彼女が好きなものはのレビュー・感想・評価
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割と深く大切なことを考えさせてくれる良作なのにタイトルで少し損をしている映画。また「腐女子」の発想力は面白い。
本作の映画のタイトルには、制作陣の苦労が見え隠れします。
原作小説通りにすると、「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」となり、やや引いてしまう層が出ます。
そこでタイトルの後半を除いたのが、本作の「彼女が好きなものは」ですが、今度は❝何の映画なのかが見えにくくなってしまう❞のです。(実際に私は、試写がだいぶ前に回っていたのに作品の重要性に気付かずスルーしていました…)
その意味で言うと、NHKで連ドラ化された際の「腐女子、うっかりゲイに告る。」というタイトルは秀逸と言えるでしょう。
以上の背景を確認すると、本作の見どころ等が見えてきます。
まず、私は「腐女子」と呼ばれている人とあまり話したことがなく、「ヲタクに恋は難しい」の時も感じましたが、彼女らの想像力の高さに驚きます。例えば私には、数字は数字にしか見えないのですが、どうやら本作のヒロインには見える世界が違うようで、この辺りのシーンも面白かったです。
そして、何といっても世の中の「固定概念」や「偏見」への問題提起。ここら辺の話は日常ではタブー化され続けてきましたが、そろそろ向き合って考えるべき時でしょう。
強いて言うと本作は「バスケの場面」がやや強引で、あと少し脚本を練っていると、よりクオリティーが上がった点は残念な部分でした。とは言え、本作は2時間で様々なことを、その人の立場で考えられるようになっている良作だと思います。
ラブコメっぽい感じなのかと思ってたら全然違った。 同性愛者に偏見も...
ラブコメっぽい感じなのかと思ってたら全然違った。
同性愛者に偏見も嫌悪感もないって他人事だからなんとでも言えることで、実際目の前にいたら好奇の目で見るじゃんって、それはほんとにそうだなって思った。
結構リアルに踏み込んでるなって思うところもあれば漫画っぽいなって思うところもあって、同性愛を題材にした話って苦手だけどこれはすごい見やすかった。
小説以上のリアルな感情に迫る
多様性の時代だからといってBL関係作品が多くなる
ちょっとシリアスに展開し過ぎかな
いくつかレビューを読むと、神尾楓珠の演技力不足により安藤の苦悩が描ききれてないとあった。
物語序盤に良いと感じたところは、同性愛者である安藤が悩んでいなかったことだ。(終盤に結局悩んでいる描写があるが)
少し前に、同性愛の方が書いたある記事を読んだ。その方は漫画だか脚本だかを書く方で、同性愛者を主人公にした同性愛関係ない物語を書いたそうだ。
すると、編集だかプロデューサーだかに「ゲイなんだから苦悩させないと」と言われたという。
その方は「何で?」と思ったと語った。私もそう思う。同性愛者だから苦悩しているはず、苦悩するはず、というのはヘテロセクシャルの願望だ。
戦争映画なんだから反戦メッセージのはずという思い込みと同じだ。
ゲイの苦悩を描けてないから日本は遅れてるという意見も目にした。これもどちらかといえば逆な気がする。
同性愛者が主役級で登場する映画で、そのことで悩んでいる作品は1割くらいだろう。
つまり、苦悩している作品のほうが遅れていると言えなくもない。
もちろん同性愛者の苦悩をメインにした作品もあるので、それはそれでいいが、本作はそのカテゴリではない。もっと単純な青春の物語だったように思うし、BL漫画と実際のゲイは違うってところを絡めた成長の物語だった。
話を元に戻すと、ゲイに告白するも、そもそも女の子を好きじゃないからノーチャンスっていう、コメディみたいな作品を期待していたわけで、どちらかというと前半は中々良かったけれど、結局悩み始めた後半のほうがイマイチに感じた。
とはいえ、全体としては中々面白かったのではないか。はしゃぐ山田杏奈が良かった。
本気度が伝わってきた
多感な時期に悩む男子高校生のできごと
ゲイであっても人間として好きな純愛♥
神尾楓珠演じる男子高校生、安藤純くんの
自分がゲイであることを隠しながら
生きている人間像と、BLの漫画が好きで
読んでいる山田杏奈演じる三浦紗枝さんの
人間像が共通していてました。
高校生の男女が人を好きになる気持ちが
新鮮にそして、純粋に思いました。
安藤純くんが、ゲイのままで生き続ける
ことに自分自身悩む姿は、性別の垣根を越えた、人間らしい姿でした。
純くんの幼なじみの高岡くんは彼に優しく
支える存在でした。
高校全体に純くんがゲイであることが
知れ渡った日!
純くんと交際していた佐々木さんの言葉に
重みがありました。
病院に駆け付けた母親の世間の常識に
囚われることのない愛情がありました。
自分を見つめる紗枝さんの瞳は恋をしている
女の子そのものでした。
天空の泳ぐペンギンのなかにいる
男の子は、悠々自適に生きていく未来の姿
をイメージするストーリーでした。
これはダメなやつだった。
持って生まれた心や身体は自分の思いだけではどうにもならないのかもし...
ゲイを取り巻く環境と生きづらさ
僕自身が一番期待していた
苦しみは吐き出した時に初めて形になるんだと思う映画。
最初はたどたどしい演技という感じがして集中出来なかったけど、感情的になっていくシーンからグッと引き込まれた。
誰もが感情を全て表に出しているわけではなく、とりわけ思いを隠す人もいる。それを完全に理解することはできないから当人も周囲も苦しい。
自分が幸せになる未来が見えないとき全てを諦めたくなるけど、そうしなくて良かったと思える未来もいつか来るのかなと思えた。
主人公の幼なじみがとても良かった。男子高校生特有のノリを持ち合わせていながら友達を一心に友達として接するところが感動した。
余談だけど邦画特有?の女の子が暇を持て余す時にテトテトと歩く歩き方が気になるんだよなあ…。
同棲愛もの
普通って?
真正面から描いたリアル、山田杏奈さんの逞しさと透明感
私の周りには腐女子がたくさんいるので勧められ読んだ事があります。腐女子でない人間のBL漫画に対する素朴な疑問を主人公の純(神尾楓珠)が突っ込んでいたりと、共感して頷きながら鑑賞していました。
以前腐女子の友人が「腐女子がBL漫画を読むということがエッチなシーンが見たいからだろうと勝手に決めつけられたことがある」と苦笑いしている時がありました。
しかし友人はこうも言っていました。
「BLは奥が深い。男性同士の行為を見たいという理由で読む人も確かにいる。だけど私は漫画の中であっても偏見や差別の壁で一緒にいることが許されない登場人物の深い悲しみ、ただ好きな人と一緒にいたいだけなのに周囲から反対される当事者の理解されない苦しみを感じたりして、その逆境を乗り越える過程に涙する。誰にも馬鹿にされる筋合いはない」と。
今ではボーイズラブ作品はドラマ化や映画化作品が増え、ボーイズラブ作品からブレイクする俳優さんも多くなったように感じます。
セクシャルマイノリティというもの自体は昔と比べれば今は理解されるようになったと思います。
しかしセクシャルマイノリティ、腐女子、どちらの立場でも未だに嘘をつき隠しながら生きなければいけない肩身の狭い世の中であることは間違いありません。
この作品では今でも根強い差別が残る同性同士の恋愛事情、そして誰にも話すことのできない腐女子のリアルについて繊細に描いていたと思います。
山田杏奈さんはたくさんの作品で拝見していますが、どの作品も瑞々しく逞しい。感情が揺さぶられる素晴らしいお芝居です。
ドラマ版と比べてしまうが
ドラマ版の腐女子、うっかりゲイに告るを視聴済みです。ドラマ版を初めて見たとき、映画も含めて初めて物語で涙が出ました。それもあってとても楽しみにしていた映画でした。
ドラマ版はああだったなぁとつい比べてしまうのですが、演出や設定が少し変わっているだけで、ストーリーはほぼ同じです。そして、どちらも泣ける話です。
映画では、小野っちの行動、発言内容がドラマ版より自然で、不器用なだけで根は友達思いのいい人だというのが伝わってきました。亮平も入れての最後の3人組のシーンがすごく好きです。
一方、フォーレンハイトの扱いは雑に感じてしまい、ネットでの関係性をもっと丁寧に描いてほしかったです。
全員の演技がとても素晴らしかったです。
泣けました
嘘は誰のためにつき、何を守るために嘘をつくのか。
セクシャルマイノリティに対する一般論とリアリズムの隔たり。
どんな人でも自分を守るために、時に嘘をつき、
たとえ嘘でも生きやすい道を選びがちだが、それは本当の幸せではないと解ってる。
本当の自分を理解してもらうことはどういうことなのか。
そんな人を理解したいと思うのはどうすることか。
繊細でデリケートなテーマではあるが、
真っ直ぐに向き合う姿勢と、真意を理解してもらうことの大切さと難しさを痛感した。
若さゆえの情熱や葛藤に剥き出しになり感情をぶつけるシーンは
胸がぎゅっっっと苦しくなり涙が溢れて止まらなかった。
近しい人にさまざまな性的マイノリティの人がいる人も、そうでない人も
友人や家族、恋人など、さまざまな立場から考え、思い、
ただシンプルに、人として人を想う事の大切さを感じる作品でした。
演者の皆様が本当に本当に見事でした。
素晴らしかったです!
内容のわりに軽いタイトル…
モヤモヤが消えない青春映画
評点が高く気になっていた作品。上映終了日どうにか間に合い鑑賞。もちろん原作は未読ですし、これまでにテレビドラマにもなっていたそうですがそちらも未見です。で面白かったのですが、観賞後すごーーーくモヤモヤしているんです。すごーく葛藤しているんです。
この軽い描き方ってどうなのか?ってことです。
青春映画です。本作。同級生に同性愛者が居る青春映画です。青春映画のテイストそのままに性の悩みを持つ主人公や周辺の人たちが描かれます。LGBTを題材にした物語は(あくまでも僕が観てきた作品は)深刻な物語がほとんどでした。考えなくては、理解しなくてなならないことだという意識が高まりました。しかし、深刻ゆえに敬遠されやすい作品であったかもしれません。深刻な話は決して娯楽作品ではないからです。ということは多くの方に知ってもらうことは難しいのかも?
ですが、本作は「さらり」と描いています。もちろん適当に描いているというわけではありません。ですがオールオッケー展開なのです。主人公の周辺が奇跡的に理解ある人々でいい人だらけなのです。ゆえにエンタメ青春映画に仕上がっていますから深刻な気持ちにならずに知ることはできるのではないでしょうか?こちらの方が多くの方に知ってもらえるのだろうか?でもこのような伝わり方で良いのか・・・・?
わかんないなぁ。わからない。どっちが良いのか?
最近鑑賞した「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」のエマを思い出すと、そんなに簡単に解決できちゃうものなの?思っちゃうのです。明快というよりは複雑なテーマの割にはなんとなーく、なんとなーく、似たようなテーマの金八先生の二週にわたった前後編を見たような、ゴールありきの綺麗なまとまりに違和感を感じてしまっている自分がいるのです。同性愛、命、カムアウトなどがどうにもファッション的に扱っているように見えてしまうのです。「ま、いいよ」で終わることか?それ?????って感じの連続なんです。そんなパラダイスな世界じゃないぜって。作中「実際はファンタジーじゃないぜ」ってセリフがありますが、本作全体は超ファンタジーでは?よいのかな?このパラドックス。
ただ、辛い作品ばかりでは食わず嫌いがふえるだけ。食べやすいものから始めるって大事ですよね。そーいう意味では本作の存在意義はあるかな?なんて思ったり・・・でもなぁ。
あぁ、わからない。ただ現時点ではこの評点ですねー。どうしてもこのテーマを軽く扱っている感じが僕自身受け入れられないのです。いろんなことが上澄ばかりで。いただけない軽さ。
観賞後に読んだ監督のインタビュー記事に、「この映画がLGBTQを描いた映画と言われない日が来てほしい」とありました。言われない日とは世間の意識が変わる日だと思うのですが、監督自身は「LGBTQを感じさせない映画」を作ったに過ぎないのではないだろうか?なんて思ってしまいました。アプローチが違うのでは?なんて思いました。
原作を読んでこのモヤモヤを払拭しようと思います。
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