RUN ランのレビュー・感想・評価
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21世紀母娘版ミザリー、というより底深く怖かった。
あ、また緑のお薬。確かネトフリの『クイーンズ・ギャンビット』にも出てきた、主人公が児童養護施設で飲まされたり、養母のものを拝借してたりしていた依存性のある精神安定剤的な?、、、と早とちりしたのだが甘かった。
全編やりすぎで極端な寓話だとは思う。
それだけに、まるで他人事とみてはまずいんじゃないか。この中の1滴でも同じようなこと
を自分も母親にされたことあるんじゃないか?娘にしてないか??と思い至ったりして、後味はよろしくなかった。キャシイ・ベイツの怪優っぷりが懐かしい『ミザリー』がマイルドにすら感じてしまう。
ともあれ、娘さんのサバイバル根性には元気づけられた。障害があったとしても若いってすごいなあ、なんて、ね。
見応え十分の傑作
主人公のクロエを演じたキーラ・アレンの演技が秀逸。足が麻痺して歩けず、喘息で激しい運動が出来ない上に吸入剤の随時の吸引が必要という肉体的に厳しい状態のときに、よりによって唯一の拠り所である母親に疑いを持たざるを得なくなる。
伏線は至るところに用意されている。大学で教えていると思しき母親に、家での独学ながら大学の受験資格を得るほど優秀な娘。SNS全盛のこの時代に高校生の娘にスマホさえ与えない母親。毎夜毎夜、確かめるように娘に薬を飲ませるが、娘は翌朝、必ず嘔吐する。届くはずの合否通知がいつまでも届かない。
もはや母親の悪意は確定的だ。どうすればいいのか、自分に何が出来るのか。そこからクロエの逃避行動が始まる。タイトルの「RUN」は本作品では「走れ」ではなく「逃げろ」の意味に思えた。
下半身不随の上に腕の力も人並み以下のクロエ。家に閉じ込められていたが故に何の人脈もないクロエ。それに対して、健常者であり社会的地位も信用もある母親。絶望的にも思えるクロエの戦いに、観ているこちらも肩入れして力が入る。弱者の代表みたいなクロエだが、母親から教育された学問の知識がそこかしこで役に立つ。皮肉なものである。
母性は時として思わぬ方向に暴走する。その顕著な一例をチャガンティ監督は母親に対する娘の戦いとして、観客をハラハラさせるサスペンスに仕立て上げた。カメラワークが大変に素晴らしく、見応え十分の傑作である。
毒親物語
上映時間を90分に収め、過剰で派手な演出はせず、手堅くしかも確実に観客に恐怖感を味あわせてくれるプロの監督だと感心しました。評判になっていないのが残念です。
なぜ、毒親になってしまったのがちょっと理解に苦しみます。娘が自立して、親から巣立つのが嫌なのか、その点がよく描かれていません。惜しいなと思いました。母の背中にある深い傷跡が怖い。何があったのかと連想して、暗い過去を思い起こせます。最後のオチは余分に思えます。
ラストのオチが一番怖かったです。
とても面白かったです。
グロテスクな映像で派手に驚かしてきたりするというわけではありませんが、じわじわと精神的に追い詰められるような恐怖体験。よくできているスリラーでした。
母親の過去や母娘の秘密にどんでん返しもあるし、ラストのオチもいい。オチが一番怖かったです。
監督のアニース・シャガンティは前作もですがとても面白い映画を作りますね。今後も期待大です。
母vs娘、シンプルなのに面白い!
体が不自由な少女が、献身的に世話をしてくれる母に疑念を持ったことから、決死の逃亡を図る本作は、ほぼ母娘しか登場せず、家の中での描写がほとんど。プロットもシンプルで、なんとなくオチの予想はつくけれど、それでもしっかり最後まで楽しめるのが凄い。
体の自由はきかなくても、頭をフル回転させて母の怪しい行動を解明していくクロエがカッコいい。自身が母にどう思われてもいるか分かったうえでピンチを自分の力で乗り切るべく行動する姿にシビれました。
90分という短い尺もテンポが良くて観やすかったです。楽しく観れて満足!
いい九十分映画、誰かが表現してた現代版サイコラプンツェルの意味がよく分かる。
非常にわかりやすく非常に面白い。監督のファンが一人増えました。
所々ゾクっとする感じもありつつ、実際にありそうな内容。
結局のところ人間は怖い。これに尽きます。
監督はインドの方というところも、当たり外れの波がすごいけれど大好きなシャマラン監督のようにお気に入りです。
編集もすごく上手く収まっていて面白い。軽い気持ちで是非見て欲しい映画です。
上映中
スマホで薬の名前を調べたくなってそわそわしたのは俺だけではないはずだ!
1時間半程度の長さで、最初は親と障害をもった娘でどうなるんだろうと思うが怪しい薬を飲まされてる事を自覚し、疑念に変わってからが徐々にホラーのような展開に!
とにかく母親が怖い!最初は過保護ない母親なのかな?と思いながら見ているがこれはちょっとおかしいな?と、後半真実が明かされてからはまあまあありそうなネタだと思いきやラストの娘の行動がまた怖い。不自由な体だと健常者の異常な行動は恐怖になる事がよくわかる作品。
前作『search サーチ』とは真逆、説明を敢えて端折った引き算が残す不協和音が印象的なハリウッド版『洗礼』
人里離れた郊外の一軒家で母ダイアンと二人暮らしのクロエは幼少期から病弱で毎日の服薬が欠かせず車椅子での生活を送ってきた高校生。そんな不幸な生い立ちにもかかわらず母の手厚い保護の下勉学に勤しみ、ゆくゆくは大学に進学して自立することを夢見ていた彼女は、母の買い物袋の中に入っていた緑色のカプセル剤を見つけその成分を調べようとして自宅のPCがネットに繋がらなくなっていることに気付く。不審に思ったクロエは母に悟られないように機転を利かせながら真相に迫ろうとするが二人の過去に想像を絶する闇が広がっていることを思い知らされる。
全編をPCとスマホのディスプレイ映像だけで構成した斬新なスリラー『search サーチ』で一世風靡した新星アニーシュ・チャガンティ監督が今回繰り出したのはバカみたいに正統派の心理スリラー。『不意打ち』、『恐怖』、『ミザリー』といった体の自由が奪われた絶体絶命が描かれたスリラーの傑作群に対するリスペクトがコッテリと滲んだ禍々しい曇天の下で繰り広げられるテンションが張り詰めたサスペンスが見事。そしてそのサスペンスを背後から盛り上げているのが、冒頭以降時折放り込まれる意味深なカット。それらに対する回答が中途半端に放棄されているので、ダイアンとクロエの過去にある途方もない闇の中に観客が勝手に物語を想像できる余地をたっぷり残しています。全てをスクリーンにブチ撒けた前作に対して引き算で余韻を残すアプローチでも前作に匹敵する不協和音をしっかり響かせる監督の力量に、新作ごとに異なるアプローチで作品を仕上げるウルグアイの奇才フェデ・アルバレスの作家性と通じるものを感じました。
穏やかに微笑んで見せるだけで観客の神経を逆撫でする恐怖を漂わせるダイアン役のサラ・ポールソンも最高に不気味ですが、オーディションで本作に抜擢されたという新人キーラ・アレンが体当たりで演じたクロエが大抵の観客が勝手に期待していた結末をシレッと裏切るのがたまらなく深いです。唐突なしてやられた感で鼻腔の奥がスッとする心地よい不快感は小学生の頃に読んで血の気が引いた楳図かずおの『洗礼』に匹敵するものでした。傑作です。
鑑賞中、恐怖心がボディーブローの様に徐々に効いて来るイメージ。
これは恐ろしい作品だった!
最後の主人公のセリフで完全にノックアウトされた印象(笑)
過去に観たパソコン画面のみで娘探しをする作品の監督と言う事で期待して観賞。
これが期待以上に面白かった!
前作はネットを駆使した展開だったけど、本作はある理由によりほぼアナログで進む展開。
この時代なのにスマホもパソコンも使う事は無し。
大学を目指す足が不自由に加え、色々な疾病を持つクロエ。
そのクロエを優しく気遣う母親ダイアンのほぼ二人だけで進むストーリー。
毎日飲む薬にクロエが違和感を感じ、そこから真実を見出だす展開。
ダイアンが何故あんな薬を飲ませるのか?
予想も出来なかったけど、理由を知った時の恐怖感はかなり高め。
クロエがとても頭が良いのも見所。
映画館から抜け出すシーン。
家の中での大冒険。
自宅地下倉庫であるものを飲むシーン。
どれも良く考えられていて面白い!
さすがワシントン大学を目指す女の子。
奇しくも病院にあったワシントン大学の広告のキャッチコピーがかなり良い仕事をしてくれました(笑)
絶体絶命的なシーンが多めで満足度はかなり高めで面白かった!
後半の病院のシーン。
かなりヤバイです。
ハラハラ感ハンパ無し。
ラストシーンがめっちゃ怖い!
と言うか、なかなか上手いオチ!
クロエよりお母さんのダイアンの方が頭が良いと鑑賞中に思ってしまいました( ´∀`)
病気や障害をこんな風に描いていいのかなー、と思っていたら、現実の事件の方がもっと強烈だった、という一作。
Macのデスクトップ画面ほか、インターネットに接続されたウィンドウ上でのみでドラマを成立させた凄腕の演出家アニーシュ・チャガンティが、今回はインターネットを封印して作り上げたサスペンス・ホラー、というか「毒親」ジャンルの作品。
本作は予告編が示すように、我が子に傷害を負わせて献身的な親として振る舞うという、「代理ミュンヒハウゼン症候群」の一つの症候を取り上げています。同種の症候は、最近でも『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』(2017)や『ファントム・スレッド』(2018)でも登場しますが、本作の主人公、クロエの母親ダイアンはなかなか強烈。クロエの身体の自由が利かない、というところがさらに本作の緊迫感を底上げしています。精神的な症状や身体の障害を、娯楽映画を盛り上げる要素として記号的に扱った、という批判も出そうなところ、本作によく似た事件は実際に起きていて、それは『見せかけの日々(原題”The Act”』(2019)というタイトルでHuluで配信されています。こちらの実話の方が、フィクションである本作よりも、ある意味強烈だったりする…。
娘に対する愛情と憎悪がダイアンの行動をエスカレートさせていくけど、「それでも実の子に対する愛情ゆえなのでは…」と観客がちょっとでもダイアンに肩入れしそうになるところを、粉々に打ち砕いてくれるチャガンティ監督の設定の周到さというか底意地の悪さ。これがために観客は安心して母親を「敵認定」できるようになるのですが、その分映像的には非常に盛り上がる後半部分の緊張感が、少し失われてしまいます。非常に素晴らしい作品だけど、ここだけは惜しいです。
クロエが真実に気づく発端となるある「薬」を見て、「あ、『クイーンズ・ギャンビット』だ」と思ったけど、こちらの薬はさらに凶悪だった!
色んな恐怖が味わえる
これは恐ろしいですね・・・
車椅子生活という自由に動けないシチュエーションは
監禁のようなシチュエーションとは違った怖さ。
自由に動けるようで思うようにはいかない歯がゆさ。
完全にバリアフリー化されていない現代を映し出しています。
身体的な束縛だけではなく、心理的な束縛も与えられ
娘クロエは生きた心地がしなかったでしょう。
信じていた人間が信じられなくなった時の不安な気持ちは
私たちも生活の中で味わう可能性のある恐ろしさです。
色んな恐怖が味わえる90分間でした。
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