RUN ラン : 特集
「search」監督がまたやった!3年ぶりの新作に震撼
狂気の“毒母”と娘の緊迫の攻防――予想を超える衝撃作
2018年に日本公開されると、評判が評判を呼びスマッシュヒットを記録したデスクトップ・サスペンス「search サーチ」。約3年経った今でも、「間違いない神作」として多くの新規ファンを増やし続けている人気作だ。
そして……同作の監督&制作チームが、再びスクリーンに帰ってきた! 6月18日に日本公開を迎えるサイコスリラー「RUN ラン」だ。
正直、「search サーチ」チームの新作というだけで観賞意欲が爆上がりの方も多いかと思うが、今回の設定もキレッキレ。毒母によって家に閉じ込められてしまった、車いす生活を送る娘。彼女はどうやって窮地を脱していくのか……。予測不能・緊迫感MAXの“新たなる神作”を見逃すな!
「search」監督“今度”は何をやってくれるんですか?
予想と180度違う「ヤバいサイコスリラー」だった…
優れたクリエイターというものは、観る者の予想を裏切ったうえで、新たな衝撃を与えようと腐心するものだ。「search サーチ」チームの新作「RUN ラン」は、まさにその精神を体現した1本。
最もショッキングなのは、パソコン等の画面で全編が構成された前作から一転して、本作では“真逆”となるオフラインの物語を構築していることだ。
この映画では「ネットにつながらない」=「外界と連絡が取れない」恐怖をこれでもかと見せつけ、往年のスリラー映画のDNAを受け継いだソリッドな世界観で観る者をうならせる。
斬新な「search サーチ」から、成熟の「RUN ラン」へ――。彼らの進化を、あなたは目の当たりにするはずだ。
・ネットには頼らない!「search」監督が“過去作からの脱却”を実践した意欲作
「search サーチ」を手掛けたアニーシュ・チャガンティ監督は、同作での成功に酔いしれることなく、「より伝統的で抑制的な作品も作れることを証明したい」と次なる目標を定めた。
それが、閉ざされた環境・行動が制限された環境・状況下での母娘の対決を描く「RUN ラン」。いわば、本作は「search サーチ」への明確なカウンターでもあるのだ。フィルムメーカーとしての意気込みが詰まった映画ときたら、見ないわけにはいかないだろう。
・自宅から出られない恐怖…現実感×没入感MAXの秀逸すぎるシチュエーション
郊外の一軒家で暮らす母娘。生まれつき車いす生活を送る娘クロエはある日、母ダイアンの行動を不審に感じるようになる。「私の母は、何かがおかしい……」。
クロエの疑念はやがて確信に変わり、“毒母”と化したダイアンの魔の手から逃れようとするが――。
静謐な始まりから、練りに練った設定と迫真の演技が生み出す没入感に絡めとられ、衝撃展開の連続に息をのむ90分。「search サーチ」チームの冴えわたる“仕掛け”の数々、あなたは見破ることができるか?
これは完全にアウト…ヤバい“毒母”を目撃してしまった
「アメホラ」女優の怪演に戦慄…この母親、異常でした
「優しい母が実は“異常”だった」という物語において、その“程度”は非常に重要だ。だが、安心してほしい。本作の“毒母”は、ゾッとするくらい常軌を逸している……。今回は特別に、その一部を紹介しよう。あくまで“さわり”程度ではあるが、これを見ていただければそのヤバさがわかるはずだ。
文字面だけでも恐ろしい毒母を演じるのは、人気ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」や「オーシャンズ8」などで知られる実力派スター、サラ・ポールソン。「ミスター・ガラス」や「カッコーの巣の上で」のスピンオフドラマ「ラチェッド」など、狂気のにじむ役どころを多数ものにしてきた彼女が、本作で再び見る者に牙をむく!
【ヤバい…①】 体調を気遣ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと過保護過ぎない……?
生まれつき病弱で、車いす生活を送るクロエ。母のダイアンは、そんな彼女を心配して無理をさせないように気を遣っていた。ただ、時折「心配しすぎ」な気がある。クロエがチョコをひとつ多めに食べたらすごく怒られたり、夜中にパソコンを使っていたら、物陰からじっとこちらを観察していたり……これは愛情の表れなのか!? だとすると相当不気味……。
【ヤバい…②】 調べものをしたいのに、なぜかスマホを持たせてくれない……ダイアンがいなければ、外に出ることができないクロエ。ただ彼女は必死に勉強をして、大学を受験。もし合格したら、寮生活が始まる身でもあった。そのためスマートフォンくらいは持っておきたいところなのだが、なぜかダイアンは頑なに反対。「いまはまだ必要がない」ということにしては、ちょっと様子が変だが……。娘がスマホを持つと、都合が悪いことでも!?
【ヤバい…③】 治療用にくれた薬、ラベルの宛名が私じゃないんだけど……
ある日、クロエはダイアンから新しい薬を受け取る。しかしその薬は、以前ダイアン用に処方されたものと酷似していた。不思議に思ったクロエは、好奇心から薬瓶のラベルをはがしてみる。すると、その裏には母の名前が……。一体なぜ!? 混乱するクロエ。この薬は、どんな効果をもたらすものなのか? そもそも本当に、薬なのだろうか……?
【ヤバい…④】 背中に謎の傷があるみたい……それって……クロエが母の行動をいぶかしむのをよそに、悠々とシャワーを浴びる当の本人。そこに映し出されるのは、傷だらけの背中! 娘にも見せたことのないその傷は、何によってついたものなのだろうか? ひょっとして、ダイアンの過去にはとんでもない秘密が!?
【ヤバい…⑤】 これを言ったら消されちゃう……でも私の母、本気で異常でした
母は何か隠している――。そう確信したクロエはまず「この薬が何なのか」ひそかに調査を始めるが、衝撃の事実を知りパニックに。しかもその姿をダイアンに見つかってしまう。彼女は家に軟禁され、さらなる母の異常性を目の当たりにするのだった……。
ちなみに、ここまで紹介してきたものはイントロ部分。本編には、身の毛もよだつ毒母の本性が詰め込まれている。覚悟して、観賞してほしい。
この衝撃は、観賞後も続く…並の映画にはない強烈後味
さらに「search」とリンクも?見るほど“深み”が増す
ここまでの紹介で、「RUN ラン」の“ヤバさ”が多少なりとも伝わったかと思う。ただ本作の真の恐ろしさは、まだまだこんなもんじゃない。
中でも特徴的なのは、「見た者にだけしかわからない“後味”」だ。この映画を見た結果、人はどうなるのか――。最後の項目では、その部分に注力して紹介したい。
まず、「最後の最後まで目が離せない」怒涛の展開が待ち受けていることは、言うまでもない。ネタバレを避けるため、現状の紹介は全体の3分の1にも満たない内容にとどめている。つまり、あと1時間は「ウソだろ……」と頭を抱えたくなるような物語が繰り広げられるということだ。
確かなクオリティに裏打ちされた、見た後も引きずるであろう超ド級の衝撃――。すべてを観終えたあなたは、こう思うに違いない。「この映画の感想を誰かと共有したい! だが、まっさらな気持ちで見てほしいため言いたくない!」と。
そう、この作品は「推したくなる」面白さと、「見た人同士で盛り上がりたくなる」満足度が両立した一本なのだ。
それほどまでに見る者を虜にしてしまうのは、やはり「search サーチ」チームの功績が大きいだろうが、先に述べたポールソンの怪演や、娘役のキーラ・アレンのハマり具合も勝らずとも劣らない。実はこのアレン、オーディションでこの役を勝ち取った実力者だが、彼女自身も高校時代に体が不自由になり、実生活でも車いすを使用しているそう。観客を呑み込むリアリティは、こうした部分にも表れている。
また本作、映画好きならニヤリとする小ネタが数多く仕込んであるそう。たとえば、設定も共通点がある傑作「ミザリー」、ヒッチコックの名作「サイコ」といったスリラー/ホラー映画のオマージュが多数含まれているのだ。そしてなんと、「search サーチ」とのリンクも!? 細部まで注意して見ると、気づけるはずだ。
このように、「RUN ラン」には無限に掘り下げていける面白さがひしめいている。期待値を存分に上げて、劇場へと向かってほしい!