「とてもよかった」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
とてもよかった
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横溝正史みたいな雰囲気で鬼太郎ってこんなだっけ? あまりに評判がいいから見た。鬼太郎にはアニメも漫画もあまり親しんでこなかったのだけど、水木しげるさんの戦争体験の自伝本や『河童の三平』『劇画ヒトラー』などは読んだ。またお世話になっている青林工藝舎にも所縁の深い人物だ。
主人公は企業マンの水木で、ラバウルの戦場帰りなのだから水木しげるさんを主役に据えている。ミステリーの構成の物語がとても面白い。昭和30年代の雰囲気と、トンネルを抜けていくとある村に、巨大な湖と島など、舞台が最高でわくわくする。ジムニーで行ってみたい。
娘さんがやけにぐいぐい来るなと思ったら、それなりの事情があって腑に落ちる。しかし、水木は彼女の事情にドン引きで、引かないでやってくれよと思う。ちょっとの付き合いでは人柄は分からないけど、引いてしまうのはかわいそうだ。俺なら同情する。若い時なら無理かもしれない。
クライマックスのバトルが激しく派手で、それまでの不気味な怖さとは真逆な雰囲気のアクションで、しかし映画である以上そうした方が多くのお客さんは興奮して受けるのかもしれないけど、オレには普通のアクション映画みたいで残念だ。
車いすのおじさんをもっと見たい。存在感がすごいのに、ちょっとしか出ない。
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