「オム・ファタルと百合と薔薇」真夜中乙女戦争 mintelさんの映画レビュー(感想・評価)
オム・ファタルと百合と薔薇
なんとなく気になったのと、池田エライザと柄本佑が見たかったので、原作未読で鑑賞。
モノローグや演技は、もうちょっと…と思わないでもないけれど、永瀬廉も死んだ魚の眼で、思いのほか健闘していた。
その他の脇役ちょい役の皆さんも、なかなか印象的で良かった。
中二病は中二で罹患もしくは履修しておかないと、拗らせて面倒なことになる、アーンド、ファイト・クラブ、リスペクトな作品だった。
主人公は徹底して受け身なのだが、それでこそ、ファム・ファタルの男性版といえよう。
ファイト・クラブほどマッチョでないのは、お国柄の差だろうか。
女性である先輩相手のときは百合の香り、男性である黒服相手のときは薔薇の香りを漂わせつつ、実際に生臭いことにはまったくならないあたり、その関係の作りものくささも含めて、中二病らしい魅力というか潔癖さがある。
最後の爆発シーンを含めて、リアリティ的には突っ込んではいけないので、見る人は選ぶと思う。(製作の様子を見るに、黒色火薬っぽいのだが、あそこまでの破壊力は疑問などというのは無粋なんだろうな)
いや、それにしても池田エライザ、キュートだった。
猫もかわいかった。
あのステッカー欲しい。
追記:
なぜ乙女なのかについては、破壊と破滅の衝動(要するにリビドー)を変換してるということかな、と思う。
あの黒服シンパたちは老若男女いたけれど、普通はカップルができたりするものだ。
疎外感と選民思想で結びついたら強い絆となるのだが、そうなると黒服の集団からは逸脱する可能性が高くなる。
黒服はシンパたちを、最初のモノローグにあった「乙女」化することで統率していたのかなと思ったり。
それから、東京を破壊するというのは、他の地方から移ってきた東京在住者の発想であり物語でもあると思った。
私は地方で生まれて育って死んでいく地方民だから、東京の破壊なんてどうでもいいし、それがブレイクスルーにはならないのだけど、地方からやってきてその大きさや豊かさと閉塞感を知った移住者が、今の自分の足元である東京を破壊するというのは大きなカタルシスを得られるであろうし、地元は安全という
逃げ道もある、ある意味、ずるい手段だとも思った。