「ドラマ以上のものは…?」あなたの番です 劇場版 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマ以上のものは…?
2年前のドラマでは、犯人探しに世間を騒がせた劇場版。登場人物はそのままで、キャラも同じだが、舞台設定がマンションから豪華客船と移り変わる中、2年前のあの事件が無かったことを前提としたストーリー。
翔太と菜奈の結婚披露宴に招かれたマンションの住人達。その住人達全員が互いに疑心暗鬼で、殺伐とした人間関係の中で、最初の犠牲者が、船のロープに縛られて水中で溺れ死ぬシーンから始まる。そもそも、そうした住人を結婚式に招待するという設定に、不自然さがあり、ストーリーには入り込めなかった。
その後、誰が殺されるのかは、ネタバレになるので詳しくは記載しませんが、炎に包まれて焼死する男、船のマストに吊るされて絞殺された女、首を斬られた男など、次々と連続殺人事件が起きていく。その中で、意外な人物の遺体が発見されるシーンは、ショッキングに描けていたと思う。
しかし、あまりにも舞台設定や殺人事件までの経緯が、とってつけたような内容で必然性に欠けているとは感じ、ミスリードしようとしる脚本が見え見え。ドラマ以上の緊迫感は感じなかった。何といっても、犯人がミステリーの禁じ手というのは、解せなかった。これもドラマと同じ登場人物設定というのが、却ってストーリーを狭めていたのではないだろうか。
アガサ・クリスディーが描くような、洋上の船で、誰もが殺意を持つ乗客によるクローズト・サークルの殺人ミステリーを狙ったのだろうが、脚本やキャラ、登場人物の相関関係が、練りこめてないのは否めない。それに、無理のある笑いのシーンを盛り込むのは、せっかくのシリアスなミステリーに水を差す。テレビの2時間枠を超える内容では無かった。
エンドロール後のオマケシーンは、ちょっとハッとさせるので、最後までお見逃しなく。