沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家

劇場公開日:

沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家

解説

「パントマイムの神様」と呼ばれたフランスのアーティスト、マルセル・マルソーが第2次世界大戦中にユダヤ人孤児123人を救ったエピソードを映画化。1938年、フランス。アーティストを夢見る青年マルセルは、兄アランや従兄弟のジョルジュ、思いを寄せるエマと共に、ナチスに親を殺されたユダヤ人の子どもたちの世話をしていた。パントマイムを通して子どもたちの笑顔を取り戻し、彼らと固い絆を結ぶマルセルだったが、ナチスは日ごとに勢力を増していく。そして1942年、ついにドイツ軍がフランス全土を占領。マルセルは子どもたちを安全なスイスへ逃がすため、危険なアルプスの山を越えることを決意する。「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが主演を務め、「TENET テネット」のクレマンス・ポエジー、「めぐりあう時間たち」のエド・ハリスが共演。「ハンズ・オブ・ストーン」のジョナタン・ヤクボウィッツが監督・脚本を手がけた。

2020年製作/120分/G/アメリカ・イギリス・ドイツ合作
原題:Resistance
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2021年8月27日

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(C)2019 Resistance Pictures Limited.

映画レビュー

4.0迫害や暴力に屈しない、芸術家の心意気

2021年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

おそらく史上最も有名なパントマイム役者であり、舞台芸術に詳しくなくてもマルセル・マルソーという名前に聞き覚えがあるという人も多いのではないか。そのマルセルが、まだ何者でもなかった第2次世界大戦の頃の実話だという。

ドイツ国境に近いフランスの街に暮らすユダヤ人一家の次男であるマルセル(ジェシー・アイゼンバーグ)は、家業の精肉店を手伝いながらもチャップリンのようなアーティストを夢見ている。何より自分の夢が大事な青年が、思いを寄せる女性エマに頼まれしぶしぶ手伝うことになったのが、ナチスに親を殺されドイツから逃れてきたユダヤ人孤児たちの世話。本作は英語劇なので若干あいまいになっている気もするが、孤児たちにとって、家族を失う過酷な体験に加え、外国に連れてこられて言葉の壁があることも心を閉ざす要因になっていたはず。

そんな子供たちを見て、マルセルが即興で演じてみせたパントマイムが、無言の身体表現だからこそ言葉の壁を乗り越え、子供たちを一瞬にして笑顔にすることができた。そもそもマイムは歴史的に、多言語が行き交う中世の欧州を放浪した大道芸人によって洗練されたといい、そんなマイムの本領があの場面で発揮されたわけだ。子供たちとの交流は、マルセル自身を成長させることにもなる。妹をナチスに殺され復讐を口にするエマに、マルセルは「殺された家族が生き残った者に望むのは、ナチスを殺すことではなく、子供たちを救うこと」と言い聞かせる。

ナチスドイツは勢力を拡大し、ついにフランス全土を占領。マルセルたちは子供たちを中立国スイスへ逃がすため、冬のアルプスの雪山を越えることを決意する。子供たちを連れてスイスに脱出という点で思い出すのは、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」。同作でも、戦争の暴力性と対照的な、美なるものを愛する人間性の象徴として、音楽が効果的に使われていた。戦時中のマルセルはまだ無名だったが、迫害や暴力に屈しない芸術家の心意気は確かに持っていた。現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルにした昨年日本公開の「ある画家の数奇な運命」もそうだが、国家や戦争による暴力のカウンターとして芸術や芸術家を描く映画は、これからも作られ続けるのだろう。差別や暴力を生むものに対抗する芸術の使命が、映画自体にもあることを証明するためにも。

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高森 郁哉

3.0パントマイムの神様にこんな壮絶な日々があったとは

2021年8月28日
PCから投稿

白塗りにキュッと引かれた赤い唇。落涙しそうなほど寂しげな瞳。ひと目見たら忘れないメイクでおなじみのパントマイムの神様、マルセル・マルソーにこのような日々があったとは知らなかった。ジェシー・アイゼンバーグ演じるのはまだ何者でもなかった頃の若き彼。バーでチャップリンの真似事のようなパフォーマンスを演じつつ、自宅では気ままに絵を描き、父親に将来を心配されながらもいちおう家業を手伝うなどの最低限の息子としての責務は果たしている。そんな彼がナチスによって親を殺された子供たちを保護し、やがては仲間と共にレジスタンスへと身を投じると急激にサスペンス色が増す。史実や人物を丹念に紡ぐというよりは、演出としての緊張感が意識され過ぎている感が否めず、その温度差にやや戸惑う場面はあれども、戦争が様々な傷痕を残す中で「芸術」には一体何を成すことができるのか、暗闇の中でその答えを必死に手探りする視点には心動かされる。

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牛津厚信

4.0文化人と野蛮人を分けるもの

2024年3月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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つとみ

3.0嫌な時代の話

2023年9月23日
スマートフォンから投稿

ナチスに関する映画はたくさんあるけど、どれも暗い気分になってしまう。
あの場面、もう少し木の上に居られなかったかな。あとあんな雪山で寝てしまったら凍死しそう。そういうところは映画的だった。
また、全般的にパントマイムがあまり上手くなかったため、史上最高と言われてもピンと来なかった。
評価:3.2

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bigsuke
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