「藤ヶ谷さんはこんなにも良い役者だったのか」そして僕は途方に暮れる モンブランさんの映画レビュー(感想・評価)
藤ヶ谷さんはこんなにも良い役者だったのか
タイトルだけ見てWOWOWを録画しておいただけだったため、出演者情報もストーリーも全く知らないまま観た。
藤ヶ谷さんは歌番組やバラエティで見たことがあるくらいで演技のイメージがなく、最初本人だとは思わなかったほど、纏う雰囲気が違い驚いた。良い意味で全くアイドル的なものを感じることはなかった。勿論下手な人もいるが、最近は俳優専業より才能があっても、演技を見もせず穿った見方で見られ、評価を低くされているタレントも多いと感じる。藤ヶ谷さんももう少し評価されても良いのでは?逃げ続ける人生、程度はあれこういう人いるだろうなと感じさせるものだった。
中尾さん、野村さん、毎熊さんも安定して良い演技だった。特に中尾さんの役はとてつもなく良い親友といった感じだったが、最後もリアルだった。改めて上手いなと。
原田さんのリウマチを患った動きもわりとリアルで良かった。あまりこういう動きをする演技の作品は観たことがない。こちらが心配になり手伝いをしたくなる演技だったのも評価を上げるポイントとなった。患っているにも関わらず、夫だけでなく子供達にも離れられてしまった状況は、こういう親不孝な人間も現実にいると感じさせたが、最終的にあぁなってしまえば子供も逃げたくなるだろうと思った。とはいえ、病や孤独につけこまれる感じもリアルで苦しくなった。
普段1人で暮らしているとはいえ、無理しないでと言いつつ、雪の中暗い時間に体の不自由な母親1人に買い物に行かせる姉が怖かった。帰った時ぐらい手伝うか自分が行くかしない所が、姉弟揃って似た者同士で、そういう育ち方を母親がさせてしまった感じも痛々しかった。
それにしても豊川さんは流石。リアルに感じさせる説得力を出てきた瞬間に感じる。この父親にしてこの息子と感じさせた。涙の場面でぐっときて作品の評価を上げた。
父息子の部屋のシーン、ストーブが物と近く、酔っ払ったまま寝たら火事になりそうな気がするのも演出なのか?こういう人が火事を起こしそうだと感じて怖くなった。
前田さんはやはり演技がいまいち。華やかな役は似合わないとはいえ、他の人との演技力の差が出てしまう。もう少し出演時間の少ない役、重要な役柄ではない役にした方が良いのでは?
作品としては特別面白いわけではないが、こういう人間もいるという感じがリアルで飽きなかった。