「三者三様。家族神話に縛られない自分の人生の進め方。原題『HOPE GAP』が良い」幸せの答え合わせ ゆっきーさんの映画レビュー(感想・評価)
三者三様。家族神話に縛られない自分の人生の進め方。原題『HOPE GAP』が良い
母→パワフル、エネルギッシュ、明るい、お喋り、社交的…
父→内気、コミュ障、全てに受動的、自己主張をしない、争い事が苦手、妻にぶたれてもやり返さない、無口、非社交的
息子→ややシャイだけど、人の気持ちを想像出来る。優しい。
両親の良いところを受け継いでいるように見える…。
何故、こんなにもタイプが違う二人が29年も夫婦で居続けられたのかが疑問です。
夫婦って何だかんだ似た者同士が多いですよ。
息子が小さいうちは『良かった時代もある』と夫が語っていた。
確かに前半は妻が傲慢、ジコチュー、尊大な態度、口うるさい人に思えた。妻はあり余るエネルギーがあるのに、夫はまるで枯木のよう。
だが、そもそも夫の云うところの、『君とは違う種類の人間だと思う』
と。確かに私にもそう見える。
二人の共通点は子供だけ。
趣味のサークルに夫婦で入ってるわけでもない。
他人を巻き込んだ風通しの良い関係でもない。近所付き合いもない。
息子の云う通り、こんな風に夫婦関係に違和感を感じていたなら、何故もっと妻が若いうちに、せめて50歳位の時にハッキリ言わなかったのか?
これは夫の怠慢というか、単に勇気がなかっただけだと思う。
夫もまた自分のことしか考えていない。
もっと早く妻を自由にしてあげて、第2の人生を歩む選択肢を与えてあげてたら…。
あとこんなタイプの女性は専業主婦には向いていないような。
外でストレス発散したら良かったんじゃないかな?
仕事をするなり、早くにボランティア活動したり、女友達とお喋りしまくったりサークル入ったり。一人でできる趣味をいくつか見つけたり。
家に2人でいる時間が長すぎたのでは?全てを夫(他人)がカバーすることは出来ない。
そもそも30年近く連れ添ってる夫婦にまともな会話なんてないと思う。
なあんにもなくなる。
妻の云う通り、私も『アンジェラ』
は架空の人物かと思いきや…。
ベニングが2人の前で、元夫に泣き縋ったり、今妻を罵倒したりしなくてホッとした。
そこは元妻の『誇り』だけで何と持ちこたえた。
息子がこの作品のキーになっていた。
息子が親離れしてないんじゃなくて、親が子離れしてない。
父親も離婚の葛藤を息子に丸投げ。
『HOPE GAP』…訳の解らない邦題よりこの原題で良かったんじゃないか?
母さんが険しい道を先に歩いてくれれば僕も後から歩いていけると思う。
ラスト。
父と母が人生を先に歩むことが出来たら僕もその後を追うよ。
ハッピーエンディングではない。
私は3人が今後どう人生を進ませるのか、ハッキリしない不穏な感じの終わり方は、逆にリアリティーがあると思いました。