劇場公開日 2021年6月4日

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「大がかりなスペクタクルよりも、個々人の葛藤から人類の危機を描く一作。」グリーンランド 地球最後の2日間 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大がかりなスペクタクルよりも、個々人の葛藤から人類の危機を描く一作。

2021年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

超人的な能力を持った軍人も天才的な科学者もいない世界が直面した人類破滅の危機を描いているため、どっかんどっかん破壊される都市の様子や絶対不可能な難局を切り抜ける英雄の活躍を見て気分爽快になりたい!という期待は残念ながらあまり叶えられそうにありません。

危機に対して全く無力な一般市民の家族が右往左往する描写が続くあたり、『アルマゲドン』(1998)や『ディープ・インパクト』(1998)よりも、どちらかというと(ちゃんと撮影した)『クローバー・フィールド』(2008)に近い雰囲気かも。

ただし、彗星が降り注ぐ場面は短めではあるものの、特に音響が凄まじい迫力で、思わず座席で身をすくませるほどでした。確かにたっぷりと予算を掛けた大ぶりなスペクタクルシーンは控えめですが、場面ごとにタイム・サスペンスが用意されているため、退屈することはありません(ちょっと設定が分かりにくい部分もなくはなかったけど)。このあたり、さすがスタントマンとしての経歴を持つリック・ローマン・ウォー監督の演出術です。

スコット・グレンのご尊顔を久々に劇場で拝めたのは収穫!しかし彼が登場すると、『ライトスタッフ』(1983)のごとく、パイロット仲間達と宇宙に飛び出して危機を一気に解決してしまうのではないかと錯覚しそうになりました。本作最大のミスリードは、実はここ!

yui