「あてなき道の途上」アメリカン・ユートピア 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
あてなき道の途上
デヴィッド・バーンのブロードウェイでのショーの模様をスパイク・リーが映像化。四方形でごくシンプルな舞台装飾ながら、D・バーンとメンバーが、揃いのスーツと裸足で、コード無しの楽器を身に付け、演奏し、歌い、踊る様が見事。まさに、パフォーミング・アートの世界。
D・バーンも御年70間近なのに、よく声が出ている。お得意のアフロビートのパーカッション隊をはじめ、国籍混合のメンバーのパフォーマンスがキレッキレ。トーキング・ヘッズ時代の曲も懐かしく、一緒に踊り、声を上げたくなる。
ブラック・ライブス・マターのプロテスタントソングを歌うにあたって、D・バーンは、「自分が歌っていいのだろうか」「自分にとって勉強になった」といったことを語っていた。過去を懐かしむのではなく、いくつになっても、時代に向き合い、探索していこうとする姿勢に感銘。
ラスト、観客席をめぐりながら、「私たちはあてなき道(Road to Nowhere)の途上にある」と繰り返し歌う姿に、自分も勇気をもらった気がする。
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