ウィズアウト・リモースのレビュー・感想・評価
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惜しい作品
監督にステファノ・ソッリマ、脚本にテイラー・シェリダンと言えば、名作「ボーダーライン:ソルジャーズデイ」が記憶に新しいが、そのコンビが手掛ける作品の主演がマイケル・B・ジョーダンで、しかも特殊部隊物とくれば期待せずにはいられないはず。
現在トム・クランシーということで、一定のクオリティは保証されたようなものだったはずだが、結論から言えば非常に物足らなさを感じる、実に惜しい作品だだと思う。
どうやら、特殊部隊員の復讐劇はプロットによほどのどんでん返しを盛り込まないと、展開が読めてしまうという難点があり、国家の陰謀物もだいぶ飽きられつつある気がする。
また、そもそも国家の陰謀のわりに登場人物が少な過ぎる点や、肝心の銃撃戦や戦闘シーンも室内が多いため、こじんまりした印象を受ける。
反対に水中でのシーンなどこだわっている場面もあるが、全体的に低予算の感じは否めない。
妻を殺された特殊部隊員のジョーダンが、怒りに任せて敵のロシア人関係者を倒す、というのが作品の推進力のはずなんだが、当の本人は簡単に捕まるし、見つけた妻殺しの犯人は自爆して死ぬし、最後に黒幕を捕まえても、「まあ、だと思ってました」みたいなオチなのであまりにもカタルシスがないのが本作の問題点だと思う。
実にもったいない。
トム・クランシー詐欺
タイトルのWithout Remorseは「情け容赦無し」ということしょうか。見どころはマイケル・B・ジョーダンと戦闘シーンの迫力でしょう。
トム・クランシーのウィズアウト・リモースとあるが原作と同じなのは主人公の名前くらいで全く別の創作物でした。もっとも、原作はベトナム戦争の時代背景なので脚本は書き直さざるを得なかったのでしょう、任された脚本のテイラー・シェリダンはテレビ俳優時代の説明過剰なセリフ回しにアレルギーをもっていたので全てが端的です、ただ陰謀を絡めたサスペンスではネタが尽きていますのでせめて伏線の張り方など一工夫はしてほしかった。
シリアでの人質救出作戦でロシアの傭兵を殺したネービーシールズの隊員が帰国後次々に襲撃されロシアの報復テロと判明、復讐にロシアに乗り込むが待っていたのは罠だった。ターゲットが自爆するのも意味不明。
こんな小競り合い程度で米ソが開戦するほど馬鹿ではないのは誰の目にも明らか。また陰謀の言い訳が軍需産業の陰をちらつかせながら国を纏めるには大敵が必要というのも一面真理ですが今どきカビの生えた話。
身重の妻を殺された兵士のリベンジアクションだけではスケール不足と思ったのでしょう、とってつけたような国家陰謀論を無理やり被せた感じです。さんざんCIAを疑わせる演出で唐突に黒幕暴露も端折りすぎ。エンドロールで主人公がクラークに名前をかえてCIAに加わるところだけは原作との辻褄あわせ。
せっかくマイケル・B・ジョーダンを起用して硬派な戦闘アクション満載なのに土台のプロットが安直だと嘘くさい作り話になってしまう残念な典型例に思えました・・。
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