劇場公開日 2022年2月25日

「のんという生命体」Ribbon つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 のんという生命体

2025年12月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

のんは、ふんわりしているけれど明るく、バカっぽいけれど賢く、社交的ではないけれど元気なキャラクターをよく演じる。本作の主人公浅川いつかのようなキャラクターだ。
不思議生命体のようなこのキャラクターがのんにはよく似合うし、のん以外に同じ味を出せる役者がいるとも思えない。
それだけのんが特別な女優であることが分かる。
もちろん浅川いつかとは違った、至って真面目なシリアスキャラも演じるわけで、妖艶キャラクターはちょっと無理かもしれないけれど、のんの役の幅が、競合がいない方向に広いことが分かる。

浅川いつかのようなキャラクターを考えたとき、のんが最初に思い浮かぶのだからプロデューサーものんを使いたくないよなと考えていた。
しかし!。この作品はのんが脚本も監督も務めている。演技だけではなくキャラクターの構築まで自身で考えたとき、のん本人の素が出ないなんてことがあるだろうか?。

つまり、演技をしていないときののんも浅川いつかのような人なのではないか。
のんが演技をする前の素の状態で、不思議生命体のような人なのではないか。

どこかで、のんは女優をしていなかったらどうやって生きていくのか想像出来ない的な話を聞いた。
女優とは昔から少し変な人が多かった。そういった、人とは違う感性を持っている人の方が向いている職業なのかもしれない。
そして、のんもまた、女優に適した何かがある(もしくは足りない)人なのだろうなと感じずにはいられない。

だけど、監督としても無難にこなしたのではないか。特に良かったとは思わないけれど、別に悪くもなかった。
作中に幾度となく登場する「リボン」が意味するところは私には分からなかったけれど、それでも目障りではなかったし、作中のドラマを邪魔するものでもなかった。

結構、芸術家肌の人なのかもな。彼女の中のアーティスティックさがリボンのパートを生んだのかもしれない。
しかし残念ながら、凡人である私には不思議生命体の感性は理解出来なかった。
それでもこの作品は面白かったと思う。

つとみ