マークスマン : 特集
1月の“アクション映画好きが観るべき作品”はコレ!
“的中率100%”元狙撃手のリーアム・ニーソンが、
麻薬カルテルに追われるメキシコ人少年を命がけで守る
2022年の映画初めは、ぜひこのアクション映画に! “最強のオヤジ”ことリーアム・ニーソンが主演した「マークスマン」が、1月7日から公開を迎える。
今回のニーソンが演じたのは、生きがいを失った元狙撃手。ひょんなことから死の危険が迫るメキシコ人少年と出会い、命を賭して守るため旅に出るという筋書きだ。
この特集では、次に鑑賞すべき作品を探している“あなた”に向け、本作の魅力をプレゼンテーションしていく。いちばん重要なことは、「アクション映画ファンは絶対に観るべき」ということである。
【観るべき理由解説】今度のリーアムは狙撃手ニーソン
最強のオヤジVS凶悪麻薬カルテル 強者共の死闘始まる
まずは、アクション映画ファンが今作を観るべき理由を詳述しよう。大きくわけて3つ。リーアム・ニーソン、ストーリー、アメリカの好評価である。
[観るべき理由①]主演リーアム・ニーソン、題材はアクション…新作は必ずチェックでしょ
「96時間」シリーズに「フライト・ゲーム」に「ラン・オールナイト」に「スノー・ロワイヤル」にetc……。
リーアム・ニーソンは「96時間」以後、鋼の肉体を持つだけでなく経験豊富、さらに勇敢で、どんな困難に見舞われても“正しいこと”を成す男の中の男を多く演じてきた。彼が出演するアクション映画は“ハズレがない(ほぼ)”とされており、観れば「映画って良いな」と骨の髄まで染み渡るような作品ばかり。まさに信頼と実績のニーソン・ブランドが確立されている。
そんなニーソンの最新作「マークスマン」は、期待に違わずアクション映画! また少し変わった役どころなので、続いてそのあたりを紹介していこう。
[観るべき理由②]戦う相手は血も涙もない麻薬カルテル! 守るべきは母を亡くしたメキシコ人少年!
メガホンをとったのは、「マディソン郡の橋」「硫黄島からの手紙」などクリント・イーストウッド監督作でスタッフとして活躍し、「人生の特等席」で監督デビューを果たしたロバート・ローレンツ。ストーリーが非常に良い!
愛妻を亡くし、メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら愛犬と暮らす元海兵隊の腕利き狙撃兵ジム・ハンソン(リーアム・ニーソン)は、ある日、国境付近をパトロールする最中、国境のフェンスをくぐり抜けるメキシコ人の親子と遭遇する。
母親が10歳そこそこの少年をかばいながら不法入国する瞬間を目撃してしまった。ところが何やら様子がおかしい。メキシコ側から、明らかに堅気ではない男たちが駆け寄ってきて、フェンス越しに睨みを効かせている。
次の瞬間、あり得ないことが起きた。男たちは親子と、近くにいたジムに向けて発砲したのだ(のちに、男たちは麻薬カルテルの手先であり、盗まれた売上金を親子が持っていたため追ってきたのだとわかる)。
ジムが応戦したことで、あたりは一瞬にして激しい銃撃戦に! なんとか追い払うことはできたが、母親は流れ弾が急所を貫通し、息を引き取った。息子・ミゲルを守ってほしいという願いと、ある住所が書かれたメモを渡して――。
一方、アメリカに侵入した麻薬カルテルの連中は、執拗に彼らを追撃。悪夢のように迫りくる危機に、ジムは必死に抵抗する。果たして彼は、ミゲルを守り、メモに書かれた目的の地にたどり着くことができるのか? 託されたことはやり遂げる――命を懸けたアメリカ横断の逃避行。戦いの火ぶたが、切って落とされた!
[観るべき理由③]アメリカで大ヒットを記録! 批評サイトでも“絶対楽しい”信頼スコアを獲得
アメリカで公開された際の反響を振り返ってみよう。封切られるや大ヒットを記録し、全米興行ランキングで2週連続首位に! さらに、世界中の映画ファンが作品選びの参考にする辛口批評サイト「ロッテン・トマト」のスコアでは、批評家評価は低調だが、観客評価では83%フレッシュ(2021年12月19日時点)となっている。
批評家と比較して、観客の評判が非常に良い――これは映画好きの間では「絶対に観たほうがいいスコア」とされている“信頼の証”。実際、このスコアを獲得した代表的な作品として、「ボヘミアン・ラプソディ」などがある。
つまり何が言いたいか? ここまで読んでくれたアクション・ファンは、もう観に行ったほうがいいということだ。
【編集部レビュー】面白いか否か?仕上がりはどうか?
結論:とても良い映画 予想を超える“感動”も満載!
もう少し具体的に、今作の魅力を語っていこう。実際に鑑賞した映画.com編集部員(男性/リーアム・ニーソンのアクション映画は大体鑑賞済み/やっぱ「96時間」も好きだし「誘拐の掟」も好き)によるレビューをお届けする。
●見どころはアクションだけじゃない! ストーリーにもコクのある深み
リーアム・ニーソンのアクション映画はハズレがないし、実際、「マークスマン」のアクションもかなり面白い。しかしあえて語りたいのは、実はドラマの部分である。ここが一番、僕の予想を超えられたポイントだった。
主人公ジムの背景はこうだ。元海兵隊の凄腕スナイパーで、ベトナム戦争などで活躍し勲章をもらうほどの男だが、今はメキシコ国境付近の田舎町で半ばリタイア同然の生活を送っている。生活は問題だらけで、自宅が競売にかけられようとしており、とにかく金を必要としている。
自宅を手放しどこか別の世界で暮らす選択肢もあった。しかし、縁があるわけでもなく、面白みにも欠けるこの町にしがみついている理由は、今は亡き最愛の妻の遺骨をまいた土地だからだ。生きてはいるが、生きていない。ジムはまさにそんな心境で日々を空費していた。
そんな折、ジムは麻薬カルテルから追われるメキシコ人少年と出会う。生きがいを失った初老の男と、母を失ったメキシコ人少年の旅が始まった。面子を潰された麻薬カルテルの連中がなりふり構わず追いかけてくるなか、2人は無事に生き延びることができるのか――?
そして、今作の監督はクリント・イーストウッド主演「人生の特等席」で知られるロバート・ローレンツ。……ね? もうすっごい、ドラマの予感しかないでしょ?
●意外! これは“泣けるリーアム・ニーソン映画”
で、そのドラマは時間を追うごとにどんどん深みを増し、中盤からは自然と涙が流れるような展開に。というのも今回のニーソン演じるジムは、「類まれな決断力と鋼の肉体で困難を打開していくタイプのオヤジ」ではなく「精神的に脆く、常に迷いまくっているタイプのオヤジ」だからだ。
これまでのニーソン・アクション映画といえば、上記の通り、肉体も精神もタフでプロフェッショナルな男が活躍するものばかりだった。例えば「96時間」の主人公ブライアンは、娘が誘拐されるという親としては地獄の状況を電話で聞きながら、救出するための手がかりを十重二十重に見つけ出すような男だった。
ところが、今作のジムは違う。麻薬カルテルの荒くれ者たちと正面切って戦うような蛮勇はなく、追い詰められるとコソコソと茂みに隠れたりする。守るべきはずの少年に向かって、自分の決断が間違っていたと泣き言をいう。ジムは確かに最強ではあるが、それは今は昔の話……という設定なのだ。
しかし、だからこそ、今回のニーソン=ジムは素晴らしいのだ。それでもジムは、少年を守ると決めた。大切な人を失った男が、大切な人を目の前で失った少年を守ると。人間臭いんだ。感情移入がハンパじゃあないんだ。これまでのニーソン作品でも随一の“俺のための映画”感が観る間にどしどしと押し寄せてきて、そりゃあもう大変だった……。
●悪役が絶妙に鬼畜なのが逆に良い!
悪役が主人公を食う勢いで存在感を見せていると、「ああいい映画だな……」と思うことが多い。今作「マークスマン」はまさにそんな感じ。
今作における悪役は“手段を選ばなすぎる”麻薬カルテルの男たちだ。リーダー格のスキンヘッドがめちゃくちゃヤバイやつで、ジムと少年を追いかける間、アメリカ中で好き放題に暴れ回る。立ち寄ったコンビニで店員(なんの罪もない女の子なのに)を平気で手にかけるなど、観ている我々ですら「楽に死ねると思うなよ」と憎悪がつのるくらい鬼畜中の鬼畜なのだ。
そして麻薬カルテルの連中は、ジムが命よりも大切にしていた家にとんでもないことをしでかす。なんてことするんだ!ただではすまされないぞ! そのことを知ったときのジムの顔といったら、思い出すだけでも背筋が凍る。
まさに同情の余地なし、気兼ねなくぶちのめせる。だから、麻薬カルテルがジムを追い詰めれば追い詰めるほど、逆に「ジム、こいつらにどう逆襲する?」と、ワクワクが胸の奥からこんこんと湧き出てくる。悪役が魅力的であればあるほど、主人公たちも物語もまた輝くとは、こういうことなのだ。
●終盤は胸アツ展開のつるべ打ち! 結末はある意味“サプライズ”
そして最大の“予想を超えた”は、クライマックスに待っていた。ネタバレになるため具体的な言及は避けつつ、興を削がぬよう端的に言及していく。
終盤は上述のドラマが最高潮を迎え、胸が熱くなるシーンの連続。ジムが元狙撃手という設定が最も映える形でバトルが展開されるし、拳を突き上げたくなるシーンも多々ある。
さらに結末は、ニーソンファンであれば唖然とするようなシーンが……近年のニーソン映画ではなかなか観たことがない、ある意味でショッキングなまでのサプライズがあなたを待っている。ぜひとも劇場で見届けて!
以上、今作の見どころと、実際に鑑賞した感想を簡単に記してきたが、いかがだっただろうか? ニーソンファンは絶対に観るべきだし、「96時間」など有名どころは観ているくらいの映画ファンにもかなりオススメ。さらにはヒューマンドラマを好んで観る人にも刺さるだろうし、ロードムービー好きにも熱烈に推薦できる。
つまるところ。この特集を最後まで読んでくれたあなたは、「マークスマン」にきっとドハマりするはず。そういうことだ。