劇場公開日 2021年12月3日

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「編集とトリックも素晴らしい。」彼女が好きなものは タカシさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0編集とトリックも素晴らしい。

2021年12月17日
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公開2週目で上映回数が減ってしまったようなので、興行的には厳しいのかもしれない。
ゲイとBL好きの女子高生のボーイ・ミーツ・ガール。映像センスが素晴らしく、遊園地での空中自転車やスマホ撮りを取り入れた観覧車、水槽の青いライトに照らされた男女、交互に進むセックス、主人公が観ていた公園の少年が幼い頃の自分になってしまう。
ゲイの男子高校生はそんなに家族を作ることに取り憑かれるだろうか、別にノンケでも寂しい人生を送る人はいくらでもいるはずだ。
啖呵を切って殴りかかるかと思いきやのあそこのシーンにも驚かされた。
山場でディアエバンハンセン的なスピーチシーンが出てくるが、映画はスペクタクルを好むがちょっと女優に無理をさせているような印象が強い。劇的な自分語りをさせてしまうのは、映画の都合過ぎやしないか。ゲイをバラされて、自殺未遂をした人とBL好きではあまりに重さ、苦しさが違う。そんなにBLが好きなことは特別に気持ち悪がられるだろうかと思ってしまうのは私がおじさんなのかな。それでも当事者の問題意識と同じではないはずだ。
この映画の最後は俺の墓場の上で踊ってくれな展開なのだけれど、そこは解放ではなく、苦しさ、それもこの映画で一番苦い事が明かされる。
このまま、苦いトーンで終わりかなと思ったら山田杏奈のカラッとした態度に救われる。彼の転校もあまりに苦しいがそれでも表現はそこに引き摺られないのは気持ちよかった。
担任の先生は、人数の町にでていた草野さんという方かと思う。山田杏奈はひらいてと立て続けに観たが、どちらも良い。今井翼がゲイを演じるのもなんだか、あのマッチョな雰囲気のゲイの方いるよなとナイスキャスティング。

タカシ