「努力ではどうすることもできないもの」幸せの答え合わせ regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
努力ではどうすることもできないもの
熟年離婚をテーマにしたドラマは、「妻が夫を捨てる」ケースが多い気がするが、本作はその逆。夫が妻に三行半を突き付ける。
劇中では明瞭にされていないが、著述業に携わっていたと思しきこの妻が只者ではない。ただでさえ寡黙で感情を露にすることのない夫を、信心深く、理論と屁理屈を交えて言いくるめるばかりか、一たび怒りに火が付けば手は出るし物に当たる。その感情の起伏の激しさを目にすれば、そりゃ夫の愛情が冷めるのも致し方ないかなと思える。
「円満な家庭や夫婦関係には努力が必要」と繰り返し言う妻だが、努力ではどうすることもできないものもある。
そんな夫婦の間で板挟みとなるのが一人息子だが、実は真の主役は彼。息子を通じて、家族として夫婦としての在り方を客観的に見つめる。
全体のルックからドラマから何から何まで地味だが、その分堅実な作りになっている。
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