「Gメン45 Fall in LOVE with Lady Day」ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
Gメン45 Fall in LOVE with Lady Day
また、ビリー・ホリデーの映画を見てしまいました。ピーター・バラカンのオススメ音楽映画のひとつとして、昨年、有楽町角川シネマで観た「Billy」は1970年に自殺に見せかけてFBIに殺されたのではと言われているビリー・ホリデーの詳細な伝記を制作しようとしていた女性ジャーナリストが残した大量のインタビュー音源から構成されたドキュメンタリー伝記映画でした。かなり暗澹たる気持ちになって、帰って来ました。
それなのにまたもや食い付いてしまいました。
今回の The United state Vs. Billy Holiday はジャズ歌手、俳優のアンドラ・デイ(35歳)がビリーに扮し、脚色されたエンタメ伝記映画でした。麻薬潜入捜査官のジミー役のトレバンテ・ローズが素敵過ぎて、しかもビリーが初めて心から愛した男として描かれているので、「ほんとかよ~」となりましたけど、上記の伝記映画「Billy」よりはそのおかげで、それほど暗~い気持ちになることはなかったです。実際の捜査官は「Billy」のレビューにも書きましたが、イタリア系マフィアっぽい刑事でしたから、トレバンテ・ローズとは雲泥の差です。
アンドラの歌声は、かなりビリー・ホリデー本人に近く、顔も晩年のものはかなり似ていたと思います。音質も一貫してとても素晴らしかった。そしてアンドラ・デイの熱演が凄かった。なかなかの怪演だと思います。
好きな脇役のロブ・モーガンがビリーの最期のヒモのルイス役でした。憎めない感じなので、悲惨な最後も重くなりにくかった。
Strange Fruit の惨たらしい映像(静止画)は「Billy」の方が長かった印象でしたが、トラべリングバスで南部ツアーに行く途中でビリーがいわゆるキジ射ちにいくと、幼子の泣き声を聴いて、草を分け入ると、木に吊るされた母親を目撃してしまうシーンがありました。このツアーに帯同するジミーもビリーの後を追って目撃してしまいます。この木に吊るすリンチは黒人よりもネイティブアメリカンの方が南北戦争前から多かったのでは?と思いました。アメリカ政府がこの曲にかなりナーバスになるわけです。人権問題に真っ向勝負ですから。
麻薬捜査官の本当の目的は麻薬から国民を守るという名目で、黒人リンチに対する反対抗議運動の芽を摘むことだったと、この映画は強調しています。ギャレット・ヘドランドが麻薬取締局長官のアンスリンガー役なのもオシャレ過ぎでした。アンスリンガーがケネディ大統領から功労を表彰される本物の映像が最後に流されますが、あの時代のキング牧師暗殺~ケネディ大統領暗殺の裏には暗躍したGメンたちが絶対いたに違いないと思ってしまいます。
エンドロールの途中でビリー(アンドラ)とジミー(トレバント)がじゃれあって、アンドラがトレバントに Fuck you, Nigger. と言うのがとても可笑しくて、ほっこりしますので、席を立たないでお楽しみ下さい。
カールⅢ世さん、コメント、
情報ありがとうございます
😊
ジミーは事実とは異なる登場人物だったんですね!
てっきり、忠実に作られてるのかと思ってました😅
たぶん私も事前に色々と知っていたら高評価だったかもしれませんね☺️