劇場公開日 2021年6月4日

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「惑星衝突のパニックムービー」グリーンランド 地球最後の2日間 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5惑星衝突のパニックムービー

2022年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

劇場公開を見逃していたので、prime videoで鑑賞。地球に彗星が衝突するパニック・ムービー。

これまでにも『アルマゲドン』や『ディープインパクト』等、この手の地球滅亡危機のパニック作品はは、たくさん作られ、衝突時の恐怖や衝撃を目の当たりにしてきている。本作は、そうした作品を大きく上回るほどの怖さを突き付ける作品とは言えないが、パニックに陥った時の人間の傲慢な醜悪さと、逞しい優しさの両面を描いている。そして、その骨格に家族愛を据えた、ヒューマンタッチのドラマに仕上げている。

これまでの彗星衝突パニック作品の場合、衝突までの紆余曲折の経緯が描かれていくが、本作では、衝突の2日前から始まるという設定には、やや現実味に欠け、唐突過ぎる感じがした。また、ストーリーとしては、大きなサプライズは無く、ラストシーンも、地球滅亡を描いた作品では、お決まりの予想通りの結末であった。

但し、その2日間を、いかにドラマチックに仕上げる為に、主人公となる家族に、次から次へと衝突以外の試練が訪れ、それを命がけで乗り越えていく展開には、手に汗握り、観る者を引き付ける。舞台の中心はアメリカなのに、タイトルが『グリーンランド』となっているのも、その試練を乗り越えていく先の希望として、描かれていることが後半になって明らかになる。

そして、その家族の夫役が、こうした作品には持って来いのジェラルド・バトラー。肉体派で激しいアクションは専売特許だが、本作ではそうした激しいバトルシーンは抑えめに、むしろ家族への限りない愛を貫く父親役を演じている。その妻には、『デッドプール』にも出演し、凛とした印象の女優モリ―ナ・バッカリンが務めている。

本作の様な映画を観る度に、自分がこの状況に陥ったらどうするのだろう…ということ。正直、その場にならなければ、分からない。きっと、リック・ローマン・ウォー監督は、命の存続に関わる究極の場での、人としての逞しさと尊厳を描きたかったのかもしれない。

bunmei21