「後半で急に陳腐な凡作に」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
後半で急に陳腐な凡作に
前半は良かった。おどろおどろしい雰囲気に創作でよくある"因習村"がよく合っていた。戦争の記憶も水木しげるの戦争観を反映しており、水木ファンとしても引き出しの多さに満足した。
だが後半、殺人事件の真相がわかってからは陳腐の一言。本当に怖いのは、本当に残酷なのは、人間なんです!そんな人間が生きる世界は価値のない世界なんです!と言いたいがための展開にうんざり。前半の高評価も引っ込めざるを得ないほどの急展開に冷めきった。
別に人間批判をやりたければ好きにすればいいのだけど、そこに至るまでと至ったあとがたいへん雑。人間の残酷さを伝えるエピソードが幽霊族狩りと一族の異常さのみ。鬼太郎を使うなら妖怪との対比とかあっただろうに。
そして何より、最も残酷な人間として描かれる黒幕の造形が陳腐極まりない。今どき小躍りする悪党って…。近年上がっているアニメ映画の出来を考慮すると、失望、開いた口が塞がらない、残念極まる、などとあらゆる言葉で酷評したくなるほど。直前に悲哀を描いたため落差も激しい。
とにかく、折返しから一転、失望を繰り返す映画だった。
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