「ボーイ・ミーツ・ムービー 芸術的な演出に引き込まれる」エンドロールのつづき スクラさんの映画レビュー(感想・評価)
ボーイ・ミーツ・ムービー 芸術的な演出に引き込まれる
インドの貧しい家庭に生まれた少年は、学校に通いながら父親のチャイ売りを手伝う。
少年はある日「これきりだ」と一言付け加えられながら、家族で映画を観に行った。
映写機から伸びる光、映画を運ぶその光に少年は心を一瞬にして奪われる。
映写機の光に囚われた少年の心情は、言葉ではなく芸術的なカットで描かれているのがぐっとくる。
どことなく『ニュー・シネマ・パラダイス』に似た感じがするが、
この映画では親子関係や貧困についても、細かに描写されている。
暖かい暮らしの中にいる私から見たら、虐待や犯罪など完全にアウトな要素もたくさんあるんだけど、
社会の発展から取り残されたインドの貧しい地域では、当たり前で許容範囲の現実なんだと思うと、
改めて貧困問題について考えさせられる。
辛さがにじむ社会問題の部分はさておき、境遇は全く異なるのになぜか少年に共感を覚える。
それはきっと私たちの記憶の中にもこの少年のように映画に心を奪われた瞬間の煌めきが残っているからだと思う。
あぁ、映画好きになって良かった…
そう思わせてくれる素敵な作品だった。
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