「ツッコミどころ満載だけど」グリーンランド 地球最後の2日間 熱帯雨林さんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミどころ満載だけど
地表の蒸発、また地球全体を覆う火災での熱波と二酸化炭素、世界中の元発電所からの放射能が充満しているはずの屋外、隕石衝突たった9カ月後にシェルター外で呼吸できる、太陽が見えているというのはあんまりだし、とどめの欠片(直径14km、ということは恐竜絶滅のときの隕石の1.4倍。体積で2.7倍)がヨーロッパを直撃したはずなのに、完全に蒸発してなきゃおかしいパリは、エッフェル塔はひん曲がってたものの、燃えても街並みは原型のまま残ってる。ヘルシンキには生き残りもいるらしい。誰かパリやヘルシンキはヨーロッパだとアメリカ人に教えてやってくれ。また、空を飛んでいた鳥は何を食べていたのかしらん。その前に、地表のどこで生き延びていたのか。ま、全部、助かった後のことで、ストーリーを左右するわけでも無いし、大雑把なアメリカ制作だからいいか。映画だし。
で、意地の悪いツッコミはこのへんで置いといて、パニック映画好きとしては見逃すわけにいかない。面白いです、パニック映画を久しぶりに堪能。ただ、家族が助かりさえすればよいという主人公と思いきや、人を殺したことを後々まで悩み、必死に手を洗う主人公。その贖罪のためか橋下から這い出て見知らぬ他人を救う優しい主人公。車のことで置き手紙をする律儀な主人公。別にいいじゃないか、正当防衛なんだから。車?持ち主が選別されてなければ、数時間で死ぬの確実なのに伝言?あるいは地表に残された車がどうなっているか想像できないのか?本気で返却する気だったのか?ウソくさいエピソードの挿入は不要。主人公は別に良心の人・優しい人じゃなくていい。主演男優から律儀で優しい男にしてくれという脚本への注文でも有ったのか?良い人間ぶりがくどい。そのわりには滑走路に飛び出して飛行機の離陸を妨害し、グリーンランド到着を遅らせたため、結果的に衝撃波を受けて善意のパイロットを死亡させてしまう。このあたりへの後悔はあまりないみたい。家族と自分だけを守るエゴむき出しな男でいいじゃないか。嫁さんの方は子供を守ることだけで迷いがない。よほど潔いね。この嫁さんを薬局で乗せた夫婦だって生き残るためには何でもするわ、やり方は汚いけど。ぼんやりしていたら確実に死ぬんだよ。
結局、なんのかんの文句はたれたものの、2時間のパニック映画というか家族愛の映画、十分に元を取りました。ところで、日本語副題「地球最後の2日間」は不正確。主人公とその家族には、最後ではないと信じて生き残ろうと努力する2日間だよ。虚しいことをしている2日間ではない。「デッドラインまでの2日間」が正しい。グリーンランドだけじゃ何の映画かわからないというので付けた副題だろうが。