「愛は何よりも強い?」ラブ&モンスターズ sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
愛は何よりも強い?
テンポ良く捲し立てるようなモノローグは決して真新しいものではないが、作品によっては変な話だが生き急いでいるような印象を抱かせる。
やはり今の時代は何でもテンポアップしないと視聴者がついていかないのだろうか。
地球上の生物が軒並み巨大化し、食物連鎖の底辺に追いやられた人間が地下でひっそりと暮らしているという設定はとてもワクワクさせられた。
コロニーの中でも戦闘はからっきしのジョエルは、別れてしまったエイミーという恋人に会うために単身で外の世界へと繰り出す。
命の危険と隣り合わせの環境にも関わらず、そんなに呑気で大丈夫なのかとハラハラするぐらいジョエルの行動は危うい。
しかし彼はピンチになりながらも、飼い主を失った犬や、途中で出会った中年男と小さな娘に助けられながら目的地へと向かっていく。
そして彼はついにエイミーとの再会を果たすのだが…。
いたってシンプルでストレートなストーリー。
登場するモンスターの造形も面白く、それだけで十分楽しめる作品ではあるが、とりたてて何か心に残る作品ではなかった。
映画ではなく連続ドラマにすればもっと世界観が拡がったのではないかと思った。
ジョエルが出会ったモンスターを後の世のためにスケッチにするのだが、その絵があまりにも巧みすぎて、命のやり取りをしているのに一体どこにそんな余裕があったのかと疑問に思ってしまった。
ジョエルはとても非力な存在だが、いつもギリギリのところで助けられる。
そういう巡り合わせがあるのもその人間の強さである。
彼はエイミーへの愛のために突き進む。
愛の力は偉大だが、それは諸刃の剣でもある。
愛に裏切られると人は豹変する。
そして愛を失った人間は平気で人を陥れる。
この映画でもやはり一番醜いのはモンスターではなく人間だった。
モンスターの中にも人間に友好的な者も存在するというのは面白かった。
まだまだ世界観は拡げられそうなので、続編が作られてもいいのではないかと思った。