a hope of NAGASAKI 優しい人たち

劇場公開日:

解説

これまでマスコミで被爆体験を話したことがない被爆者たちの新たな証言を集めたドキュメンタリー。長崎への原爆投下から75年以上が過ぎ、長崎で普通に生活を続けてきた被爆者の人たち。親を亡くした人、友達を亡くした人、差別や偏見、いじめで苦しんだ人など、それぞれがさまざまな経験を乗り越えてきた10名の被爆体験者たち声を1年かけて取材。10名に共通して聞いた「アメリカを恨んでいますか?」との問いに、あの惨劇の中に進駐してきた米兵たちとの心温まるストーリーがあった。監督は「single mom 優しい家族。 a sweet family」の松本和巳。

2020年製作/70分/日本
配給:テンダープロ
劇場公開日:2021年8月6日

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映画レビュー

5.0みんな普通に暮らしていた人たちだった

2021年9月25日
iPhoneアプリから投稿

一度に7万人が亡くなった原爆。
母の死体を自分で焼いたと言っていた女性。どんな思いだっただろうか。
被爆者の皆さんが、鬼畜米英と習っていたけど、実際のアメリカ兵はみんなフレンドリーで優しかったと話していた。
被爆者の人はみんな私たちと同じように普通に暮らしていた人たちだし、兵隊もまた普通の青年たちだった。
馬鹿な戦争。戦争はつまらんですよと話していたのが全てだと思う。
そして戦争が終わっても、被爆者への差別は続いた。
いま戦争を体験した人は80代、90代で、戦争を知らない私たちがちゃんと知って、受け継いでいかないといけない。
なので若い人にももっとみてほしい!
長崎、広島の平和資料館も一度はみてほしいと思う。こんな悲劇があっても、まだ核兵器はなくなっていない。

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スパゲッティ

4.0【8月9日に/2つめの原爆】

2021年8月11日
iPhoneアプリから投稿

この長崎の被爆者へのインタビューを中心としたドキュメンタリー映画は、商業的なことなのか、上映館が少ない。

原爆の日や終戦記念日のある8月だからこそ、このタイミングでとは思うが、どこかに挟み込む感じでも、出来るだけ多くの映画館で、そして、細く長くでも上映して欲しいなと思う。

随分前になるけれども、2つめの原爆は、実は、長崎ではなく、別の場所に投下される予定だったというドキュメンタリー番組を観た。

それは、当時の日本の鉄鋼生産の拠点、八幡製鉄所を有する福岡だった。

だが、それを事前に察知した軍関係者と福岡の人々は、投下予定の当日、つまり、8月9日早朝から、ありったけのタールを燃やすなどして、空から地上を目視出来ないほど大量の煤煙を上げ、その結果、米軍は急遽、予定を変更して長崎に目標を定めたという内容だった。

少し曖昧な記憶だが、そうしたこともあって、広島への原爆投下が早朝だったのに対して、長崎は昼近くになったというようなことも言っていたような気がする。
間違っていたらすみません。

そして、そのタール煙幕作戦に中心人物として関わった一般人の方が、インタビューに答えて、咽び泣きながら、自分は一生、長崎には足を踏み入れることは出来ない人間なのだと語っていたのが、とても印象的だった。

この人に、この作品を見せてあげたいなと思う。

それほど、このドキュメンタリーに出てこられる高齢の被爆体験者は、客観的で、物事の本質を理解するように努め、そして、とても”優しい”のだ。

被爆体験は凄惨なものだった。
多くの人が一瞬にして亡くなり、多くの人が一瞬にして全てのものを失い、ドン底につき落とされた。

その後、進駐してきたアメリカ兵との交流も、実体験を自分の言葉として語っているのだから、リアリスティックだ。

アメリカ兵との交流の思い出を今でも大切にしている人もいた。

原爆を恨んでも意味はない、悪いのは戦争なのだという言葉にも重みがある。

だから、この方達の作品を、先に紹介した長崎への原爆投下に責任を感じている人に観せてあげたいと思うのだ。

最後に、このように、当初、福岡に定められた原爆投下が事前に分かったように、広島への原爆投下も大本営は事前に知っていたことは間違いないと言われている。

なぜなら、アメリカは、新型爆弾の完成を日本に知らせると同時に、無条件降伏を迫っていたことが、記録として明らかにされているからだ。

既に沖縄戦で、多くの一般人が命を落とし、空襲は相次ぎ、本土決戦などやっても勝ち目がないのは明らかなのに、降伏の決断を拒んだ大本営とは、何を考えていたのか、国民の命を何と考えていたのか、どのような下等な組織だったのか、国民が良く考えるためにも、こうしたドキュメンタリー映画の灯を消さないで欲しいと思う。

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ワンコ

4.0戦争はつまらんですよ

2021年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ナガサキの原爆被害を扱ったドキュメンタリー映画は初めて観た。ヒロシマを扱った作品とは少しニュアンスが違う気がする。監督の松本和巳さんの人柄のせいだろうか。インタビューに答えた10人の被災者からは、酷い目に遭った怒りや悲しみよりも、それを乗り越えて生きてきた余裕が感じられた。よく笑うし、ときには涙ぐんだりもするが、どの人も表情が豊かだ。

 印象に残った言葉はふたつ。ひとつは「命に縁があったんですね」という言葉である。原爆で人がたくさん死んだ。自分の家族や浸漬、クラスメートも死んだ。しかし自分は生き残って長く生きている。そのことを淡々と語る。
 もうひとつは「戦争はつまらんですよ」という言葉だ。「つまらん」という言葉は九州ではとても含蓄のある言葉で、面白くないときに使うのはもちろん、よくないとか駄目という意味でも使う。それに物足りないという意味でも使われる。彼女から「食事と映画だけのデートはつまらん」と言われたらかなり脈があるということだ。「つまらん男ばい」と言われたら、最悪の場合は面白くなくて人間的な深みもない上に日頃の行ないもよくないダメ男という意味になる。人格も人間性も全否定されるわけで、長崎の人から「あんたはつまらん」と言われたら、深く反省したほうがいい。
 本作品で使われた「戦争はつまらんですよ」も同じ意味合いで、戦争は意味がない上に人を無駄に殺すだけの駄目な行ないだということである。世界の多くの人は戦争が「つまらん」ことを知っている。帝国主義の時代からふたつの世界大戦を経験して、更に言えばふたつの原爆被害も経験して、もう戦争は懲り懲りなのだ。にもかかわらずどの大国も軍隊を持ち、核兵器を持ち、場合によっては軍事衛星まで持っている。
 通信が世界の隅々まで行き届いた今となっては、他の共同体の不利益が自己の共同体の利益となる時代は終わったのだ。戦争は割に合わない投資なのである。軍需産業が政治家を動かして国民の税金を無駄遣いするのは、国際社会にとっても地球環境にとっても、いいことは何もない。

 ひとりの女性被爆者が次の意味合いのことを言っていた。「日本の兵隊さんも、個人と個人の交流ではとても優しい人がいる。でも軍となったら、それは酷いことをする」。組織の中で自分の立場や時には命を守るためには、良心に背く非人道的な行為もしなければならないときがあるという訳だ。
 しかし今は選挙がある。そういう組織を選ばなければいい。と、言うのは簡単だが、近所のおじさんが出馬したら、どうしても応援してしまう。ニコニコと握手されたら、その人に投票してしまう。でもその人は戦争をしたい組織の政治家だ。問題は有権者が「戦争はつまらんですよ」という認識を貫けるかどうかである。情緒に流されずに投票行動を決められるかどうか。「つまらん政治家」に投票するのは「つまらん有権者」でなのである。

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耶馬英彦

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