「お母様のお手製のお弁当が芸術的!」エンドロールのつづき やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
お母様のお手製のお弁当が芸術的!
映画に憧れる少年のヒューマンドラマです。
普段父親の手伝いで駅のチャイ売りをしている主人公サマイが映写技師のファザルに出会い、お母さんお手製の凄くおいしそうなお弁当と引換えに映写室で映画をタダ観するところからストーリーが動き始める具合です。
枠組みとしてはトルナトーレ監督の名作「ニュー・シネマ・パラダイス」みたいな感じですが、これはオマージュなんでしょうかね?
ただ、「ニュー・シネマ・パラダイス」が感動的、情動的な演出に傾倒しているのと比較し、本作は画面構成としては光を意識した点で芸術的であり、近現代のインド社会の格差問題の移り変わりを盛り込んでいたりと、ちょっと落ち着いたイメージでした。
サマイ君は近所の悪ガキ仲間と映画を観たいがために派手にやらかすんですが(笑)、そんな中でも時折り「映画は光の芸術」みたいな大人びた視点・・・芸術的演出が挿入されるところをどう見るかで、この作品の評価は違ってくると思います。
ただ何より芸術的?だったのは、サマイ君の若くて綺麗なお母さんが作る料理のシーン、そして美味しそうなお手製のお弁当です!何度もその調理過程やお弁当に詰める工程まで詳細に示してくれていて大変印象深かったです。
お母さんのサマイ君と家族に対する深い愛情、そして優しさがそのシーンを見るだけでひしひしと伝わります。いちいち語らんでもこの家族は、見た目は控えめなお母様が頑張って支えてるってのがよくわかる演出だと思いました。
エンタメ感動作とはちょっと違うかもしれませんが、何度か見返したくなる味わいのある作品と思います。
では。
今晩は。
今作は、仰る通り「ニュー・シネマ・パラダイス」を期待して行くと、少し肩透かしされる映画かもしれませんが、私は監督のアーティスティックな映画愛の表現が嵌りましたね。
あと、サマイの優し気なお母さんが手際よく、香辛料を調合して(多分)南インド料理を作る数シーンは、眼福でした。(私は、映画を観る日は昼は食べないのですが、午後一に今作を観たので美味しそうで・・。)
新たなる風合のインドの良き映画だと思いました。返信は不要ですよ。では、又。