「ここにユートピアが在った」アメリカン・ユートピア エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
ここにユートピアが在った
これは驚愕のモニュメント。
まさに至福だった。
デイヴィッド・バーンの2019年秋にスタートしたというブロードウェイのショーをスパイク・リーが映画としてパッケージングした。
しかしこの完成度はいったい。
トーキング・ヘッズ時代の代表曲を織り込んだ構成はパーフェクト。そしてデイヴィッドを含む総勢12名のミュージシャンやダンサーたちがステージ上を動き回る姿は圧巻だ。計算され尽くしたフォーメーションの変化はホント凄いと思う。
もちろん音楽ありき。演奏のクオリティーが尋常でなかった。デイヴィッドのヴォーカルも衰えを知らない。緻密な振付があってのこのクオリティーは驚くばかり。
相当アドレナリンが出てたんだろうなぁ。
中盤の”Once in A Lifetime”で早くもイってしまう失態。ライブで一番聴きたい曲なので仕方なしか。
”Blind”から”Burning Down the House”になだれ込む怒涛のクライマックスで2回目の昇天。
椅子から立ち上がれないのはホント酷だった。
”Road to Nowhere”で一緒に歩きたかった。
これはデイヴィッド・バーンの集大成。音楽だけでなく、彼の思想、自虐的なインテリジェンスをもしっかり刻んだ。
反戦、反差別主義を貫いてきたデイヴィッド。この40年で理想の社会から更に遠のいたとさえ思えるアメリカだが、諦めることを知らない男だ。今作でも沈黙する有権者たちに、社会にしっかりコミットした。
やっぱカッコいいよ。
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