「【背中の傷/引き継がれるもの】」RUN ラン ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【背中の傷/引き継がれるもの】
虐待を受けていた子供が親になった時、虐待をすることが多いという話を聞いたことがある。
この映画は、母親のダイアンの背景を語っているようで、更に、その背後にある暗いものを、意図的なのか示していない。
そして、何かよからぬものが、不透明なまま引き継がれていくという怖さをストーリーのフレームワークにしているのだと思う。
ダイアンは、もともと虐待を受けていたのだろうか。
それともミュンヒハウゼン症候群だったのだろうか。
そして、代理ミュンヒハウゼン症候群に転じたのだろうか。
しかし、外部からの同情を欲していたわけではないのだから、代理ミュンヒハウゼン症候群と言っていいのだろうか。
僕達の世界は、今や情報が溢れ、カテゴリー分類する手段に事欠くことはない。
ただ、実は、曖昧な部分が残っていて、この作品のダイアンはそうした存在であることを示唆しているのではないのだろうか。
そして、クリアに分類されないものは、放置され残っていくのだ。
(以下ネタバレ)
レビュータイトルの背中の傷は、映画をご覧いただければ理解してもらえると思うが、それは、DNAとか、そういう括りとも異なるところで、引き継がれていく、きっかけになった、大元の最初のものではないのか。
亡くなった赤子のクロエも、きっかけではあったが、全てを物語っているとは思えない。
エンディング、
クロエの子育ての話や、取り出したクスリに背筋が凍る感覚を覚える。
引き継がれたのだ。
コメントする