「主演・脚本・監督「のん」による初の長編映画。出来は良いので、見られる機会のある人は是非見てほしい作品。」Ribbon 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
主演・脚本・監督「のん」による初の長編映画。出来は良いので、見られる機会のある人は是非見てほしい作品。
正直なところ「主演・脚本・監督のんによる初の長編映画」という設定時点で、やや地雷臭もしましたが、見ずに判断は良くないので期待を込め見てみました。
冒頭のサイレント的なシーンなど「あ〜やっぱり」というアート系のノリを感じました。そして背景説明のような描写が「Ribbon」というタイトルが出て消える14分間くらいまで続きます。
ただ、これ以降はどんどん面白くなっていくので、とりあえず14分間は失敗したと思っても辛抱してください。
14分後は主に部屋を中心として物語が本格的に始まっていき、素の「のん」であろう姿が描かれていきます。
ここからは不思議なほど心理を共有でき、主人公の機嫌の悪いと重く感じたり、機嫌の良い時はこちらも心地良かったりと、主人公にシンクロできていることに気付きます。心理描写に結構リアリティーがあるのです。
これは、のんが自らを曝け出すような渾身の演技で、監督を兼ねているためできた芸当のようにも思えます。
そして何と言ってもコロナ禍を描くと、どうしても作品は暗くなりがちですが、本作ではコミカルなやり取りも含め、全体としては明るいですし前向きでもあるのです。
さらには冒頭のシーンなども含めて、伏線的な要素として必要なシーンであることも分かります。
見終わって思うのは、これは新しい才能が開花した瞬間であろうということ。公開規模は小さいようですが、出来るだけ多くの人に見てもらいたい作品でした。
評点は難しいですが、「新人監督のデビュー作という視点であれば間違いなく満点」です。ただベテランなど全ての作品を含めると及第点ですが、次回作も期待したいほど十分なセンスを感じました。
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