「2018年発表の、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンによる...」アメリカン・ユートピア りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
2018年発表の、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンによる...
2018年発表の、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンによるアルバム『アメリカン・ユートピア』。
バーンはツアー後に、本アルバムをもとにしてブロードウェイ・ショウを行った。
シンプルな舞台。
「HERE」から始まる。
歌詞は、物事を理解するのは脳のここだ・・・
といったところからはじまるショウの様子をスパイク・リーが捉えたもの。
デイヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)のステージを記録した映画といえば『ストップ・メイキング・センス』を思い出します。
それほどトーキング・ヘッズのことを知っていたわけではないが、観た当時、「カッコイイ」という言葉しか思いつかないほどのカッコよさだった。
あちらの監督はジュナサン・デミ。
『羊たちの沈黙』でアカデミー賞を取る前の作品だ。
あの作品はデミ的とでもいうのか、どちらかというと長めのワンショットでの撮影が多かったように思います。
対して、本作のスパイク・リーは、かなりの数のカメラを使って、細かくカットを割っていきます。
舞台のショウを捉えるのに、細かいカットはあまり好きじゃないなぁ・・・と思っているのも束の間、舞台を真上からの垂直俯瞰ショットが登場し、デイヴィッド・バーンのシンメトリカルな舞台構成、様式美のようなものが映し出され、なるほど、こういう舞台構成か、と見とれていきます。
そういえば、トーキング・ヘッズ時代のビッグスーツも様式美だったなぁ。
メンバー構成はパーカッションが中心で、それにキーボードとベースなどのギター類。
総勢十数名ほどでしょうか。
彼らはみな、楽器類を携えて、ほぼ裸足(バレリーナが履くトゥシューズのようなものを履いているメンバーもいたが)。
楽器にはコード類がない。
コード類がないことで、バンドメンバーは鼓笛隊のように自由に舞台を行き来することが出来、それゆえにダイナミックな舞台が構成されています。
楽曲は、米国の悲惨な現状を歌いながらも、それでも希望、変化はあるはず・・・と信じたくなるもので、楽曲にある種のストーリーを感じることが出来ます。
そういう意味では、リベラルな中年以上の白人向きなショウかもしれず、実際、客席の観客もそういった階層のひとびとが多かったように感じられました。
ここが実際にはいちばんの問題で、デイヴィッド・バーンが歌っている内容を届けたいひとびとは、バーンの歌を聴く余裕がないのかもしれないし、趣味嗜好が違うのかもしれません。
ま、それはそれ、「とにかくカッコイイとは、こういうことさ」ということを改めて認識した次第。
それにしてもデイヴィッド・バーン、どうみてもテレンス・スタンプにそっくりなんだけどなぁ。