「本当に生演奏なの?」アメリカン・ユートピア Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に生演奏なの?
デビッド・バーンについて、何も知らずに鑑賞。
パッと見で、アメリカ人っぽくないなあと思ったら(偏見?)、スコットランド出身のようだ。
声域は広くないが、年のわりには、きれいで伸びやかな声だ。
冒頭の「脳」をめぐる知的な語りや、ソフトな物腰を見ると、いわゆる“ロックスター”とは肌合いの異なる、インテリなのだろうなと推測。
会場は“小型のオペラハウス”のようなところで、舞台はシックな青みがかったグレーで統一されている。
完全ワイヤレスで、ミニマムどころか、セットもスピーカーも大型モニターも、なんにもない。
とても、モダンな香りに満ちたステージだ。
後半のメンバー紹介のところで、「本当に生演奏なの?」と聞かれると語っていたが、自分もボーカル以外は、「本当に生演奏なの?」と最初から思っていた。
多くが「パーカッション」と「ベース」のリズムセクションで成り立っており、“生っぽい音”に極めて乏しいのだ。
「タンバリン」や「マラカス」や「ボンゴ」っぽい楽器なども出てきて、リズム系はめちゃくちゃ充実している。
その一方で、「キーボード」は控えめで、「ギター」でさえ基本的にリズムギターであって、ソロパートがほとんどない。
演奏者の手の動きと音が同期しているので生演奏と分かるが、音だけ聴けば生演奏っぽくないし、“打ち込み”でも何とかなりそうだ。
デジタルよりも、アナログ好きな自分には、好きなれそうにない音楽である。
そんな中で、唯一、“生っぽい音”で自分を楽しませてくれたのが、「ベース」のボビー・ウーテンだった。
自分は、“5弦ベース”なんて見たのは初めてだ。
歌って踊って大活躍なのであるが、そんな中でも正確に演奏しているし(あまりに正確なので、これまた録音かと思ってしまう(笑))、バンドリーダーの「キーボード」よりも、演奏の中心になっている気がする。
ステージが終わった後、カーテン裏でデビッド・バーンが、ボビーと固いハグをしていたが、なるほどそうだろう、と思った。
自分は正直なところ、音にもパフォーマンスにも慣れてきた開始30分で、すでに飽きてしまった。
「この後、まだ1時間もやるの?」という感じだった。
デビッド・バーンは、“詩”と“アレンジ”のミュージシャンであって、“メロディー”の人ではないと思う。
ユーモアもあるし、メッセージ性も高いし、本当に素晴らしいステージだった。
しかし、「音楽そのものが好きか?」となると、自分は「NO」だ。
5弦ベースは普通に使われてますよ。ドリカムの中村さんも弾いてます。
ロックバンドだとあまり見かけないかもです。
もっと珍しいのが6弦ベース・・・もうギターじゃんw