「夫の不倫、妻の逆襲劇」先生、私の隣に座っていただけませんか? えるまーさんの映画レビュー(感想・評価)
夫の不倫、妻の逆襲劇
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まず初感として「不倫」を題材にしている割には全体的に平坦気味な印象をお見受けしました。無理に臨場感やスリリングさを出さなかった点がより現実的な路線へと寄せていく、そんな印象を抱きましたがそのあたりは観る人の好みや受け方次第かと思います。
月刊シナリオでは、冒頭で若き日の漫画家俊夫とアシスタント佐和子の関係が描かれていました。冒頭で描く必要性は特に感じられず、その点だけがずっと後を引きずっていましたが、途中でシナリオの変更があったことを劇冒頭で知り驚きました。そしてその冒頭シーンをクライマックスの回想シーンとして配置変えをしたこと。非常に素晴らしい判断だと思います。
担当編集の桜田はヒステリックな人物。この人物を素直に受け入れることが出来るか否かでこの作品の大々的な印象は変わってくるのではないかと思います。佐和子は俊夫に対して復讐心を見出しましたが、桜田に対しては特にお咎めなしという点も少し違和感がありました。ただ、前提条件として「夫への復讐劇」が主題なのでそこは深掘りする必要はないのかもしれません。
そして、シナリオの構成は本当に秀逸でした。漫画の特性を活かし、これは現実か空想か、そんな不思議めいた感情を抱きつつ、まるで結末の予想を定めさせない。大変特質な映画だったと思います。
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