「おまけでない人間ドラマ」グリーンランド 地球最後の2日間 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
おまけでない人間ドラマ
クリックして本文を読む
彗星や小惑星が地球に衝突するパニック映画では「ディープインパクト(1998)」や「アルマゲドン(1998 )」などお馴染みのシチュエーション、プロット的にはディープインパクト寄りでしょう。
家族を必死に避難させようと父親が奮闘する点では「2012(2009)」と似ています。
2012はまさにSF版ノアの方舟だし、好色な大富豪などが闊歩するブラックコメディ的な映画でしたが本作は市井の人間に拘り、知性も分別もある人々ですら極限状態に置かれれば鬼畜の振る舞いに変ずる怖さを描いています。
主演もエンドオブシリーズで有名なジェラルド・バトラーさんですからタフなヒーロー像を想像しましたが至って凡人、浮気に後悔したり、正当防衛とは言え人を殺めたことに苦悩、炎上する車からドライバーを助ける行為は彼なりの贖罪意識と見て取れますし実に人間臭く描かれます。
子供を小児糖尿病に設定したのは気を揉ませるためのハンディキャップでしょう、不本意ながらうまく活かしていましたね。
隕石の襲来シーンも途中まではTVニュースでスナップを見せるだけなので、よくあるB級ものかと落胆しましたが、後半は雨あられ状態、スタッフを見たら2012のVFXを手掛けたピクソモンド社でしたから腕は一級でした。
SF映画の人間ドラマは迫力シーンのつなぎのような軽めのものが多い中、リアルな人間を描こうとしているところは好感がもてます、善人、悪人のバランスも絶妙でした。結末も多少虚構とは言え映画ならではの落としどころ、復興に歩み出す家族の続編が予定されているそうなので楽しみです。
コメントする