴れ初めや、乙骨が自身の不遇に悩み苦しみ、覚醒するまでの流れがやや大雑把な印象。ここは演出のセンスが問われるセクションでしょうか。リアルな苦悶の表情などはとても良かったです。少し怖かったけれど。
情緒的に描かれていた(感じを受けた原作)部分も、『間』がないため慌ただしく感じてしまい、原作で熟考されたであろう台詞やネーム割りがラフ(軽め)に見えてしまったのは、もったいなかったと思います。
『失礼だな。純愛だよ』との乙骨のキザな名台詞も、俯瞰からの画角により虚ろな目(素敵✨)と、どんよりした表情(素敵✨)がよく見えなくて、正直……フリーズして悶えました。原作では、あのコマが一番好きだったもので。はは。
後半30分くらい、あまりにもスピード感がありすぎて呼吸を忘れてしまうほど。もう少しスローテンポな余韻があれば、ラストの『逆夢』(by,King Gnu)への流れが素晴らしく活きたかなと生意気にも思っています。
心残りを少しと書いたのに、けっこう書いてしまいました(汗)ですが、何回でも観たくなる作品であることには間違いないです。
クレジット多数(2曲分!)で、プロモーションも多く、大大大ヒットは間違いない。東宝の本気さが凄い。
全体的に『愛』と『呪い』がテーマの作品ですが、愛を歪んだ呪いだと言う五条悟の台詞がすべての伏線になっているように、乙骨憂太×祈本里香、五条悟×夏油傑の形は違えどもそこにある確かな『愛情』が随所に散りばめられている、とても素敵で残酷な作品でした。
たぶん、あと2回くらいは確実に観ると思います。何度も観ることにより、感想が変わる気もしますが。
最後に。
原作を読んでいて、齢10歳にして女の情念湧き立つ里香の存在と、怖さと、嫌悪感は半端なかったです。この嫌悪感、多くを語らずとも……わかる方いますでしょうか?呪っていたのが乙骨氏の方なので、それで幾分かは中和されますが……。
そして『リカちゃん』という名前。
もうここまでくると、いろいろな意味で秀逸だなと思います。
【追伸①】
1/2に2回目鑑賞。呪術廻戦0で終わり、呪術廻戦0で始まる年末年始。最高ですね。
2回目を観た感想は前回よりも落ち着いて鑑賞できたため、初回時よりも『間』を気にすることなく観れました。呼吸もきちんとできました。
しかしやはり…アクションシーンは少し多いかなぁという印象。原作にないシーンを盛り込むよりも、乙骨憂太with里香VS夏油傑をもっとダイナミックに観たかったです。
本編には関係ありませんが、King Gnuの世界観は作品と完全にリンクしていました。作品が楽曲にのみ込まれる訳でもなく、バランスがとても良き。Gnuさん、どれほど原作と脚本を読み込んだのだろうか。とにかく『すごい』の一言。