「昭和の因習ホラーをはじめて見る人のための映画」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 🐙たこ🐙さんの映画レビュー(感想・評価)
昭和の因習ホラーをはじめて見る人のための映画
事前の評判や周囲からの勧めもあって早々に見てきました。
とてもとても面白かったです。
ゲゲゲの鬼太郎あまり知らない人でも(この作品だけで)楽しめる作品だと思います。サスペンスやミステリー要素もありあり、アクションももりもり、妖怪物で悪魔を倒す。
キャラクターのその後や登場人物たちの顛末などあまり幸福とは言い難いのに、映画を見た後の読後感は爽やかでした。昔のドラマの「トリック」に近かったです。
◾️大人向けか否か
私は正直この作品は「子供向け」だと思います。
「近親相姦」や「謎の風習」「人間を材料に薬を作っている」ことなど、テーマは重いのですがそれらについては描写や当事者の感情など掘り下げることがなく、それ以上に「アクション」「謎解き」「ファンタジー」要素が大きいため「鬼太郎を見て育った中学生ぐらいの子供たちが自発的に見にいく」感じなのかなあ?
◾️表現の美しさについて
とにもかくにも、始終絵がとてもきれいでした。背景から人物の動きなど素晴らしいです。
昭和30年と言う舞台、タバコでいっぱいのオフィスや電車。戦争の面影が残る若者たち。病院の売血など、レトロな雰囲気がとても良かったです。
特にタバコの描写で、ポイ捨てが「そうそう!」となりました。
◾️時代描写について
背景などは昭和ではありますが、出てくる登場人物の価値観が令和だなと言う思うこともままありました。
それはやはり女性たちの自立した姿が特にそうだと言えるでしょう。今の世の中と違って、昭和であればインターネットなどはありません。戦後。さらに閉鎖的な環境であればこそ、身分の高い者たちは、選民民族である自負が強くなり、お役目を「幸福」だと教育され、外の世界は野蛮だと考えたとも思います。
にもかかわらず、多くの女性キャラクター達は今の環境が不幸だと嘆いていることです。そういった感覚が現代であるからこそ、エンタメ感が強くなってよかったです。
◾️冒頭の病院について
あれ、売血の病院ですよね。血を売るために殺到している人。無理やり血を抜かされる幽霊族…に、うまくできてる!!と思いました!「あれ、伏線だったのかー!」と思いました!
当時の資料、あまり残ってないんですが、血を売るために殺到している人。無理やり血を抜かされる幽霊族…に、うまくできてる!!と思いました!
◾️全体を通じて
世界に誇る日本のアニメーション。この作品をきっかけにゲゲゲの鬼太郎の他の媒体作品を見てみたいなと思いました。
惜しむらくは、この2人の間妖怪と人間のバディをもっと見てみたかったです。いずれ何かしらの媒体で、親父と水木が言葉を交わすようなものなどが見れたら嬉しいです。
ーーー
2024/01/16
2回目 音声ガイドつき
音声ガイドもいいと聞いていたので見に行ったんですが、本当によかったです…!
気づいてもらいたい箇所を案内するので「えっ、こんなところにこんなことが?」という感覚です。
しかし、このシステムってどうなってるんでしょう?