劇場公開日 2021年6月11日

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「何者でもない男、取り扱い注意につき」Mr.ノーバディ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何者でもない男、取り扱い注意につき

2022年1月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

普段は地味で冴えない中年男。
が、ある事をきっかけに覚醒。家族にも隠す通す本当の顔…。
アクション映画界にまたまた現れたハード・アクション、“実は最強”親父ヒーロー。
その名は…

家族を愛しながらも、家と義父が経営する工場を往復するだけの退屈な毎日を送るハッチ。火曜日のゴミ出しも遅れ…。
ある夜、自宅に強盗が侵入。チャンスがあったのに反撃せず見逃した事で、妻や息子は失望。そのダメっぷりの噂はあっという間に広がる。
親父はつらいよ…。

この強盗事件が全ての引き金。
末の娘の猫のブレスレットが無い。
強盗を探し出す。
ここからいよいよ彼のおかしな行動が…。
地味で冴えないダメ親父の筈なのに、その捜索っぷりは何かのプロ…?
誰かと無線でやり取りし、強盗の銃の種類、さらには銃に弾が入っておらず、だから反撃しなかった事を告げる。この驚異の観察力は…?
老人ホームへ。老いた父が居る。が、その父と何か分かってるようなアイ・コンタクト。ちなみに父は元○○○。
強盗を割り出す。若い夫婦。痛め付けた矢先、呼吸器を付けた赤ん坊が泣く。
結局ブレスレットを取り戻せぬまま引き下がる。堪えようのない怒り。
運命のバス。チンピラ連中が乗ってきて、他の乗客に迷惑を掛ける。
さあ、ハッチ。今こそその怒りを爆発させ、封印していた力を見せる時だ!

地味で冴えないダメ親父の筈なのに、チンピラ連中を驚異的な戦闘スキルでフルボッコ。
しかし、これがまた運命の分かれ道。
チンピラの中に、ロシアン・マフィアのボスの弟が居た。
瞬く間にハッチ、彼の家族、父親の居場所まで特定する。
血も涙も無い非道なロシアン・マフィアとの死闘。
彼は家族を守りきる事が出来るのか…?

『ハードコア』の監督×『ジョン・ウィック』の脚本家×『アトミック・ブロンド』のアクション・コーディネーター。
そりゃあアクションは激しい訳だ。
ハッチが覚醒するバス車内のアクション。
自宅に侵入してきたマフィア相手に、身近にあるもので格闘。
ド派手なカー・チェイス。
クライマックス。工場での銃撃戦。
アクション!アクション!アクション! あらゆるアクションを見せてくれる。

ハッチは“沈黙の男”や“96時間の親父”のように、無敵無双ではない。
深手を負いながらも闘う。
痛みが伝わってくるリアルなアクション描写。
それがまた見応え充分。

ストーリーはドミノ倒し的に展開していくが、シンプル。
激しいアクションの合間にセンスのいい楽曲、ユーモアを挟み、スカッと痛快。

主演のボブ・オデンカークはTVドラマで知られているようだが、個人的には初めまして。
渋い佇まいは好み。
本作はハード/バイオレンス・アクションだが、彼の雰囲気と作風が何処となく往年のハードボイルド・アクションを駆り立てる。
他キャストで嬉しかったのは、ハッチの父親役のクリストファー・ロイド。80歳を超えても尚のクセ者ぶり、銃をブッ放す健在っぷり! ブラボー!

2021年公開のアクション映画では秀逸。面白かった。
本作でハッチの正体は全て明かされない。
本人曰く、三文字の組織の元会計士。あれこれ浮かぶ…。
仄めかされたり、仮面が剥がれ始まる程度。
だってそりゃあ、次も期待したいもん。

普段は地味で冴えないダメ親父。
しかし隠し通す本当の顔。
その名は…

“Mr.ノーバディ(=何者でもない男)”!

近大
talismanさんのコメント
2022年1月3日

次回作、期待したいです!

talisman