「水木ワールドの映像化に成功していた」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
水木ワールドの映像化に成功していた
すごいよかった。
(主に第6期の)鬼太郎へと連なる物語。
横溝正史ばりに因習に囚われた村で、TVじゃ流せないスプラッタ展開。
裏に陰惨な戦争の実体験と、卑怯な連中だけが儲けている汚い日本社会への絶望。
ある種のエログロまで内包した怪奇全開の、水木ワールドの映像化。
本作では幽霊族が一番の被害者で、人間の欲望と執着が醜悪で恐ろしい。
鬼太郎が生まれる前、なぜ(目玉おやじになる前の)父が包帯だらけの醜く病に侵された肉体になったのか、なぜ母が目が腫れガリガリにやつれた身体になったのか、という答えも描かれつつ。
一番ぐっと来たのが、沙代という可憐な少女と、時弥という病弱な少年のくだりでした。
それらをグッと引き立たせる音楽もまた素晴らしく。
エンドクレジットで川井憲次さんと分かり、ああっ! と膝を打ちました。
お勧め(ただし、お子様に見せてはいけないような気もします)。
エンドロール後にも物語が展開するので、明るくなるまで席は立たない方がいいということも付け加えておきます。
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