鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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鬼太郎に興味は湧いたものの…
登場人物全体の輪郭がぼんやりしてて、誰にも感情移入できませんでした。
ゲゲ郎が涙脆いという設定ですが、キャラづけとしてそんなに役割を果たしていなかったように思います。例えば水木の過去を話して涙を浮かべるというキャラなら涙脆いといえるでしょう。しかし、酒飲んで過去を思い出して泣いたり、普通に妻と出会って泣くくらいなら返ってその設定がない方が感動できました。
そもそもゲゲ郎と水木が全く絆を築いておらず、バディ要素も皆無でした。鬼太郎自体まともに見てないから分からないことだらけだったのかもしれませんが。
子供向けだとしたら、よく出来てると思いました。水木の戦争体験がいい味を加えているのに、あまり触れられていないし、トラウマを克服するという事でもないし、なくてもよかったレベルでした。
良いバディだった!
金田一風味の一族系殺人ミステリーをゲゲ郞と水木のバディで現代的アプローチをするのかと思いきや、幽霊族の因縁が根底に流れる妖怪同士の闘いにシフトする。
驚くほどに最恐で最低な悪だった。
生き抜けた命を大義のために見捨てられた戦場と、あの村の悪事が重なって見えた。
弱者の犠牲はいつの時代にもあるからこそ、ゲゲ郞と水木に一矢報いてほしいと心から願っていたが……搾取され報われない者たちの悲しみはトキちゃんとゲゲ郞の妻が全て表現してくれた。
タイトル通り鬼太郎誕生までを描くラストは誠実。
ていうか……そうやってできあがったのね、目玉のおやじ!
本筋は面白いけど...
目玉のオヤジと水木は実は昔に出会っていて、その昔話。というのが本筋。この本筋は非常に面白い。戦後昭和のほの暗いどろどろした雰囲気とか、閉じられた田舎の閉塞感など、原作初期のホラー感のような不気味さがとても上手く描かれている。ただ問題はその過去編への導入と畳み方だ。
プロローグとエピローグで出てくる記者とねこ娘、何故それらをキャストしたのかセンスを疑う。記者はただただ雰囲気を台無しにしてるだけだし、ねこ娘はまったく話に絡んでないから部外者感がエグくてモブ感がひどい。仲間ひとり選ぶならまだ一反木綿の方が良くないか?あいつなら乗って来たという事で理由出来るし。
その他にも水木は記憶喪失になったから原作の初期で目玉のオヤジを認識して無いとか、幽霊族は製剤のために捕まってなんていう完全原作無視とか、幽霊族がベッドに縛られてるのに血桜のシーンでは肥やしになってるとか、そもそも幽霊族何人おんねん多すぎやろ、とか細かい矛盾を挙げればキリが無いが、まあその辺は雰囲気でなんとかなる。
ただ、繰り返しになるが記者とねこ娘、コイツらはほんと最悪。この2人のキャストのせいで台無し。
おそ松さんの様に長年続いてる作品を女性オタク層へのターゲットへのシフトに成功しそこでの評価が7割くらい占めているキャラクター評価中心ありきの作品
鬼太郎シリーズは再放送などで2期シリーズから6期まで楽しませてもらってますが
内容のおおまかな内容は犬神家をオマージュしつつ墓場鬼太郎をベースに
一番有名な鬼太郎の誕生秘話をリブートした様な内容なのだが
6期をベースに鬼太郎の誕生のところまたやってくれるのかと楽しみに館内に足を運んだが
そういう点もあるが、かなり期待してたものと違いガッカリした
ゲゲ郎という目玉親父をビジュアルを変更した目玉になる前の姿で登場し
6期にもその様な姿自体は登場したが、声優が関俊彦さんに変更されており、
話は逸れるが、仮面ライダーの中でも女性人気の高い電王でも主要キャラに関俊彦
忍たま乱太郎でも女性人気高い先生役に関俊彦と
オタク向けじゃない作品なのに女性オタク層に人気が出てきたキャラクターを
演じてきた関俊彦さんだったので登場シーンの一声から
あっ、狙ってるわ。これと思い。もうなんか嫌な予感するな。と思い始めた
(そういうターゲットをしてない作品での関俊彦さん自体は大好きです。)
基本的に水木という墓場鬼太郎にいた主人公と設定を少し変えたような人物が主軸になるのだが、ゲゲ郎にたまに謎をほのめかされたり、少し敵組織から助けてもらったりはしたが
そこまで友情のような描写はないのに関わらずバディの様なセリフ回しが後半は増え
違和感がかなりあった。こういうのいれてば女性オタク層は二次創作してくれるだろう^^
というのが透けた感じがとてもしたので流石にもう少し関係が深まる描写がほしかった
あとは今回でてきた妖怪でもない人間の人物が八墓村のようにバッタバタと死んでいくのだが鬼太郎を見に来てるのに特に思い入れのない人物が
死んでいくので何を見せれているのか?と思った。少しなら思わないが
ほぼ全ての本編オリジナルキャラクターの死亡シーンが描かれており、悲惨さの演出にしても多すぎ。となった。鬼太郎の母にしても原作に近い姿になった理由とかは
少しおもろしろい改変がされていたが最後に少し出てきたくらいで
やっと出てきたか。と思い、感情移入があまりできなかった
唯一感情移入が出来たのは小さい男の子の長田時弥くんの末路を中々、最後まで見せずに
現代にも繋がってとても辛い目にあっており胸を締め付けられたが、
最後に鬼太郎に救われたシーンだけはこの映画の唯一好きなシーンだった。
私が合わないだけで””キャラクターだけにフォーカースした視野の狭い女性層”
だけはなく””純粋に作品として楽しんだ方””の意見自体も否定するつもりはなく、
そういった方のレビューを見ると私の様に鬼太郎のフォーマットを気にしすぎないで
とても救いのない人間の怖い話が見れてよかった。
という意見自体は理解はできているのだが私には
アニメ版犬神家をやりたかっただけで鬼太郎である意味を感じない作品だった。
出資者にじゃあどうやってお金にするの?と言われて
とってつけたような女性オタク層をターゲットにすることで舵をきったら
BL好きなオタク層に見事狙い通り的中した。いったように思えた。
6期も美少女キャラクター化が顕著にはでていたが、鬼太郎シリーズとしての面白さは
残っていたのでとても好きなのだが、鬼太郎である意味のない作品にしつつ
今回の様な女性層の狙ったマーケティングにより
今後の作品もおそ松さんのように作品が崩壊させられないか杞憂に思うことになった
残念な作品でした。
まぁ普通に面白いが、前日譚を期待すると…
世間で持てはやされており、期待して観にいったせいか感想としては「普通」である。
シナリオは良く練られているが、因習村的新鮮さがなく普通。鬼太郎版因習村と観ればキャラ物としては面白いかも。バトルシーンのアニメーションはすごい。
個人的は「ゲゲゲの謎」というくらいだから前日譚を期待していたのだが、そちらは駆け足でやられてげんなり…。視聴中、始終「墓場鬼太郎」にどう繋がるかを期待していたので因習村の話が頭に入ってこない…。
墓場鬼太郎を観てしまうと前日譚への結び方か無理やりすぎるなー…と思う。墓場鬼太郎だと鬼太郎父はガタイのいいミイラになっているが、ゲゲゲの謎だと呪いを一斉に受けて体が溶けるから包帯を巻いた結果ミイラになるのは分かるがガタイがよくなる理由がよく分からない。さらに墓場鬼太郎だと鬼太郎父母は初対面でその矛盾の解決策が水木の記憶喪失。なんで記憶を失った?一回死んだ感じから復活した副作用だと脳内解釈するが、「あー!これがこうなって墓場鬼太郎に繋がるんだぁ!」というアハ体験がなく、始終もやもやが残り消化不良で終わった。
鬼太郎前日譚を期待してみると私のような感想になるのではないかなぁと思います。
今更ながら…
初めて見ました。ネタバレは一切見ずに(というか触れてこなかったジャンルだったので、情報が集まらなかった。)見ることができました。一応ネタバレ注意です。
見終わった途端、これは…と思ってしまいました。
あまりにも救いがない。水木は多少救われたでしょう。記憶を無くし、鬼太郎を育てる道を選んだのですから。
問題は龍賀家の人々ですよ。乙米や時麿はあれだとしても、罪の無い時弥や、罪を犯さなければなら無い状況にまでなってしまった沙代がもうかわいそうで仕方がない。(特に沙代は見た瞬間から推せると思ったくらいどストライクのデザインだったから本当に救われてほしかった。)あの糞ジジイ…としか言いようがありません。あそこまでクズキャラとして描いてくれたのはありがたかったですね。死んでないけど一生苦しむだろうし。
沙代は2人目を殺してしまった時点でもう暴走してたんでしょうね。マジでショック。しばらく引きずります。これが推しが死ぬ。ということなんでしょうか。一応最後で時弥と共に救われるような描写があるんですが、結局村からは出れてないところを見るとなんとも…生まれ変わって東京でクリームソーダを飲んでくれ…幸せな人生を…マジで…
それと、かわいそうなのは考三ですよね。禁忌を犯したとは言え、精神がね…最後もね…あっさりしすぎです。
あんなほとんどしゃべらないキャラに中井さんを使うのもイカれてます。
この映画、良くも悪くもテンポが異常に良いんです。ポンポン人が死んでいく。命がとても軽く描かれていると思います。
もう一度みたいのに、もうみたくないような。結末を知った上で、あのキャラクター達にどう接したらいいのか分かりません。私はゲゲ水よりも龍賀家の人達のほうに感情移入してしまいました。本当に皆可哀想。なんなんだ。誰か救ってやってくれよ。
間違いなく面白い映画ですが、描写的にはR-15ですかね。チョイグロイかもです。
もう一回…見れないなーこれは。心を整理しないと…
拙い文章でしたが、ありがとうございました。
前日譚、傑作になりがち。
アニメ、ましてやシリーズ作品なのにミステリー、ホラーの骨組みがしっかりしている。随所で画面に現れる違和感や、犯人の考察などが序盤をグイグイと引っ張る。エグめの残酷描写も村に蔓延る陰鬱な雰囲気を醸し出してくれて、プラス要素。
中盤以降は人外要素が強めになるが、これはこれでアクションに下駄や髪などを使った従来の鬼太郎成分のアクションが爽快で面白い。ラストの現在の目玉おやじへとつながる演出も大きな感動を誘う。
なるほど!なるほど!
年代的に考えると第2シリーズ?それとも第1シリーズの再放送でしょうか?『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメのオープニング映像と主題歌を見聞きするだけで泣いてしまい本編を観る気さえ起こらず、どうしてアニメなのにこんな怖いモノを作るんだろうと拒絶反応を起こしていた記憶があります。小学生になりアニメ本編を観てその面白さに気付き妖怪にも興味を持つと同時に水木しげる先生が戦争に出征され左腕を失われたことなどを知りました。
その水木先生の生誕100周年企画のひとつである本作、上映中より多方面から高評価を聞いていたため予告編など観ていたしチェックリストには入れてました。
結局、今日まで鑑賞を引っ張ることになってしまいましたが、お盆や終戦記念日にも近く結果的に良かったかなあと思っています。
冒頭から昔大好きだった横溝正史原作の映画感満載でワクワクさせられます。
鬼太郎の声をされていた野沢雅子さんが目玉おやじ役というのも時代の流れを感じますが、これはこれで味がありました。
精製方法は別にしても本作でいうところの「M」のような薬剤である「ヒ〇ポン」が戦時中や戦後に広く使われ大問題となった話は聞いたことがあるし、一部の特権階級が私利私欲に走った挙句、命を軽んじた事実はあったのだろうと思います。その象徴としての時貞は力の維持の仕方の気色悪さも手伝って相当憎たらしく描かれており、その反動で沙代ちゃんや時弥クンの境遇や末路を思うとより可哀そうで悲しく感じられます。
展開が読めたという方が多いですが、私は鈍感なのか犯人?がわからず、まさかだったので胸が痛くなりました。
(元)目玉おやじが強くてスタイリッシュだったのと水木とのバディ感、そして鬼太郎の誕生や彼の人間に対する考え方やスタンスは両親(特に母親)から繋がるものだったことなど、いろいろ「なるほど!」って思える作りで、高評価なのもあらためて「なるほど!」と思えました。
関連ニュース内に『墓場鬼太郎』の第一話「鬼太郎誕生」くらいは予習として観てもいいかもとの記事を見つけ鑑賞後ではありますが観ました。
若干内容は違いますが、こちらもおもしろそうです。
性癖がやや特殊な映画
評判通りそこそこ面白いとは思う。
特に序盤は、八つ墓村とか犬神家とかが好きな人にはたまらない、というかそのまんまなので雰囲気は良いのだけれど…。
「ゲゲケの鬼太郎」というコンテンツにこんな地獄なみの暗い初期設定入れる必要あったかな?というのが率直な感想。
殺人、近親相姦、幼女暴行などあらゆる残虐描写や特殊性癖に溢れていて、やり過ぎな感じがした。
昨今のグロくて過激にすればみんな楽しいでしょ?みたいな浅い思想が垣間見えてなんか萎えたよ。
でも、ドMの人には性癖的に刺さる映画かもしれないね。
でも、最近不足していた横溝正史テイストの要素を満たせたのも事実で、そこそこ楽しめたのはある。
沙代と猫娘が可愛かった、最後に残った感想はそれだけだったかな。
特に沙代ね、超絶可哀想なのになぜか可愛いと思ってしまった時点で、私の中にも何か触れてはいけない衝動があるかもしれないことを自覚し、敗北した気分に(笑)
最初は面白そうな出だしだっただけに残念。
冒頭30分くらいは100点に近い出来だった。
人に薦める気にはならない。
昭和31年が舞台のサスペンス・ホラー
今作は鬼太郎もねこ娘もあまり活躍しません。鬼太郎が産まれる前の物語です。
目玉おやじの若い頃の姿が、なかなか格好良かったです。
戦争を経験した水木(声:木内秀信)は、東京から哭倉村に行き、謎の男(目玉おやじの若かりし頃)(声:関俊彦)と出会ったり、変な状況になったり、血液製剤「M」の真相を探ったり、沙代から東京に連れて行ってほしいと言われたりする。
『墓場の鬼太郎』の第一話につながる内容でした。
幽霊族や妖怪が、戦前及び戦争中は何をしていたかまで言及してくれたら、もっと満足できたかもしれません。
ねこ娘が可愛いし、鬼太郎の声は峰不二子役をした沢城みゆきさんで氣に入っています。
人間が一番怖い
子供の頃に観てたな~って思いながら何気なく観たんだけど、思った以上に大人向けだった。
記憶を辿ってみると鬼太郎って一貫して人間が一番恐いって話だったなって。今回も考えさせられたし人間の欲とかエゴが色濃い話だった。
で、鬼太郎誕生ってうたってる割にそこにはあまりフォーカスされてないと言うか、オヤジさん誕生だったなと。
これを機にテレビシリーズ観直すのもおもしろいかも。
醜悪一族に抗え! ゲゲゲの絆
昨秋はちょっとした“犬神家”ブームだったのか…?
偶然かもしれないが、昨秋公開された『ミステリと言う勿れ』と本作。『犬神家の一族』を彷彿させる設定や世界観。『犬神家の一族』が大好きな者としては嬉しさや食指そそる。
『ミステリと言う勿れ』も(TVドラマ未見でも)面白かったが、本作の方がよりディープ。
おどろおどろしい横溝風ミステリーと、水木妖怪ワールドがマッチした世界へ誘われる…。
水木しげるのライフワーク『ゲゲゲの鬼太郎』。
これまでに何度もTVアニメ化されてきているが、本作はその第6期がベース。
単に劇場版ではなく、スピンオフと言っていい。
描かれるのは、目玉のおやじの過去と、鬼太郎誕生。
以前にも前史的な『墓場鬼太郎』があったが、本作は本作のオリジナル。まだ身体があった頃の目玉のおやじが描かれるのは初めてだとか。
鬼太郎、また映画でやるのか…。当初はそんな程度。
興味はあったが、『鬼太郎』はちょいちょい見てるくらいで、特別大好きとか詳しい訳でもない。よって、劇場スルー。
そしたら、予想以上の評判とヒット。
ダークで大人向けの作風。加えて、先述の『犬神家の一族』風。
俄然興味が沸いた頃には公開終了でレンタル待ちだったが、先んじてNetflix配信。
こりゃもっと早めに見ておけば良かった。
昭和31年。戦前から日本の財政界を裏で牛耳っていた“龍賀家”の当主、時貞が死去。
その跡目は誰か…?
血液銀行に勤める水木は、龍賀家が運営する“龍賀製薬”の現社長で時貞の長女・乙米の婿である克典と昵懇でもあり、今後の強力なパイプ作りと出世の為とある密命を帯びて、龍賀家が君臨する哭倉村へ。
村に足を踏み入れた途端に感じる異様な雰囲気、異様な一族。
そんな中発表された遺言。跡目継ぎは克典ではなく、時貞の長男・時麿。
時麿は普段人前に出ないほど精神が触れており、実質実権を握る乙米共々、絶対なる血筋の前には誰も逆らえない。
一族の間で波紋が広がる中、やはりそれは起きた。
時麿の奇怪な死。
跡目争いで何者かに殺されたか、それとも…。
一族のおぞましい因習によって“何か”に呪われたか…?
昭和という時代、閉塞的な村、支配する一族、古くからの因習、跡目争い、凄惨な事件、血と呪い…。
美しいヒロインと、巻き込まれ主人公…。
もう本当にドストレートの横溝ワールドだ。
よれよれ袴の探偵が現れても不思議じゃない。
が、この村を訪れたのは水木ともう一人。奇妙な男。
よれよれの着物姿に下駄。
しょぼくれた雰囲気。生気の無い表情。片目を髪で覆っている。
浮世離れを感じさせつつ、もう片方の目はまるで人の心を見透かすかのよう。
村人に捕らえられ、時麿殺しの犯人にされかけるが、水木が制止。龍賀家の下で、水木が監視役に。
よそ者同士。立場も寝床も食事も共にする事になるが、奇妙なこの男は名前すら名乗らない。
水木はこの男を“ゲゲ郞”と呼ぶ事に。
まだ身体があった頃の目玉のおやじであった…。
ゲゲ郞が村を訪れた理由。“ゲゲゲの女房”…ならぬ妻を探しに。
幽霊族のゲゲ郞。幽霊族は人が生まれる遥か昔から存在していたが、人の出現によって生活圏を奪われ、妖怪ってだけで殺され…。
人を憎んでいたゲゲ郞だが、弱さ愚かさも含めて人の良さを教えてくれたのは、幽霊族でありながら人を愛していた妻だった。
が、その妻が行方不明に。幽霊族の仲間からの情報で、この哭倉村で気配を感じたのを最後に。
ある理由を持って村にやって来たゲゲ郞。実は水木も。
会社から帯びた密命。それは…
龍賀家が日本の財政界を裏で牛耳っている理由。ある秘薬開発。
“M”と呼ばれ、人に投薬すると不死のような効力を発揮し、日清日露でも使用されたという。
龍賀家の絶大なる権力、莫大な富の源。
それを探る…。
水木は戦争帰り。戦場での不条理な体験。国や上官の命令で命が軽んじられた惨状を目の当たりに。
帰還しても、この国は力を持った者が上にのし上がり、力無き者は地べたを這いつくばされる。
せっかく生きて還ってきたこの命。不条理さ変わらないこの国。
ならば、上にのし上がってやる。誰にも翻弄されないほどの力を手に入れてやる。その為なら、俺は…。
目的も性格も種族も全く違う二人が、各々の目的の為にバディを組む。
ミステリー要素と怪奇ワールドが面白い。
大妖怪も登場。村の湖に浮かぶ小さな島。そこから時折轟く地響きと唸り声。
人の怨念から生まれる妖怪、狂骨。
しかし本当に恐ろしいのは言うまでもない。人の暗部。
龍賀家の悪行は、昨今見た映画/ドラマ/アニメの中でもえげつないものであった…。
秘薬“M”の秘密。
幽霊族を捕らえ、その血から作る。
仲間を殺したのも、妻の行方不明もやはり…。
“M”の人体実験に村人を。その怨念が狂骨を生む。
一族と配下の村長らが陰陽道の悪技で操る。
彼らの支配下に置かれるのは一族のある人物も。
長女・乙米の娘、沙代。
こういう世界観にぴったりの大和撫子。東京に憧れ、水木に東京に連れて行って欲しいと懇願。
一見、若い男女のロマンス。が、水木は彼女の気持ちを…。
沙代は一族の血を受け継ぐ“子産み”として扱われている。その相手は水木など外部の男ではなく、一族の血と。口に出すだけでもおぞましい、実の祖父と…。沙代は時貞の“お気に入り”であった…。
また、時貞の三女の息子・時弥。この幼い子供も水木に懐き、東京に憧れるが、終盤に明かされる生を受けた理由…。
この世に生を受けた若い命と人生を、一族の私利私欲の為に弄ばれる。
人はここまで残酷になれるのか。傲慢になれるのか。醜悪になれるのか。
この悪しき一族に相応の死を。
悲しみ苦しみにより暴走した沙代の怨念から生まれた狂骨が一族を皆殺し。尚、祖父と同じ悪行をしようとした時麿や一連の事件の犯人も沙代であった…。
悲劇のヒロインは報われる事なく。沙代も反撃にあって…。
悲しみと絶叫の中に消える沙代…。
激しく後悔する水木…。
だが、事件はこれで終わりではなかった。
“M”の秘密や龍賀家のおぞましい真相は判明されたが、ゲゲ郞の妻は…?
湖に浮かぶ小さな島。神社があり、その地下深く。“窖”と呼ばれる聖域にいたのは…
全ての元凶。諸悪の根源。
ゾッとした。
あんな姿になってまで、地位や力を貪り続けたいのか。
その為に生を受け、利用された時弥…。
窖の溜め池に立つ桜のような巨木。血のように濃く紅い花を咲かす。
“血桜”と呼ばれる妖樹で、“M”はここから。囚われた幽霊族の生き血を吸っている。
花の色。血桜の中枢に囚われていた者こそ、ゲゲ郞の妻であった…。
恐ろしき血桜、現世に舞い戻ってきた時貞、彼が操る強大な狂骨。
圧倒的劣勢…。が、
ゲゲ郞は知る。妻は身籠っていた。
諦めない。ここにもいた。諦めの悪い男が。
何より力を欲していた水木。時貞が甘い言葉と誘惑で惑わそうとする。
抗う。その姿は、戦争を経験し、反骨精神に溢れた水木しげるそのものだ。
妖怪と欲にまみれた人間がさらに悪しき人間に立ち向かうというアンチテーゼ。
水木の正義への目覚め。
ゲゲ郞の妻とこれから生まれてくる我が子への愛。
そして、ゲゲ郞と水木のバディと絆に胸アツ。
陰湿なストーリーではあるが、最後は熱いものに心震える。
戦後の血を売っていた銀行や近親相姦はあながちフィクションではない。戦場で用いられた秘薬なんかも…。ゾッとさせるリアリティー。
残酷描写やアクションは想像以上の迫力、クオリティー。
痩せ型の長身ながら、ゲゲ郞強ェ~!
目玉のおやじはその昔、カッコ良かった。ビジュアルも陰のあるイケメン。
目玉のおやじと言ったら田の中勇や現在は野沢雅子だが、まだ身体があった若き頃は関俊彦のイケボ。しかし思慮深い言動があの鬼のボスを思わせる。他ボイスキャストにも石田彰や古川登志夫ら“上弦鬼”がいて、ちょっと意識してる?…なんてね。
下駄やちゃんちゃんこなど後の鬼太郎アイテムも。
そしてタイトルの“鬼太郎誕生”はEDにて。『墓場鬼太郎』第1話をベースにしているが、本作オリジナルストーリーも踏まえ展開は全く別。
辻褄合わないかもしれないし、もっと鬼太郎の誕生や活躍を見たかったという声もあるだろうし、子供受けやコンプライアンスNG描写もあるし、この陰湿な作風がそもそも受け付けない人だっている。
だけど個人的には、思っていた以上の面白さと見応えと満足!
本当に躊躇せず、早い内に見ておけば良かった…。
鬼太郎は妖怪でありながら、何故人間を助けるのか…?
人間以上の他者への優しさ。仲間への気持ち。亡き母や目玉だけになっても傍にいてくれる両親への愛。
そんな父と父が出会った一人の人間。
相容れない事はない。妖怪と人間の在るべき姿を体現してくれた。
これらが鬼太郎の源。
それらを知ってさらに、“ゲゲゲワールド”に足を踏み入れたくなってくる。
初見の人も鬼太郎ファンも楽しめる作品
いろんな映画の影響を受けて作られた作品(戦場での回想は水木しげるの”総員玉砕せよ”かな)だけれど、人間の業の深さについていろいろと考えさせらる内容だなと感じた。
鬼太郎は子供のころにビデオで見てエンディングの最後に妖怪が飛び出してくるのが怖かったけれど、それが霞むぐらい悪役がトコトン汚く若い人を犠牲にするのは構わないようなキャラだったり救いようのない展開だけれど、そんな過去を背負い人間のために戦う鬼太郎がなんだか深みのあるヒーローのように思えてきた(コミカルながらしれっと生き延びるねずみ男はやっぱり昔のまんま)
現代的にリメイクはされているけれどもし水木しげるさんが生きていたら現代の皮肉を込めて同じようなないようになったんじゃないかな・・・エンディング絵が昔の鬼太郎誕生の漫画で作者に対する敬意が伝わってきた。
鬼太郎誕生につながる前日譚
鬼太郎の誕生シーンは、ゲゲゲの鬼太郎を見たことあれば知ってると思うけど、それよりも前の父親母親の話がこの映画である。
よく知られた鬼太郎誕生シーンと整合性を合わせてるのも面白い。
父親は鬼太郎っぽい外見だが、呪いを一身に受けてボロボロの体になり、ミイラのような外見になったとか。
母親は元々は美人だったのに、血を吸われ続け小岩さんみたいな姿になったとか。
現代風な絵柄になってるのかと思いきや、ちゃんと繋げているところはなかなかアイデアですね。
ただ、本編自体は悲劇的なものでもあり、かなりシリアス。ミリテリばりに人が不審な死に方をするし、一族ことごとく死に絶えると言うのも、なかなかハードなホラーでもある。
不幸な話は心にくるものがあるが、それでも鬼太郎というテイストでなんとか見れた気がする。
主人公である水木も、原作に登場するキャラクターだが、戦争に行った体験はまさに水木しげるそのもので、理不尽な玉砕を迫られるシーンなど、日本の負の部分を多分に描いている点も非常に面白い。妖怪とはまさにこうした人間の負の部分の具現化したものである、ということだろう。
中二病には面白いのかもね
鬼太郎が好きなので、誕生秘話(原作知ってるけど)ということで観ました。
評判がとても良かったので楽しみにしていましたが、あまりのチープさにげんなりしました。
大人向け?それはストーリーではなく惨たらしい死体の表現や非人道的な性表現に対してであって、こんな薄っぺらい話は大人向けでもなんでもありません。
これもこれもと、残酷なことを盛り込んで、いかにもなお涙頂戴に仕立て、ぜーんぶ殺して解決、という伏線も回収もあったもんじゃない。
中二病ってこういうの好きですよね。
アニメの質としても、映画として出すレベルでしょうか?動きは不自然だし、デッサンは狂ってるし、あのキョウコツの迫力の無さといったら。幼児向けでしょうか?あ、PG12でしたね。
これで鬼太郎誕生秘話と銘打つ度胸がすごいですね。ただ、鬼太郎誕生がほとんど描かれなかったから面白くなかったわけではなく、たとえ鬼太郎抜きに普通の映画として見ても、全く面白くなかったです。あまりの陳腐なストーリーに三度程寝落ちしました。
全く鬼太郎と関係ない中二病ストーリーを延々と垂れ流した後、エンドロールで鬼太郎ファンにしかわからない絵を挟み、ラストに続く。なんか、カッコいい!とか思ってこういう演出にしたんでしょうかね?
全てが陳腐、全てが薄っぺら、深みも苦味も何もない映画でした。
まだまだ言いたいことはありますが、正直、どれほど言葉を尽くしても、この映画のくだらなさを語りきることはできないと思います。
本当に恐れるべきは生きた人間
とても感動的な作品です。
あらゆる所に伏線が張られていて、終盤に怒涛の伏線回収に震えました。
本当に恐ろしいのは妖怪や幽霊ではない。「生きた人間」なのだという事を再認識できます。
水木は不当な会社に通いながらも、人間として真っ当な精神の持ち主です。だからこそ村の人間の狂気さが増し悍ましく感じられます。
水木とゲゲ朗の関係性の変化にも注目です。
「煙草一本くれぬか」に「嫌だね」と返した水木中盤では水木〝自ら〟ゲゲ朗に煙草を渡します。
幽霊族である自分を助けた珍しい人間。だから哀れみをかけて水木を敵から救ったゲゲ朗。
救い救われ、信頼を築き次第に友と認識する。
呼び方の変化も印象的でした。
お主→水木
この作品の凄い所は人間の気持ち悪さを最大限描いている所です。
私たち人間は、何かを得る為に何かを失わなければならず、大切なものができると弱くなります。
ゲゲ郎はこの事をよく理解しています。
希望を持っても免れない運命もあるのだと。
だから水木(友)に自分の命よりも大切な妻とお腹の子を託しましたね。
EDが一番重要だと思います。
全てを忘れても感覚的には覚えていて、本能的に動かされていた水木。
頭の片隅には親友であるゲゲ郎の姿。
使命感もあったのかもしれない。
けれども赤子を抱く姿は父そのものでした。
感嘆しました。
また考察含め楽しみたいと思います。
何が面白いのかさっぱり分からない。 陳腐なストーリーにとって付けら...
何が面白いのかさっぱり分からない。
陳腐なストーリーにとって付けられたような悪役、ありきたりで明白な犯人。序盤から展開が予想できた上に、キャラの薄っぺらさも際立つ。水木やゲゲ郎はいいとして、悪役の翁やその辺の人間の感情の流れが薄っぺらすぎる。悪役に共感したり感情移入できないと映画は面白くないと思う。何に感動して何に興奮すればいいのか分からないままエンドロールが流れ、失望した。
私自身、墓場鬼太郎が好きだったのでエンドロールの映像だけは良かった。
なぜヒットしたのかはよく分からないままだったが。人々が何度もこの映画を見に行ったり応援上映へ足を運んでいるのか不思議でならない。
片方だけで見るくらいが丁度いい
蛍のシーン、
目で見るものだけを見ようとするから見えぬのじゃ。片方だけで見るくらいが丁度いい。
蛍が綺麗で説得力がある。
未来を、片方だけの眼で見たくなった親父。
現代に蛍が見えなくなったのは、見ようとしないからだ。
環境破壊。
夜に輝く蛍の光は綺麗だ(昼は見えない。)
もっと見よう。
もっと哀れみを。
蛍のシーン。核となるシーンだ。
欲を言えば、敵キャラが(人間も含め)もっと魅力的で怖かったらなお良かった。
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