「戦争の恐ろしさと人間の素晴らしさ」沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家 レモンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の恐ろしさと人間の素晴らしさ
戦争映画は あまり見たくない。
銃撃戦や爆弾戦、戦車、飛行機などで国同士、兵士同士が戦う話は 全く観たいと思わない。
でも…一市民達から見た戦争の話は別。
それが、かの有名なパントマイマーのマルセル•マルソーの実話なら!マルセル•マルソーについては幼い頃、何かで見た気がするくらいだったが、マイケル•ジャクソンのムーンウォークのヒントになったという事は知っていた。観たいと思った。
凄く怖かった…
とにかく ずっと 心臓がドキドキして、緊張しっぱなし😨💦
でも、観て良かった!
改めて戦争の醜さ、恐ろしさを感じ
それに対抗する人々の崇高な志に感動した。
[以下ネタバレ含みます]
物語が始まるやいなや、突然に幸せな日常が消されて行く!少女はどうなるの?!と ずっと最後まで、怖いけど見届けなければ!と思った。
マルセルが兄アランと共にレジスタンスになろうとする動機が、少し分かりずらかったけど、親が結婚を勧める相手 エマが一緒にいたというのもあったのだろうか?
最初は孤児達がバラバラだったのが、マルセルのパントマイムに魅せられて みんな笑顔になって元気になって行く…しばし 安からかな時間…でも、
すぐにナチスが迫って来る!どうする!?
大人達は子供達に逃げる術を教える。その中で、マルセルが木になれ!木の一部になって見えなくなれと木登りを教えるシーンが とても面白い。それが、後に生きて来るが、もう…心臓に悪い…。あの時、もう少しずっと木の上でナチスが居なくなるのを待ってたら…どうだったのかな?やはり見つけられた可能性が高かったのかな?
マルセル家族は全員故郷を去って逃げた…
マルセルと父のエピソードが 私は好きだ。
故郷にいた時はマルセルの芸術活動に全く否定的であった父が、何と!客の前で自慢の歌を披露していた!それを見たマルセルは信じられず父に訊く。すると
「歌が好きだった。でも、親もその親もずっと肉屋だった、肉屋をするしかなかった。だが、全て奪われた…だから 歌えた」と言う!そうか…奪われたから叶う夢もあるんだ…不思議な感覚。マルセルに「飢えて欲しくなかった」という親心をやっと知り、良かった!と思っていたのに…😨ナチスの罠に嵌ってしまった父。
マルセルは父の為にも芸術活動を続けたのだろう。
マルセルはパントマイムだけでなく絵画も得意で、パスポートの偽造も出来る人だったんだ…😳
ユダヤ名(マルセル•マンジェル)からフランス名へ それでマルセル•マルソー。終生 その名を使い続けたのは、戦争の記憶を消さない為だったのだろうか…
とにかく、ナチスが怖い。残虐非道なシーンが極力 映像として描かれてないから、私でも見れたが、映像になくても、ナチスの将校クラウス•バルビーの演技が凄まじく恐ろしく(いかにもナチス!のイメージ…本当にドイツの俳優だった!)て、エマとサラが捕まり、拷問を受ける…想像するだけで…😱心が引き攣る…
あの後 エマは釈放される。エマはサラへの拷問に耐えられず 仲間の事を吐いてしまったのだろう。でも…サラは殺された。もしかしたらエマが拷問より死をと訴えたのかもしれない…アランと愛し合えた喜びの直後 またも突然の捕縛!そして、死と恐怖。
そして、そのおぞましい中尉も 生まれた子供を愛する父であるという事実。
マルセル達が逃亡する途中で、子らの合唱に感心して、マルセルに「どうしたら芸術方面に子を向けさせる事が出来るのか?」などと質問していた!残忍な事を平気で出来る事と芸術を愛する事、それが一人の人間の中で共存する姿で有る事が 恐ろしい…違和感。
でも、それが 「戦争」の最も恐ろしい所だと思う。普通の人間が狂わされる!もし 戦争が無く、ナチス党員で無ければ…彼も 普通の良き父親として生きて行けた…かもしれない。
ラスト辺りの緊張感は 本当に息が出来ない程!心臓がなりっぱなし!でも、遂に 子供たちは助かり、エマは…
この後、何とマルセル達?(兄アランは?)は
何回もアルプス越えという難局を経て多くの子供たちを救ったという…
同じ方法だと ナチスに感ずかれてしまいそう!本当にどうやって成功させたのか…
自分なら、あの追われる恐ろしさに怯んでしまいそう!
当時のレジスタンス活動は分からない事だらけ。あれだけの人数の食料を賄うのはとても大変な事だったろう。今のような通信手段も無いのに、外国から物資や資金援助があった事に驚いた!と共に、どんな狂った戦争、世情でも、
人間として在るべき姿を貫こうとする人々が居る事に感動する!
戦争後のアメリカ兵の前でパントマイムを披露するマルセル。その表情が悲しく、でも…力強く…素晴らしい!
戦争の恐ろしさと 生き抜く力強さ、勇気、人間の愚かさ、優しさ、気高さ、色々な想いを抱かせられた映画だった。
Wikipediaで調べたら、マルセルは英語力が優れていた為、パットン将軍の元で「渉外係」という役をしていた…とあった。それで…「兵士たちの仲間」だったんだ…。
でも…今 Wikipediaには マルセル達の映画で描かれた行動は、全く載せられていない。それは、自らは話さなかったから…らしいけど、では 何処から?マルセルに助けられた孤児達からなのだろうか…
レモンブルーさん
無理せず映画のSNSも断捨離して減らして下さいね、
掛け持ちなんて一日中サイト浸けになりますよ(笑)
まったく遠慮なさらずにフェードアウトOKですよ
😉👌
今晩は
クラウス・バルビーのその後については、本作のテロップで流されましたが、最後までナチス思想に翻弄された人物だったのですね。
狂信的な思想が及ぼす影響を感じた映画でもありました。
マルセル•マルソーは、この当時からパットン将軍の影響下にあったので、仰る通り戦争の愚かしさへの涙であったかと思いました。では。
レモンブルーさん
コメントを有難うございます。
どうなのでしょうね🤔
マルセル・マルソーのどこか憂いを含んだ目や姿が、あれ程の辛い体験からだとは想像もしていませんでした。
ソフィー・マルソーの心優しく、強い生き方に心が揺さぶられた感覚が今また蘇っています。