「映画愛に溢れているが物語としてやや弱い」エンドロールのつづき kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
映画愛に溢れているが物語としてやや弱い
映写技師と少年の交流を描いた映画となると、どうしても「ニュー・シネマ・パラダイス」を連想してしまう。でも、本作はそんななんとなくのイメージとはかけ離れたストーリー展開。
サマイ少年の映画に対する情熱はいいのだが、あれはいたずらの域を超えて犯罪行為。それに映画への情熱は物語を作ったり、どんな見せ方をするかではなく、あくまでも映画を観ることへの情熱だった。貧困問題がつきまとうインドが舞台だから、8ミリカメラなんて持ってるわけもないし、テレビを観ることすら難しい状態。自分でショートフィルムを撮るなんてことにならないのもしかたない。ここらへんはスピルバーグの「フェイブルマンズ」と違うところ(まだ観ていないけど)。
監督の自伝的な物語だから、映写機を自作したってのがメインの盛り上がりどころなんだろうな(勝手な憶測)。全体的に映画愛には溢れているけれど、物語としてはやや弱く感じてしまう。ただ、インド映画に精通していて、作中に流れる映画たちを懐かしく観ることができていたら評価は全然違っていた気もする。出てくる映画を全部観ている日本人なんてどれだけいるのだろう。ハードル高すぎだ。
でも、少年が夢のために一歩踏み出す姿は否応なしに胸を打つ。踏み出す年齢としては早すぎる感じはするが、それもインドならではと無理矢理納得することにする。期待外れだったが、ダメな映画とも切り捨てられない。
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