「めちゃくちゃ面白い」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 アニメ映画が主戦場さんの映画レビュー(感想・評価)
めちゃくちゃ面白い
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前提として鬼太郎は戸田恵子まで、墓場鬼太郎が大好きな人のレビュです。
以下、つらつらと
水木しげるイズムを見事に今の時代に落とし込んでいる。
戦争に対する憎悪、成果主義の弊害、戦後に夢見た未来、令和の閉塞感への皮肉、等々、水木しげる作品に見受けられる社会風刺がMAXで、観ていて強く共感できる。
話の主幹である戦後昭和の雰囲気が抜群。
列車の中の様子や、喫煙者の傍若無人な振る舞い、車優先の田舎のぬかるむ道、等々。
横溝や乱歩の様な世界観に惹き込まれる。
水木の自己中心的に露悪的に振る舞おうとしているのに、どうしてもその事に後ろめたさを感じている様。
弱者に対してふと見せる優しさ。
約束に対する、その時々の姿勢。
根底に有る勧善懲悪の精神。
全てが愛おしい。
演じているキャストのクオリティが非常に高水準。
三姉妹の使い方、現代編の記者とか豪華すぎて驚く。
特に水木とゲゲ郞の会話劇は、世に云う「耳が幸せ」状態。
ここから悪い感想
終盤の妖怪バトルは正直要らない。
猫娘がデザイン的にも演技的にも浮いていて邪魔。キモい。
エンドロールとラストの意味の解らない人が居るらしい。墓場鬼太郎を観よう。
総評:全く子供向けでは無いので注意。
その上で、人間の、社会の、歪んだ欲望や愚かさ、浅ましさ、醜さ汚さ、憐れさ哀しみ、そう云ったものを愛せる人には刺さる作品。
上映時間は100分ちょいだが、それ以上の充実感が得られる為、費用対効果は非常に高い。
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