「繰り返される日常というサイクルの中で生きることに意味はあるのか?!」真夜中乙女戦争 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
繰り返される日常というサイクルの中で生きることに意味はあるのか?!
学校に行って、就職して、結婚して、子どもができて、家を買って……という人間が繰り返す、世界のサイクルに飲み込まれて、消費されて、最後には死んで灰になる。世界の家畜のような存在が人間だ。
そんなサイクル自体に疑問を感じる時というのが、人生には何度かある。中には、そのサイクルを当たり前すぎて、流れに身を任せ、疑問にすら感じない者もいるが、一番敏感に感じるのが、10代後半から20代前半といったところだろうか。
もちろん、その後も何度か、人生の岐路に立ったときに思う者もいれば、そういった思考にならない者もいる。以前は思っていたが、その時には考えなくなってしまう者もいる。自分の人生、世界の意味、そんな答えの出ないことを考えるぐらいなら、サイクルに飲み込まれてしまう方が、いっそ楽だ。
しかし、そのサイクルを壊してしまったらに、人類はどうなってしまうのか。当たり前だと思っていた日常が消えてしまえば、全てが平等な世界が実現できるかもしれない。そんな思想は、テロリストやカルト的なものに感じるかもしれない。実行してしまえば、それは悪とみなされ、世界によって批判と裁きを受けるだろうが、そういったことを思うこと自体、その感覚はごく自然である。
今作は、決して他人事ではなく、誰もが自分自身のサイクルの中での生き方を見つめ直すものとなっている。主人公に名前がないのは、あなた自身でもあるからなのだ。
全編を通して、何かを朗読しているようなセリフも、頭の中で考えていることが表されている。言ってしまえば、全てが脳内で展開されている物語なのだ。
ラストでスクリーンに映し出される光景を見て、何を思うかが、その人の生きる意味にリンクするものとなっている。
そこで恋人だったり、家族がどうなってしまうのだろうか、もしくは大好きな仕事はどうなってしまうのだろうか……と、思うかは、人によって、それぞれ全く異なるだろうが、何かを思うのであれば、それこそが生きる”希望”だということだ。
そして、それがこの世界に生きることの意味なのだ。