劇場公開日 2022年6月17日

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「人は見かけによらぬもの」バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人は見かけによらぬもの

2022年6月21日
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鑑賞方法:映画館

 ディーン・フジオカのいいところが全部出た作品である。頭の切れのよさを感じさせる滑舌のいい台詞回し、機敏でスタミナ抜群の身体能力。ファンはさぞ嬉しいだろう。

 ミステリーとしての話の進め方が面白い。テレビ電話を取り入れているのは現代的だ。最終的に問題を解決するのはオンラインではなくオフライン、つまり現実の人間の行動だというところにリアリティがある。
 島に古くからある魔犬の言い伝え、遺伝子操作による巨大犬の都市伝説、資産家の娘の誘拐未遂事件、それに16年前の未解決の誘拐事件が重なり、さらには地震予知学者も登場して、物語は複雑な様相を見せる。シャーロック・ホームズばりの優れた頭脳の持ち主でなければ解決するのは難しい。ワクワクする展開だ。流石にコナン・ドイル原案だけのことはある。

 役者陣は概ね好演。椎名桔平は貫禄の存在感だったし、西村雅彦は、変な言い方だが安定の怪演だった。広末涼子はおばさんの役だが、コケティッシュな魅力は健在である。
 アホなユーチューバーが意外と常識人なところが笑えた。人は見かけによらないという真実は、本作品のもうひとつのリアリティでもある。

耶馬英彦