彼女が好きなものはのレビュー・感想・評価
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真正面から描いたリアル、山田杏奈さんの逞しさと透明感
私の周りには腐女子がたくさんいるので勧められ読んだ事があります。腐女子でない人間のBL漫画に対する素朴な疑問を主人公の純(神尾楓珠)が突っ込んでいたりと、共感して頷きながら鑑賞していました。 以前腐女子の友人が「腐女子がBL漫画を読むということがエッチなシーンが見たいからだろうと勝手に決めつけられたことがある」と苦笑いしている時がありました。 しかし友人はこうも言っていました。 「BLは奥が深い。男性同士の行為を見たいという理由で読む人も確かにいる。だけど私は漫画の中であっても偏見や差別の壁で一緒にいることが許されない登場人物の深い悲しみ、ただ好きな人と一緒にいたいだけなのに周囲から反対される当事者の理解されない苦しみを感じたりして、その逆境を乗り越える過程に涙する。誰にも馬鹿にされる筋合いはない」と。 今ではボーイズラブ作品はドラマ化や映画化作品が増え、ボーイズラブ作品からブレイクする俳優さんも多くなったように感じます。 セクシャルマイノリティというもの自体は昔と比べれば今は理解されるようになったと思います。 しかしセクシャルマイノリティ、腐女子、どちらの立場でも未だに嘘をつき隠しながら生きなければいけない肩身の狭い世の中であることは間違いありません。 この作品では今でも根強い差別が残る同性同士の恋愛事情、そして誰にも話すことのできない腐女子のリアルについて繊細に描いていたと思います。 山田杏奈さんはたくさんの作品で拝見していますが、どの作品も瑞々しく逞しい。感情が揺さぶられる素晴らしいお芝居です。
ドラマ版と比べてしまうが
ドラマ版の腐女子、うっかりゲイに告るを視聴済みです。ドラマ版を初めて見たとき、映画も含めて初めて物語で涙が出ました。それもあってとても楽しみにしていた映画でした。 ドラマ版はああだったなぁとつい比べてしまうのですが、演出や設定が少し変わっているだけで、ストーリーはほぼ同じです。そして、どちらも泣ける話です。 映画では、小野っちの行動、発言内容がドラマ版より自然で、不器用なだけで根は友達思いのいい人だというのが伝わってきました。亮平も入れての最後の3人組のシーンがすごく好きです。 一方、フォーレンハイトの扱いは雑に感じてしまい、ネットでの関係性をもっと丁寧に描いてほしかったです。 全員の演技がとても素晴らしかったです。
泣けました
同性愛を描いてる作品が最近とても増えている。 自分も当事者であるが、大体の作品はどれも現実的ではなく綺麗事であり得ないような展開が多い。 原作は観てないがNHKの「腐女子、うっかりゲイに告る」を観た時に自分が若い頃に感じていた時の気持ちと重なった。 映画版も主人公が自分はゲイであるけど大半の人がする結婚っていうものに憧れがあり他の人と変わらず普通でありたいという思いを抱いている所に共感した。 途中、とても悲しく涙が止まらないシーンがありいろいろな感情が込み上げてきたが、たくさんの人に観てもらいたい素晴らしい作品だった。
嘘は誰のためにつき、何を守るために嘘をつくのか。
セクシャルマイノリティに対する一般論とリアリズムの隔たり。 どんな人でも自分を守るために、時に嘘をつき、 たとえ嘘でも生きやすい道を選びがちだが、それは本当の幸せではないと解ってる。 本当の自分を理解してもらうことはどういうことなのか。 そんな人を理解したいと思うのはどうすることか。 繊細でデリケートなテーマではあるが、 真っ直ぐに向き合う姿勢と、真意を理解してもらうことの大切さと難しさを痛感した。 若さゆえの情熱や葛藤に剥き出しになり感情をぶつけるシーンは 胸がぎゅっっっと苦しくなり涙が溢れて止まらなかった。 近しい人にさまざまな性的マイノリティの人がいる人も、そうでない人も 友人や家族、恋人など、さまざまな立場から考え、思い、 ただシンプルに、人として人を想う事の大切さを感じる作品でした。 演者の皆様が本当に本当に見事でした。 素晴らしかったです!
内容のわりに軽いタイトル…
非常に繊細な内容を扱った物語。 何が正しくて、何が普通なのか。 多数派が正しいのか、 少数派が間違いなのか。 特殊はいけないことなのか? 平凡が当たり前なのか? この手の内容は多々あれど、 美しく尊くきものとして 学ばせてくれる素敵な作品です。 個人的にこの作品に出会えてよかったと 心から思います。 役者陣のリアリティある演技が 物凄く物語にマッチしており 窮屈なく真剣に観ることができました! 是非、何かおすすめの邦画を探してる方に オススメさせて頂きます!
モヤモヤが消えない青春映画
評点が高く気になっていた作品。上映終了日どうにか間に合い鑑賞。もちろん原作は未読ですし、これまでにテレビドラマにもなっていたそうですがそちらも未見です。で面白かったのですが、観賞後すごーーーくモヤモヤしているんです。すごーく葛藤しているんです。 この軽い描き方ってどうなのか?ってことです。 青春映画です。本作。同級生に同性愛者が居る青春映画です。青春映画のテイストそのままに性の悩みを持つ主人公や周辺の人たちが描かれます。LGBTを題材にした物語は(あくまでも僕が観てきた作品は)深刻な物語がほとんどでした。考えなくては、理解しなくてなならないことだという意識が高まりました。しかし、深刻ゆえに敬遠されやすい作品であったかもしれません。深刻な話は決して娯楽作品ではないからです。ということは多くの方に知ってもらうことは難しいのかも? ですが、本作は「さらり」と描いています。もちろん適当に描いているというわけではありません。ですがオールオッケー展開なのです。主人公の周辺が奇跡的に理解ある人々でいい人だらけなのです。ゆえにエンタメ青春映画に仕上がっていますから深刻な気持ちにならずに知ることはできるのではないでしょうか?こちらの方が多くの方に知ってもらえるのだろうか?でもこのような伝わり方で良いのか・・・・? わかんないなぁ。わからない。どっちが良いのか? 最近鑑賞した「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」のエマを思い出すと、そんなに簡単に解決できちゃうものなの?思っちゃうのです。明快というよりは複雑なテーマの割にはなんとなーく、なんとなーく、似たようなテーマの金八先生の二週にわたった前後編を見たような、ゴールありきの綺麗なまとまりに違和感を感じてしまっている自分がいるのです。同性愛、命、カムアウトなどがどうにもファッション的に扱っているように見えてしまうのです。「ま、いいよ」で終わることか?それ?????って感じの連続なんです。そんなパラダイスな世界じゃないぜって。作中「実際はファンタジーじゃないぜ」ってセリフがありますが、本作全体は超ファンタジーでは?よいのかな?このパラドックス。 ただ、辛い作品ばかりでは食わず嫌いがふえるだけ。食べやすいものから始めるって大事ですよね。そーいう意味では本作の存在意義はあるかな?なんて思ったり・・・でもなぁ。 あぁ、わからない。ただ現時点ではこの評点ですねー。どうしてもこのテーマを軽く扱っている感じが僕自身受け入れられないのです。いろんなことが上澄ばかりで。いただけない軽さ。 観賞後に読んだ監督のインタビュー記事に、「この映画がLGBTQを描いた映画と言われない日が来てほしい」とありました。言われない日とは世間の意識が変わる日だと思うのですが、監督自身は「LGBTQを感じさせない映画」を作ったに過ぎないのではないだろうか?なんて思ってしまいました。アプローチが違うのでは?なんて思いました。 原作を読んでこのモヤモヤを払拭しようと思います。
綺麗事で片づけられないからこその葛藤を丁寧に描いた映画
山田杏奈ちゃんの演技見たさで鑑賞。 思わぬ良作との出会いだった。 相変わらず、等身大の女子高生役がハマっている山田杏奈ちゃん筆頭に、主人公の神尾くんもその幼なじみの前田くんもみんなハマっていた。 神尾くんじゃカッコよ過ぎるのではと鑑賞前に思っていたが、容姿端麗具合が悪目立ちせずにかえって中性的な印象を与えていたのが良かった。 脚本も素晴らしかった。 当事者の苦しみ、周囲の戸惑い、理解のなさ、理解しようとするも上手く思考が追いつかない感じ。 人々の描きにくい感情を上手く描いているなと思った。 特に理解したいのに思考が追いつかない心情表現は見事だった。 山田杏奈ちゃんが演じていた三浦さんという女の子は、自分は同姓愛者に理解がある方だと思っていたけど、それが彼だとは想定していなかった。 だからこそ「そういう人もいる」とか、「誰を好きになってもいい」とか口ではいくらでも言える綺麗事を、安易に発することなく(発せられず)、「どうしたらいいのか」という率直な戸惑いを彼に伝えたシーンは物凄く現実味があるように思えた。 幼なじみの子だって、内心戸惑いはあったかもしれない。 でも、それを彼に見せることなく理解者として振る舞おうとした姿は、それはそれで容易なものではないと思う。 登場人物それぞれが思う感情がそれぞれあって、正解はない。 気持ち悪いという感情を思ってしまうのも、言葉を発した人の立場になると分かる気もしてしまったし。 だからこそ、少しでも人間関係の摩擦を減らすために「分かろうとする」姿勢が大事なのかもしれない。 他人のことを完全に理解することはできないことを日常生活で思い知ってる私たちは、周囲からしたらマイノリティの人たちに対しても同様の姿勢をとるべきなのだろう。 ただ、その過程で拒絶してしまったり、諦めてしまうから誰かが苦しまざるを得なくなる。 自分という人間だって完全に他人に分かってもらえるわけがないのだからもっと寛容にならなければいけないのかもしれない。 私はこの映画を見て、いろいろな感情が目まぐるしく行き来した。 自分が当事者だったら? 恋人だったら? 幼なじみだったら? クラスメイトだったら? 全然違う感情になる気がする。 同性愛はもちろんだが人間関係を再考する機会も与えてくれた映画だった。
性的マイノリティであることの切実さ
高校生なのに性的交渉を持つのが当たり前のような描き方は昭和BBA的には多少抵抗があったけれど; ; 性的に普通でないということは、そういうことなのだ、と直感的に理解できたので、これでよかったのだと思う。 ホモという言い方が侮蔑的であることも知ったし、何より、誰だって本当は普通に生まれたいんだという当たり前のことに気付かされた。人と違う自分の性向を受け入れるのがどんなに大変か。自分が一番嫌なのに、友人から非難されることがどんなに辛いか。 主演の神尾君に大きな拍手を送りたい。
同性愛者です。 原作を読み、共感する気持ちが多く映画を見に行きまし...
同性愛者です。 原作を読み、共感する気持ちが多く映画を見に行きました。 原作の内容が濃い為、映画ではバスのシーンやミスターファレンハイトのやり取り、受賞した絵のこと等少し薄さを感じました。 普通に生きたかった。好きなのに。透明な壁。気持ち悪い。 色んな表現が、自分の言葉にできない心情を言葉にしてくれていました。だから、何か僕の人生が変わったかと言われると、、、少しファンタジーだなと思ってしまいました。もしかしたら、「これはフィクションの世界だから」と決めつけることで、自分を安心させたいだけかもしれませんが。 でもまた見たいと思った作品でした。
山田杏奈に目を離すな!!
山田杏奈を愛してやまない者として、ずっと見よう見ようと思っていたがタイミングが合わずに鑑賞できていなかった本作。 今日で上映終了とのことだったが、かなりギリギリまで見るか迷った。これを見ればその後が割と大変なスケジュールになる。ここは逃して配信を待とうとも思ったが、ここで見なくて山田杏奈ファンと言えるのか!と我に返り、急いで支度して鑑賞することに。 この決断をした自分を盛大に褒め讃えたい。 本当に素晴らし過ぎる映画だった。 映画納めにこれはヤバイ。今年見た恋愛映画の中でダントツトップの映画でした。 山田杏奈さんよ、最高すぎるぜ全く。 今年はなんと5本もの映画に出演していた山田杏奈。思い返せば、2年前の「屍人荘の殺人」から可愛い女優だなぁと気になっていて、「ジオラマボーイ・パノラマガール」でドハマリして以来、ずーっと彼女の出演作品は追いかけている。つい最近見た「ひらいて」でも魅力爆発だったが、今作でも大爆発。毎度毎度彼女の出演作映画のレビューで書いているが、より一層好きになった。 今までの山田杏奈出演作の中で群を抜いて可愛い。制服、センスのある服装、Tシャツ姿に、あんなのやこんなのまで。見て可愛さを知っていただきたいのでここではあえて書きませんが(何こいつ)、温泉でのあの姿がもう可愛すぎてやられました。え、え、え、え、何この美少女、可愛いとか次元超えてるんですけど。ちょっと神尾楓珠くん、そこ変わってくれるかな。お願い。変われよ!!!と心の中はお祭り騒ぎ。全宇宙の山田杏奈ファンの皆さん、必見です。 そして、本作でもまた演技が上手すぎる。 この三浦というキャラクターが山田杏奈にハマりすぎている。少しわがままで泣き虫で、結構グイグイきて一途な心優しい少女。こんなに性格も顔も美人な少女が居たら誰でも好きになりますよ。あぁ、やられた() どのシーンも最高で挙げればキリがないのだが、特に体育館のシーン。もう衝撃的な上手さ。演技であんな唇の震えが生まれるの!?あんな全身で泣くことある!?驚きと同時に胸がうたれ、ぶわ〜っと泣けてしまいました。たまらなく良かった。本年度日本アカデミー賞で山田杏奈が新人賞取らなかったら、日本アカデミー賞一生信用出来ない。そんくらいスゴい。こんな繊細な演技ができる若手女優を未だかつて見たことがない。 あら、山田杏奈について語ってたらいつの間にかこんなにも長文になってた。失礼しました。これでも、まだまだ魅力が伝えれてないんですよ。抑えてる方なんですよ。山田杏奈の素晴らしさをもっと多くの人に知って欲しい。もっと多くの人にこの作品を見てほしい。上映拡大を願います。 という訳で、ようやく映画の評価に移ります。 BL映画といえば「窮鼠はチーズの夢を見る」が1番に思いつくのだが、本作はあの作品以上にリアリティで心をえぐる傑作。リアルな悩み、リアルな言葉、リアルな状況。みんなで話し合いをしたり、お母さんが一言も言えなかったり、現実的だなぁとしんみり。全部綺麗事じゃないのがこの映画の素晴らしいところ。映画なのに映画って感じがしないのよ。 ストーリーの構成も、展開も、脚本も、どれも無駄なく緻密で、恋愛映画であっという間と感じたのは久々。このテーマでこれ以上の映画を作ることが出来るのだろうか。ひとつの恋愛模様を描いているのではなく、主人公を軸にBLに関して様々な視点から描いている。個人的本年度日本映画脚本賞をあげます。 山田杏奈以外の役者も本当にいい。 前田旺志郎の明るさも、ラストになるにつれて感動につながりとてもいい演技をしている。まえだまえだの時とどことなく似ていて、このキャラも当て書きされたの?ってぐらいハマっている。 神尾楓珠もとてつもなく上手い。お母さんと抱き合うあのシーンはとんでもなく染みた。これまで、樹海村やうちの執事の言うことには、裏アカなどの作品に出演していた神尾楓珠だが、どれもハマらずパッとしなかったのが正直な感想。だが、本作は違った。超良かった。これからも期待できる役者ですね。 ただ、音楽が欲しかった。 ちょっと味気ない感じだし、ドラマ感があった。エンドロールも物足りず、しんみりするにはいいのかもしれないけど、やっぱり物足りなさを感じた。映画には音楽が必要だよ。 でも、最高でした。 最高の映画納めでした。 わざわざ時間を作って見てよかった。本当に良かった。ありがとう、最高の映画をありがとう。 2021年、合計137本の映画を見ました。 昨年は104本だったので、33本も多く見た事になります。それでも、逃した映画は70本あったんですが笑 今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。みなさん、良いお年を〜
タイトルから受けた印象とは別物
最初にタイトルを知った時はもう少しライトな青春ものをイメージしていたが他と違うことに悩む青年の苦悩を描いた作品だった 始まって数分で『えっ!?』と思った 軽い気持ちで観てはいけない感じだと思ったのだ 本作は同性愛者の苦悩、異性との関係、周囲との関係も描かれている。 三浦さんは他人に言えない趣味を持っていたけど安藤くんは他人言えない苦しみを抱えていた だけど真実を知った三浦さんも亮平もおのっちもお母さんも周りの人も正解の出ない悩みをかかえるようになるのだと思う キャラクターとしては理想的友人亮平が好きだけど正論や理想論を否定しながらも罪悪感を抱えたおのっちにリアリティを感じました。 本作は色々な悩みをオープンにしながらも最後を爽やかにまとめてくれた なんかいろいろ描きたいけど考えがまとまらないからこの辺にしておきます。でも観てよかったです
原作通りだとしたら、今そうする必要はあったのだろうか
キャラクター造形がやや類型的。
この作品が扱いたい問題のありかはわかりやすくなったとは思うが、当事者以外の周囲の人間をあそこまで誰も彼も無神経に描くのは今となっては単純化しすぎでは。
小野の「理解者のふりしてキャラ扱いしてないか?」は重要な指摘だけど、主人公が周囲の無神経に削られていく状況を妙に丁寧に描写した挙句に小野自身が一番ひどいアウティングをしておいて、その結果自殺未遂をした主人公に「自分だけ辛いと思うな」と言い放つのはどうなの……。「謝罪したとてどの口が?」と思ったくらいには功と罪の比重がアンバランス。安全圏にいる人のエクスキューズとして和解させたのかな?とも感じてしまった。
ヒロインの体育館での腐女子カムアウトからの流れも、相当配慮があったドラマ編でも「アウディングをいい話風に描くのはどうなのか」という議論があったと記憶しているが、今回もその扱いに疑問を感じた。
同性愛を正面から描いた秀作
かつて同性愛をこんなにポップに且つ正面から描いた作品があっただろうか。 なんと言っても山田杏奈が凄い。初めて彼女の名前を認識したのは、2019年の小さな恋の歌だったでしょうか。童顔の彼女ももう20歳なのですね。真っ直ぐな視線が印象的な唯一無二の素敵な女優さんです。そこまで売れっ子というわけでもないし、もう少し女子高生役を見たい。
ファンタジーと現実 体の距離と心の距離
ゲイの安藤純は妻子持ちのマコトを彼氏に持ちながら、周りには本当の自分を隠していた。 ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝と衝突し、彼女が手にしていたBLマンガが床に落ちてしまう。 紗枝は、「腐女子」だという秘密を守るようにと純と距離を縮めたことで、自分の好きを否定しない純に次第に惹かれていく。 原作、ドラマは未見。 近年よくあるテーマだが、改めて胸に問いかけてくる、素晴らしい新感覚青春映画だった。 「好き」という感情を周りに合わせてねじ曲げることなんてできない。 それは恋愛対象に限らず、全てにおいて言えること。 そういう意味では、BLを通して自分自身の「好き」を見つめ直す映画なのかもしれない。 自分の「好き」や「嫌い」はそのまま信じ続けて欲しいし、それが他者から批判されるようなことがあってはならない。 しかし、 そう上手くいかないのが現実。 そんな現実の厳しさと、きっと目指せる理想の優しさを描いたのが本作だった。 本来ならば、初々しくてキュンキュンしてしまう告白やデートシーンも、背景の現実が分かっているとこんなに辛いものはない。 彼女が可愛ければ可愛いほど、純粋であれば純粋であるほど、胸が締め付けられて何度もうるっときてしまった。 彼はイヤホンを付け、真顔で刺してきそうな雰囲気を纏って、自分と周りの摩擦を避けてきた。 しかし、秘密はバレるもの。 中盤の事件をきっかけに溜め込んでいた思いをぶち撒ける純に号泣。 そして、全校集会の表彰で突如スピーチを始めた紗枝でさらに号泣。 その後も良い奴たちの優しい世界が続き、涙が止まらない。 小野の「みんな他人事」発言はまさにそうだと思う。 LGBTには理解がありますとか言って、結局は自分とは違うと。私だってきっとそうだ。 純も紗枝も亮平も小野も、それぞれの事情や価値観は違うからこそ、それらをまずは自分の中で大切にすることから始めるべきなのかなとも思った。 タイトルの『彼女が好きなものは』。 個人的には秀逸だと思う。 彼女が好きなものは⬜︎ ⬜︎の中の言葉はこちらの想像力を掻き立てる上、一つに定まらない。 原作からの改編は悩ましいところだっただろうが、どこか物悲しいようなスッキリしているようなラストにぴったりだ。 『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』と現実を嘆くところに留まらず、紗枝や亮平や母親といった寄り添ってくれる人もいるよという希望の物語。 もしも性を固定されることのない、カクレクマノミの水槽のような世界があったなら。 いつかBL星に連れてってよ。
まさか泣くとは思いませんでした。
山田杏奈ちゃんが観たくて行きました。 前半は『高校生っていいな~。こんな高校生活送ってる人いるのかなぁ~。』くらいの気持ちで観てました。 途中から、みんなの抱えてる苦悩が辛くて胸が痛みました。 途中にスピーチ?のシーンがあるのですがそこで号泣しました。ハンカチ持ってなかった… どんな形だとしても大切な人がいることはとても素晴らしいことだな、と思える映画でした。
共生の可能性を問う。
「ひらいて」が良くて山田さんの映画をまた見たくなったのである。 前回に続き今回も前にも後ろにも行けないどん詰まり状況でなかなかのパフォーマンスをしてくれた。 強い眼差しと肝の据わった演技がカッコ良い。 彼のQueen好きはフレディマーキュリーが結婚まで考えた生涯を通しての最愛の女性の友人メアリー、その関係を予想させる伏線なのね。 誰かがレビューで書いていたけどいつもの同性愛ものと少し違う視点、彼ら彼女らが何故オープンになれないか、そして僕らは本当に寛容になれるのか?共生は可能なのか、、という一本踏み込んだ視点が面白かった。
山田杏奈推し
どうにか間に合って鑑賞。 率直に観れて良かった。 BL漫画とゲイ、今どきのテーマだけど、純粋なほろ苦い青春ラブストーリーに仕上がっていた。 いずれにしても山田杏奈ちゃんがいなければ成立しない作品。その存在感と圧倒的な表現力、演じるのではない自然な雰囲気を感じます。比較的重いテーマをどこか爽やかにそしてときめき感を纏わせる。 全体的にキャスティングが好みでした。演技派揃い。 山田杏奈ちゃんの今後の活躍も楽しみです。 是非映画館で🎦 まだ間に合うので観ないと後悔しますよ。
編集とトリックも素晴らしい。
公開2週目で上映回数が減ってしまったようなので、興行的には厳しいのかもしれない。 ゲイとBL好きの女子高生のボーイ・ミーツ・ガール。映像センスが素晴らしく、遊園地での空中自転車やスマホ撮りを取り入れた観覧車、水槽の青いライトに照らされた男女、交互に進むセックス、主人公が観ていた公園の少年が幼い頃の自分になってしまう。 ゲイの男子高校生はそんなに家族を作ることに取り憑かれるだろうか、別にノンケでも寂しい人生を送る人はいくらでもいるはずだ。 啖呵を切って殴りかかるかと思いきやのあそこのシーンにも驚かされた。 山場でディアエバンハンセン的なスピーチシーンが出てくるが、映画はスペクタクルを好むがちょっと女優に無理をさせているような印象が強い。劇的な自分語りをさせてしまうのは、映画の都合過ぎやしないか。ゲイをバラされて、自殺未遂をした人とBL好きではあまりに重さ、苦しさが違う。そんなにBLが好きなことは特別に気持ち悪がられるだろうかと思ってしまうのは私がおじさんなのかな。それでも当事者の問題意識と同じではないはずだ。 この映画の最後は俺の墓場の上で踊ってくれな展開なのだけれど、そこは解放ではなく、苦しさ、それもこの映画で一番苦い事が明かされる。 このまま、苦いトーンで終わりかなと思ったら山田杏奈のカラッとした態度に救われる。彼の転校もあまりに苦しいがそれでも表現はそこに引き摺られないのは気持ちよかった。 担任の先生は、人数の町にでていた草野さんという方かと思う。山田杏奈はひらいてと立て続けに観たが、どちらも良い。今井翼がゲイを演じるのもなんだか、あのマッチョな雰囲気のゲイの方いるよなとナイスキャスティング。
まさか
あんなに泣くとは... 今年観た映画で一番泣いたかもしれませんf^^;) (そもそもあまり泣きません) 安藤くんの苦しみにこっちまで胸がギュッとなりましたが 周りの人たちの何とか理解したい と寄り添う温かさが反動して沁みる沁みる... もの凄く素敵な映画でした。
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