「暴力の連鎖を止める」クレッシェンド 音楽の架け橋 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力の連鎖を止める
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パレスチナとイスラエル、相互不信と痛み・憎しみが歴史ではなく個人と家族の今の記憶である中で、両者が共存する物語を紡げるのか。
インティファーダを想起せずにいられないクライマックスの投石に、音楽で応えたラストシーンが、暴力の連鎖を止めるための個人による一歩だと信じたい。非当事者の無責任な感想だが。
合宿中の「セラピー」で、視線を交わさず、互いに相手を存在しないものとして振る舞う姿に涙が止まらなかった。(昔読んだミエヴィル『都市と都市』を思い出したが、現実世界で同じモチーフが使われることがショックだった)
【追記】駆け落ちしようとした彼の事故?死は現実のメタファーと理解した。衝突事件は往々にして不慮の死で始まり、投石、ゴム弾、爆弾テロ、ロケット弾、空爆と暴力の応酬がエスカレートしてゆく。家族や友人が犠牲になれば、辛うじて存在していた個々の間の理解も、簡単に憎しみにとって代わられてしまう。そこを踏み留まれるかが主題で、彼らは何とか踏み留まったのだろう。
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