「面白かったけど…」劇場版 呪術廻戦 0 岡部 竜弥さんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったけど…
面白かった。
ただアニメ映画見たって感じはしなかった。どっちかって言うとアニメスペシャルを見た感じだった。
良かったところ
五条VSミゲルの戦闘シーン。お前そんなフィジカルタイプやったんかい。
セカイ系っぽい演出。1つの画面で陰影をハッキリさせてその間をグラデーションで繋ぐ感じがセカイ系っぽかった。ラストの五条先生と夏油の会話シーンとか特に。2人の立ち位置を上手に寄せて下手側に夏油、上手側に五条先生を配置させた上で夏油より下手を極端な影にすることで、言外に夏油の持つ闇の深さが伝わった。その後さらに引きの画になると2人がいるところ以外は影に包まれていたところも、彼ら、ひいては五条先生の呪術界での立ち位置を表しているようでとても良かった。ラストの冬景色の表現も画面を白で覆うことで登場人物の今の心情を表しているようで良かった。
紙上ではなかったサブキャラクターの戦闘シーンが追加されていたのが良かった。
山寺宏一凄かった。
合わなかったところ
乙骨が来てから1年弱くらいの話なのに時間経過が分かりづらかった。
カット割が30分アニメみたいに細すぎて登場人物の心情が分かりにくかった。例えば棘の呪言について家系にからめて説明する時とか、あんな風にしなくても良かったしなんなら棘がどう思ってるかとかがわかる表情が見たかった。
話の都合上、「乙骨と里香の関係性」「乙骨と高専生の関係性」「五条先生と夏油の関係性」を描かないといけないので、その一つ一つの掘り下げが浅いように感じた。それなのに里香との過去の回想が3回もあったのはちょっとあれだった。
せっかくの映画なんだから呪霊をもっと不気味に描いて欲しかった。ゴア表現の部分ももっと隠さずやって欲しかった。金森のところとか。
原作でなかった情報の捕捉がもっと欲しかった。連載してから登場したキャラクターが出てきたのは嬉しかったけど、それ以外のところがもっと欲しかった。夏油の真希に対する態度とか甚爾の天与呪縛のことを踏まえた反応とかさせて欲しかったし原作おまけページでの里香のパーソナルな部分とかを補完してほしかった。なんというかもっと気の利いた事をしてくれると思ってた。
「この話を映画化するんだったら先に五条先生と夏油の過去を映画化した方が良かったんじゃ…」と思った。
バトルシーンのBGMが効果音のせいでボーカルが潰れてた
全体通して
原作0巻の4話構成の物語をそのまま映画にした感じだったのでちょっとだけ中だるみしたりしていたように感じた。原作を忠実に再現しようとしすぎたのかもしれない。そういう意味でアニメスペシャルを見たような感覚だった。
僕みたいな原作が好きでが大きな画面でキャラが動くのをみたい人にはちょうどいいのかもしれない。