モーリタニアン 黒塗りの記録のレビュー・感想・評価
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ジョディを見に行こう
相変わらずクールで切れ味はそのまんまなのが嬉しい限り。
その上、赤い口紅が白ブロンドに映えて、いささか皺の目立つ面差しも迫力満点で、人権派弁護士だけど冷静に案件をコントロールしていきます。
カッコいい!
一方
軍の中尉で被告を死刑にすることのミッションを帯びたカンバーバッチも派手な演技はないが、観客としてはエールを贈りたい。
グアンタナモについてほとんど理解していなかったのでこの映画で911に対するアメリカの強硬な決意が改めて突きつけられた。
最終的に拷問による自白で信憑性なしとして被告は釈放され、感動的な結末で終わりますが。
この背景を違う観点も織り込んだNHKBSで最近放送された以下のドキュメンタリーも併せて見て、この映画がめでたしめでたしだけではないことも忘れずにいたい。
BS世界のドキュメンタリー「“復讐”(ふくしゅう)からの解放〜グアンタナモ その後」
オフィシャル・シークレットとの二本立て決定です
モーリタニアというと一番身近に感じるのはタコ🐙。いつもお世話になっております。モーリタニアンに蛸壺漁を教えたのはJICAの日本人。たった一人で派遣されたらしい。えらい❗
アメリカ軍の収容キャンプがなぜキューバ(社会主義国)のグアンタナモというところにあるのか?
普通の拘置所や刑務所とはどう違うのか?
ドイツ留学経験のある優秀な青年がなぜ9.11の主犯格に疑われたのか?(優秀であるが故なんだろうけど)
ジョディ・フォスターの素晴らしい演技にもかかわらず、難しい会話の多い前半は睡魔に襲われてしまった。
9.11はアメリカにとっては戦争認識なんだろうけど。
モーリタニアの青年を監禁して拷問することは民主国家とは全く別モノ。国家の有事と認識することにより大抵のことは正当化されてしまう恐ろしさ。
カンバーバッチ扮する海兵隊検事であるスチュワート・カウチ中佐が、有罪にするには確固たる証拠が必要だと、人権派の弁護士以上の生真面目さと良心でとても好感度アップ。クーリエ:最高機密の運び屋では拷問される側で凄いダイエットだったのもよくわかる。
尋問の記録 MFR。あんなに黒塗りじゃ、全然わからない。わかるのは恐ろしいということ。
長い拘置期間中の過酷な尋問(拷問)に耐えられたのは彼個人の強さによるところが大きく、大抵の容疑者は耐えられないと思う。実際の本人の映像を見て、あぁ、この明るい人だから耐えられたのかなと思った。信仰心も大きい。最後のご本人映像に救われた。モハメドゥ・オールド・サラヒよくぞ死なずに生還してくださった。獄中の手記がナンシーの手に渡らなければ、解決できなかったし、この映画もない。
拘禁による幻覚?のシーンは映画における重要な表現手法で見せ場でもあると思うが、キャットウーマンみたいなかぶりモノの女性軍人を使った色仕掛け(性的暴行)が実際あったか???単なる幻覚か???
母親を逮捕して囚人に集団レイプさせると脅すなんて、なんてケダモノ!
サラヒ役のタハール・ラヒムはフランスのアルジェリア系のイケメン。ニューヨーク親切なロシア料理店でも主役だった。当初、オフィシャル・シークレットのメインキャストに決まっていたらしい。
事実に基づく内容で、スジに起伏が乏しいので、映画としてはあまり面白くはないが、ジョディ・フォスターが引き締める。
ジョディ・フォスターが出てるけど、これはアメリカ映画ではなく、イギリス映画。
明滅するシーンがあるので注意してください
最初にグアンタナモに訪れるナンシー目線から映る兵隊の首筋や兵隊の口元どアップごしに映されるナンシーとテリー
単純に頼もしいという面の裏側には畏怖もあるように思えて凄く印象に残っています
最後にちょくちょく観られる看守との触れ合いも珍しくはないシーンですがやはり本来の人柄を思わせるいいやり方ですね
明滅するシーンは本邦でもポリゴンショックが有名ですが、拷問シーンとしてこうしてみると本当に耐え難いものであると解らせられます
とてもじゃないですが良かったねで終わらせられません
バットエンドで始まり、マイナスがちょこっとゼロに近づいただけです
ですがこうして闘い、手記を残してくれたおかげで知ることが出来たことに深く感謝します
彼の最後の笑顔は救いでしたが。。
主人公は過酷な拘留をする収容所に入れられている、というのはあらすじに書いてあって分かっていましたが、年齢制限は無かったので描写はもう少しマイルドに抑えるのかな、と思っていたら、
特殊尋問の場面はちょっと全部は見ていられませんでした。。特に点滅が多い場面があり、あまりの点滅は苦手なのでしばらく目を瞑っていました。
そして勝訴のあとにもまだ数年釈放されなかったことには納得いきませんでした。こんな事件が本当にあったのなら驚愕以外の何でもありません。。!
最後は、実際の登場人物たちのその後の様子が流れ、主人公の彼は今では妻子にも恵まれ一応幸せに暮らしているようで、その笑顔には救われましたが、よくぞあの酷い尋問を生き延びてくれた、という思いだけです。
なかなかに重いテーマの作品でした。。
国防と人権
本作はノンフィクション映画であり、しかもつい最近の21世紀に起こった実話をベースにしている。
強い国アメリカはテロを絶対に許さないという国防側の立場と如何なる場合でも法の下に人権は護られなくてはならないという司法側の立場との対立の構図となっている。
9.11同時多発テロ実行犯と接触があったイスラム教徒ということのみで罪状もないまま8年間拘留されているモーリタニア人(結局計16年勾留だっけ?)は、実のところ本当にアルカイダの一味であったかは最後までわからないままだが、報復の恐れからテロを根絶やしにするため疑わしいだけでも罰すべきという国防の考え方は米国内では非難と支持の両方であろう。
弁護士役のジョディ・フォスターと軍側代理人役のベネディクト・カンバーバッジがお互いに法律家としての矜持と正義感がアメリカの進むべき方向を必死に修正しようとしているかのように見え、人間として正しくあろうという姿勢には心を打たれる。
観るべきだが、観るとしばらく立ち直れなくなるそんな映画だと思うが、終始奥歯を噛みしめながら観ていたせいか、顎が痛くなった。
モーリタニア人のモハメドゥの笑顔がとても印象的
予告編のイメージと違い、かなり面白い映画であっという間に時間が過ぎました。
途中からモハメドゥの尋問が拷問に変わり、徐々に数か月間追い詰めて強制的に被告人にさせられ自白させられるシーンは酷かった。
アレに耐え「自由と許し」は同じ意味。アメリカを許す。と言えるのは宗教のおかげ?
結局、裁判に勝っても長期間解放されず、本当に酷い仕打ちを受けて耐えぬいたモハメドゥ。
最後に本物の弁護士とモハメドゥが紹介されましたが、モハメドゥが楽しそうに笑顔で歌う姿が印象的でした。
残りの人生は死ぬまで幸福に生きて欲しい。
骨太
アメリカの、自国の負の側面に向き合う力がすごい。まったく忖度なし。拷問で女兵士にレイプされるところまで再現している。
グアンタナモ収容所はオバマ大統領になってすぐ閉鎖されていたような気がしていたのだけど、ずっとあったようだ。エンドロールでご本人登場で、すごく明るい人で驚いた。
人間性が壊れる場所
【グアンタナモ湾収容キャンプ】
キューバのグアンタナモ湾のグァンタナモ米軍基地に
設置されているアメリカ南方軍の収容キャンプ
2002年にジョージ・W・ブッシュ政権時に設立され
アフガニスタン紛争およびイラク戦争の過程でテロに関与している
と疑われて強制連行ないし逮捕された数多くの人物が収容・監禁され
アメリカ合衆国憲法修正第5条や修正第14条に違反する
違法な拘束であると批判を受けており
キューバ政府は同基地の返還を求めている
同キャンプは現存しており
911からおよそ20年経過したバイデン政権で
閉鎖がやっと検討段階にあるこの時期に
容疑だけで14年もの間拘束された
北西アフリカのイスラム国家である
モーリタニア人の手記を元にした今作
事件自体は軍人による過度の尋問・拷問が
あったという報道自体は当時から知っていましたが
感想としては
大変衝撃的な内容であり
復讐心が正義の名を騙って行われた蛮行という
大変矛盾した有様に驚きを隠せませんでした
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの首謀者
とされたウサマ・ビンラディンとの関係性を疑われ
テロから数月後に故郷モーリタニアで身柄を拘束された
モハメドゥ・ウルド・スラヒ
ヨルダンなどを経てグアンタナモに移送され尋問を
受けますがスラヒは一貫して関与を否定します
スラヒがビンラディンの組織するアルカイダに入隊
していたのは事実でしたが
スラヒは留学先のドイツから故郷から
アフガニスタンの惨状を見てムジャヒディンの
聖戦に立ち上がらなくていいのかという思いから
だったことで全く関係ないと否定し続けます
アルカイダ入隊も20年前の事です
そんな有様をニューメキシコ州アルバカーキの
法律事務所のナンシー・ホランダーは
法的な拘束期間をとっくに過ぎている件に関して
疑問を持ちスラヒの弁護を引き受ける方向で進みます
いっぽう米国政府はスラヒをテロ首謀者として
有罪(処刑)するために軍内でも法関係に長けた
弁護士スチュワート中佐に依頼します
スチュワートも同期が犠牲になった航空機の
パイロットをしておりテロリストへの怒りは
持っていました
ナンシーはまずフェンスというフェンスを
シートで覆った異様な空間のグアンタナモを訪れ
通訳係のテリーと共にスラヒと面会
スラヒはフランス語とドイツ語しか喋れない
との事でしたがすっかり英語を覚えてしまっており
頭脳の優秀さを見せ改めて無実である事と
家族への連絡を頼みますがナンシー側も受け入れ
面会者は内容を記録して持ち帰れないため
収容所で起こっていることを文章で内部から
送ってほしいと伝えました
ところがスラヒは送ってくる文章は
事前に検閲され都合の悪い場所は真っ黒
まずナンシーは開示請求を裁判所に訴える
所から始め資料開示を勝ち取りましたが
見せられた収容所での報告書は
真っ黒に塗りつぶされた報告書ばかりでした
ただその報告書にはスラヒの自白した部分だけが
残っており信じていたテリーは怒り
ナンシーは困惑します
一方のスチュワートは調べてもテロ関与の
証拠が全く足りず作業が難航しているところへ
依頼してきた少将がせかしに来ます
あいつらがやったに決まっているから
証拠なんかなんでもいいという口ぶりに
スチュワートは疑問に感じます
当時は911によってアメリカを攻撃され
テロリストへの怒りや復讐心を持っていた
時期ですが法は法であり真っ当に証拠をそろえ
立件すべきという考えをスチュワートは
持っていたのでした
それが当たり前のはずなんですが・・
スチュワートの方も証拠探しに関して
グアンタナモでの記録に全く触れられず
生の議事録を現地まで行って開示を要求しますが
拒否されてしまいだんだん疑念を感じてきます
ナンシーは本人に会うと明らかに憔悴しており
何があったかを手記として教えてほしいと言って去ります
スチュワートはグアンタナモに勤務しており
議事録の事実を知る同僚に法の正義を盾に詰め寄ると
こっそり教えてくれます
それぞれが同時に知るような描写の中で・・・
米国防長官ドナルド・ラムズフェルドの指示した
「特別尋問」の真実を目の当たりにする事になります
それはもうほぼ拷問といっても間違いない物で
尋問するのは軍人のはずなのに人権・性的・宗教
まるで関係ない暴力的なものだったという記録でした
海沿いの隔絶地グアンタナモに収容した理由は
容疑者だけでなく軍人たちの人間性も壊すため
だったと言っても過言ではなかったわけです
この事実を同時に知るシーンは胸が痛みました
スチュワートは改めて少佐に有罪には出来ないと
言うと裏切り者と吐き捨てられ担当を外されます
ナンシーはその手記を本として出版するべきだと
本人に伝えます
裁判で争うはずだったスチュワートはナンシーと
事前に顔合わせをしていましたが
スチュワートは外される際にナンシーに
スラヒの疑いを晴らすヒントも伝えて去ります
結果スラヒは裁判で勝ち自由の身を手にしますが
結局14年もの間拘束され続けたのです
オバマ政権になってからも7年も
エンディングの後味は想像以上に悪いです
魔女狩りなんか全然笑えません
以前911関係で以前疑問に思うことを
ツイートしたら結構名のあるっぽい人から
犠牲になった人に失礼だと噛みつかれましたが
その人の見識がどうであれそういう
一方的な見識を押しつけてくる人間が
最も事実からも問題点からも
遠ざからせてしまう
そんな人はどんなに偉くても軽蔑されるべき
だと改めて思いました
おすすめしたい映画です
ただシーン的に光点滅がかなり激しいシーンが
あるのは事前に忠告しておくべきだと思いました
この映画が出来る素晴らしさ
この物語を映像化できる国が凄いなって思いました。
大きな事件や出来事には表裏があり、その暗部を出せる事がこの映画の醍醐味だと思います。
司法の判断を尊重した社会で行われる行為。
物語の発端となる9.11。これにより拘束された人物その弁護士、そして起訴する人物。
起こった事に対しての不条理な物事だけではなく、その行為の副産物として悪のレッテルを貼られた人物への国家の対応や国民からのバッシング。
その答えを司法に求める人物たちの行動がこの物語のキーであり、製作者の表現したいことだと思います。
もう一つ何が本当の事なのか分からない中で、想いのこもった手紙(言葉)には確かに何かを起こさせる力があるんだろうと思わせてくれる物語だと感じました。
怖い事
ですね。アメリカは必死で犯人探しをして、疑いを持たれた者は、肉体的にも精神的にもボロボロにされる。それは嘘の証言でもしてしまうでしょうね。でも、裁判に勝ったのに、更に7年も釈放されなかったのは何故でしょうね。
「黒塗り」で日本人を煽ってみる
カンバーバッチは、今回もカッコ良い役どころ。多少の危惧を持ちながらの鑑賞でしたが、グアンタナモを良くご存じない方は、事前予習は必須。9.11の実行犯グループについても、多少の知識があった方が良いと思いました。
◆ここに収容所を作った理由は、看守を隔絶するため
人権弁護士ナンシーの言葉の意味の説明が、アメリカ人以外には必要なんでしょう、まずは。グアンタナモにはアメリカ海軍の基地があります。キューバに連れて来られた事を察したサラヒは、「米軍がなんでキューバに?」と疑問の言葉を口にしますが、これは彼が政治的には無知であることの描写になっています。
1898年の米西戦争時、米軍はグアンタナモを占領し、その後キューバを支援してスペインからの独立を実現します。キューバ新政府はアメリカの求めるまま、グアンタナモの永久租借を承認します。キューバ革命後の国交断絶期間中には、米・キューバ双方が基地へのアクセスを不可能にするために地雷を大量に設置。カストロ政権が基地租借を違法だと非難する事態を受け、米軍側は地雷を撤去。バイデンは、様々な問題を起こしているグアンタナモからの完全撤退を選挙期間中に公言していますが、今のところ、具体的な動きはありません。
でですよ。
グアンタナモは租借地なので、主権はキューバにあります。よって「アメリカ国内法」の効力が及びません。グアンタナモは米軍基地の収容所です。ここで「捕虜」の場合はジュネーブ条約の適用対象となりますが、「テロリスト」=「犯罪者」となった場合、軍法の適用対象となり、これは事実上、拘留されたものを保護する法が無くなることを意味します。
いかなる国際法・国内法からも隔絶された場所で、米軍が都合の良い様に振る舞える場所。それが、グアンタナモと言う事です。
◆今更「サウジ政府関与の疑い」と報道するNHK
今年9月9日、NHKは9.11のテロに「サウジアラビア政府」が関与していた可能性を、「20年後の真実」とでも誤認させるようなweb番組を公開しました。今更も今更ですけどね。もう、こういうところが大っ嫌いだし、どんな狙いがあるのかと勘ぐってしまいます。
サウジアラビアはサウード家が支配する絶対君主制国家です。王家は5,000人とも1万人とも言われていますが、中には強硬な反米思想の王子が多数います。そもそもビン・ラディンはサウジ出身。また、ウガンダのアミン、パキスタンのミヤーン・ムハンマド・ナワーズ・シャリーフなどの亡命を受け入れた犯罪者エスケープ国家でもあります。なんと言っても、テロの実行犯19人中、15人がサウジアラビア国籍者。
こうした背景もあり、9.11から1年以内には、サウジの「特定王子」(政府じゃ無い点に注目)が9.11テロを裏で操り、ビン・ラディン一家はサウジに潜伏している、との怪情報が世界中を駆け巡りました。
◆リクルーターの重要性
欧米在住で、怪しまれる事なく米国に渡り暮らしていくことができるムスリム。欧州で活動するリクルーターの役割は、そうした人物をかき集める事。実行犯19人のうち、4人がドイツ・ハンブルグを拠点にするイスラム過激派組織の出身者であった事が、サラヒの冤罪につながっていきますが、その4人は全員がサウジ国籍でした。リクルーターは重要ですが、9.11の実行犯グループの国籍と経歴からは、サウジ国内からの遠隔操作だけで充分だったはず、としか思えない。
◆ナンシー・ホランダーの成し遂げた事
日本国内の人権派弁護士の、おそらく半数が「大っ嫌い」なワタクシです。反体制のために人権を弄ぶ人たちですからね。ナンシー・ホランダーの偉業は、「グアンタナモにアメリカ合衆国の憲法権利章典適用を認めさせたこと」にあり、映画も、その点に焦点を合わせた造りになっています。
◆バイデンへの期待
グアンタナモを閉鎖すると公言したのは良いとして。代替地・代替施設はどーすんですか?
収容者の権利の保証と、その監視プロセスを導入するだけで良いんちゃいますか?
って思います。
割とフラットに作られており、ナンシー・ホランダーを称える内容になっている点に好感を持ちました。邦題、どうにかならんのかなぁ?、ってのは思いますw
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11/1追記
ちょうど、この映画を見た10月30日、Parstodayにグアンタナモ収容所キャンプに拘束されていたマジード・ハーン氏の記事が上がっていました。記事の要旨は以下。
(以下、Parstoday日本語版からの抜粋)
米同時多発テロ後にグアンタナモ刑務所に拘束された収容者が、これまで秘匿されていたCIAによる拷問について、初めて暴露。
イスナー通信にると、マジード・ハーンは戦争犯罪容疑について検討する陪審団(グアンタナモ)に対し、CIAが秘密施設において、いかに尋問担当者からの圧力にさらされ、拷問や虐待を加えられていたかを語った。
ハーン氏は、長期間にわたって天井の柱から裸の状態で吊るされたり、氷水を継続的にかけられたりして、何日も眠れないようにされたと語った。また、頭を窒息するほど水の中に沈められたり、平手打ちを受けたり、さらには性的虐待の対象にもなり、「所在が隠された」刑務所内で食事を提供されなかったりしたとのこと。
同氏は、彼らに協力したり自白したりすればするほど、拷問は激しくなったと述べています。
ハーン氏は2006年9月にグアンタナモ刑務所に移送されるまで、およそ3年にわたって、このいわゆるCIAの「ブラック・サイト」で過ごしていました。
(以下省略)
ハーン氏がグアンタナモ移送前、CIAのブラックサイトで拷問されていたのは2003~2004年から。彼はグアンタナモの陪審団に対して、CIAのブラックサイトにおける拷問をチクった、と言う記事です。彼はグアンタナモでの拷問を受けていません。
米国最高裁判所が、グアンタナモの被拘禁者に「受刑者の監禁刑法」による保全の権利があると裁定したのが2004年。映画の主人公であるサラヒに、コロンビア特別区連邦地方裁判所からの釈放命令が下ったのが2010年3月。同年9月、米司法省は上訴。映画の原作である「グアンタナモ日記」の出版が2015年。この出版が世論を動かしたものと思われ。国防総省等、6機関のタスクフォースチームによって構成される「定期審査委員会」の審査で、サラヒの釈放が決定したのが2016年2月。同年6月、サラヒは釈放されました。
米国最高裁判所の「受刑者の監禁刑法」の裁定が2004年。ナンシーがサラヒの弁護を引き受けたのが2005年。カンバーバッチ演じるカウチが、「証拠を入手するために使用された方法」の不当性を知ったことで、「良心的に事件を続けることができなくなった」として手を引いたのは、2004年の5月なんですね。
映画を見て誤認してしまいましたが、グアンタナモの被拘禁者が米国憲法によって保障されている幾つかの権利を行使できると言う裁定は、弁護士ナンシーが事件に乗り出す前の事でしたし、カウチとの事前の直接折衝も、映画の上での演出と思われます。
カウチは2006年9月9日にナンシーに手紙を書いています。 手紙の中で、サラヒは彼の犯罪の自白はすべて拷問の結果であることや、尋問中に「すべて」を語るように求められて笑い、「チャーリーシーン彼がデートした女性の数を尋ねるようなものだ」と冗談を言ったこと、等を告白したとの事。
グアンタナモでの非人道的な拘束や拷問による尋問を止めたのは、カウチの行動がきっかけと言うのが事実の様ですし、映画の中で描写されたような拷問は、少なくとも現在のグアンタナモには存在しない様です。
ちなみに、治外法権の地、グアンタナモには「ゴースト被拘禁者」なるものが存在します。裁判外の囚人で、時として政府ですら、その身元を明かされることが無いそうです。
興味はありますが、ちょっと怖い。
人間を見つめる
怖さに震えながら
劇場を出ました。
9.11で国内外に激震が走り
国家の威信をかけて
首謀者や全容を何としても明らかにして
きちんと報復し
国民を納得させ他国に知らしめる必要があったことで
起こったことだと思います。
理性、思いやり、良心、法の遵守の欠片も感じられない
人間や国家の負の部分が
現代であってもどこであっても出現することに対する怖さです。
でも、同時に人間の正の部分の救いを
何とか感じられる映画でもありました。
地獄の中でも正気や本来の人間性を失わず
スラヒが赦そうと考え生きること、
周囲からバッシングを受けるなど困難がありながらも
真実に迫り、助けが必要な弱い立場の人に寄り添おうとするナンシー、
感情に走らず、盲信せず真実を追究し、法の下公平に判断しようとする中佐。
人は信じたいものだけを信じようとすると言われますが
理性・良心、公平な気持ちを持って
真実とは何かを見極めようとする姿勢は
大事なんだなと思いました。
最後に、キャストがすごく良い映画でした。
特に、ジョディ・フォスターは
いい歳のとりかたをして素敵だなと思いました。
政府には一泡吹かせることができるが国民からは総反発をくらう
スラヒ氏の手記が出版されずこの作品も観なければ、グアンタナモに収容されているモーリタニア人のことなど関心もなく、テロ後の米国の人たちと同じようにアラブ人に対してネガティブな感情を持ったままであろう。
今よりもまだまだ報復の感情が納まっていないあの当時、無罪の確証もない外国人のために政府を相手にして、弁護を引き受ける。誰であれ裁判を受ける権利があるとの法に基づく信念。
たとえ上官の命令であろうと、無実であるかもしれない誰かを、誰でもを、死刑にはできないというキリスト教徒としての、法律家としての信念。
どれほどの拷問を受けて、理不尽に何年も拘束されても、許す(自由)という信仰と希望を忘れない信念。
(最後の法廷での彼の証言は感動的)
映画化にあたっても国民の反発や政府の圧力などがあるだろうに、こういった作品がメジャーな作品として制作公開されるのは、信仰や法に支えられた信念を持つ人が、クリエイターの中にたくさんいるからだろう。
アメリカの良心というか、こういう作品が時々出てくるアメリカってやはりすごいな。
若い人たちにこそ観てほしいし、観るべき作品だと思います。
実話です。疑わしい人物ではあるが14年も拘束されてしまうのは悲しい...
実話です。疑わしい人物ではあるが14年も拘束されてしまうのは悲しい。
主要登場人物は3人だ。9.11実行犯と関係があると疑われているモーリタニア人のモハメドゥ。モーリタニアはアフリカにある国だ。
そしてモハメドゥを起訴したい軍人スチュアート中佐。彼の友人が9.11のワールドトレードセンターに突っ込んだ飛行機のパイロットだった。友人の妻と自身の妻は同じ病院で働いているなどの理由から、モハメドゥを死刑にしたいと考えている。
最後にモハメドゥを弁護することになった弁護士ナンシー。彼女は人権に対する専門家だ。
スチュアート中佐は証拠集めに尽力するがなかなか決め手がなかった。
一方、ナンシーは政府から得られる情報は黒塗りされていて話にならない。従ってモハメドゥの供述で戦うしかない。
モハメドゥは徐々にグアンタナモ収容所での非人道的な扱いを受けたことを明かした。その事で、ナンシーは涙を流した。スチュアート中佐も自身の調査の中で軍の特殊聴取が行われていたことを知り、モハメドゥを起訴することを諦めた。
モハメドゥは結局起訴され裁判を行った。彼が拘束されてから7年も経つ。モハメドゥは裁判開始時に、どんな判決でも受け入れることと、裁判が開かれたことに感謝した。
結局、モハメドゥは無罪を勝ち取ったが、オバマ政権は彼を解放しなかった。釈放されたのはそれから7年後だった。
モハメドゥの母は亡くなっていた。悲しい話だと思った。14年は長過ぎる。収容所は独房でまともな人間の生活が出来るような空間ではない。彼は耐えた。
最後に解放され祖国に帰った時に、多くの人が喜んでいた姿を見て感動した。
モハメドゥにも落ち度はあった。彼は連行される時に携帯のアドレス帳を抹消した。こんなことをしたら証拠隠滅を疑われても仕方ない。
司法と言えばアメリカな気がしていたが、そうではないのかなぁという内容だったので、残念だ。
【恐ろしいテロを受けた"法治国家"アメリカが、国の威信をかけて行った非合法行為を暴いた作品。テロが惹き起こす負の連鎖を描いた作品でもあると共に、9.11を風化させない意義ある作品でもある。。】
- 冒頭、"これは、真実である。"と、テロップが流れる。
製作はBBCである。
アメリカでは、今作品は作れないだろう・・。
ウサマ・ヴィン・ラディン達が行ったアメリカに対する3000人が犠牲になったテロは到底許される物ではないが、アメリカの威信を掛けた報復の凄まじさは「ゼロ・ダーク・サーティ」で描かれているが、この映画で描かれたアメリカの非人道的な行為も、相当に恐ろしい。
又、この作品は9.11を風化させない(もう、あの同時多発テロから20年になるのである・・。)意義ある作品でもあると、思う。-
◆感想
・ジョディ・フォスターが演じる人権派弁護士ナンシーの弁護する相手モハメドゥ・スラヒ(タヒール・ラヒム)が、アルカイダと関連している可能性がある事を知りながら、彼の母からの弁護依頼を受けるシーン。
- 彼女の強い、使命感に基づく、リーガルマインド。
日本でも"何であんな奴の弁護をするのだ!"という声をたまに聞くが、どのような人間にも、人権はある。それを認め、正式な裁判を行うのが、司法が機能している法治国家なのである。-
・国の威信を掛けて、テロへの報復を望むブッシュ政権。
スラヒを死刑第1号にするために、死刑判決を期待される起訴を担当するスチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ:今作では製作にも関わっている。「クーリエ 最高機密の運び屋」でも、制作総指揮に名を連ねていた。名優の域に達しつつ、映画製作者としての気概も感じる。素晴らしい。)の苦悩する姿。
調査を進めるも、決定的な事実は出て来ない・・。
- 彼が法を学び、キリスト教徒でもあった事が大きいのだろう。
友人がハイジャックテロで殺害されたにも関わらず。
裏切り者と呼ばれながらも、彼が下した重大な決断。
彼のリーガルマインドの強さは立場は違えど、ナンシーと同じである。
二人のグアンタナモ収容所での夕陽を浴びながらの短い会話が、印象的である。
"友人を沢山失ったよ。""私もよ・・。"-
・ラムズフェルド国務長官の指示により行われた"特殊尋問"の恐ろしいシーンの数々。
苦痛を伴う姿勢で20H。強制的な性的行為の強要。轟音のヘビメタ。水責め。果ては、”母親をグアンタナモ収容所に連れてくる”という脅し。
ー 今作では、MFR(記録用覚書。尋問方法、証言内容の全てが記されている。)という言葉が頻繁に出て来る。ナンシーが開示を求めるも、殆どが黒塗りされている。
が、度重なる請求の末、MFRに書かれていた事。
”スラヒに騙された!”と厳しい環境下、ナンシーと共に調査を続けて来たテリー・ダンカン(シャイリーン・ウッドリー:好きな女優さん。嬉しい・・。)はブチ切れるが、ナンシーは、”貴方は、出て行って・・。”と、素っ気ない。
彼女には、スラヒが人格無視の、”特殊尋問”により嘘の証言をしたことが、分かっていたのではないか・・。ー
□違和感を感じた部分
・"特殊尋問"をした側に、心の傷は残らなかったのであろうか。「ゼロ・ダーク・サーティ」では、そこがキチンと描かれていた。
そして、モハメドゥ・スラヒの無罪が確定した際の、グアンタナモ収容所署員の態度の変化。
又、無罪を勝ち取ったにも拘らず、更に勾留が続けられていた事が、テロップで流されるが、ここは、キチンと描いて欲しかった。トランプが関係していると、私は思ったのだが・・。
<法治国家、アメリカがテロへの報復のために、暴走して行く姿をリアリティー溢れる拷問シーンの描写を含め、暴いた作品。
ラストに流れるテロップも実に恐ろしい。
救いは、自由になったモハメドゥ・スラヒさんの自由で、明るい故国で過ごす笑顔が観れたことであろうか・・。
第二次安倍内閣が2013年に強引に通した「特定機密の保護に関する法律案」という稀代の悪法がある日本も、他人事ではないなあ、と思った作品でもある。>
想像した展開では無いので、必然的に評価低くなってます
9.11の関係者と疑われ長年にわたりアメリカ政府に拘束され拷問うけるモーリタニアン人を弁護するジョディフォスターと、有罪にし死刑にしろと厳命を受け対立するベネディクトカンパーバッチの法廷サスペンスドラマ。とあり鑑賞。
???
法廷シーンは一切ありません。ジョディフォスターとベネディクトカンパーバッチの対決もありません。ましてや黒塗りの記録から推測される展開もありません。
ひたすら、拘束され自白を強要される拷問シーンや、過去の回想等でオイラが期待した展開ではありませんでした。
【以下、ネタバレ注意】
最初は、2人の怒涛の激しい対決から始まり、裁判の途中で、次第に疑問に思ってきてカンパーバッチが、改心していくというような物ではなく、いきなり上層部に反旗を翻すので、興醒めです。
実話?ということからそうなるんですかね?
そして、7年目で裁判に勝って自由を得て故郷に帰れるはすが、字幕で裁判に勝ったもののオバマ政権は、彼をさらに7年間拘束した。と出ます。
?
映画的にはそこから、さらに第2部が始まるんじゃないですかね?
どうやら本作は、そういう事実があったというような問題提起が主目的の映画のようです。
それにしても、ジョディフォスターをはじめ、本人とよく似た人をキャスティングしますよね。
自由=許す
モーリタニアン人、モハメドゥ・ウルド・スラヒ(タハール ラヒム)の無実を証明する弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディー フォースター)とテリー・ダンカンの功績は偉大な実話だ。ナンシーには自分の生活すらなく思えるし、無実を証明して、人の命を助けるために書類から証拠を導き出すため何年もかかっている。
この映画自体は米国政府の悪の温床グアンタナモ収容所で、無実の人間の命の尊さを証明できる貴重な作品だし、多言語に訳された、モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記により、もっと有名になった。でも、果たしてこの映画を2時間以上にする必要があったろうか?どこかを削った方がいいか考えてみたが? 私の心の中で迷いがあり結論付かなかった。
2つばかり感激したことを記しておく。
アメリカ同時多発テロ9.11に関与した疑いで逮捕されたモハメドゥ・ウルド・スラヒThe Mauritanian 。検事スチュアートコウチ(ベネディクト・カンバーバッチ)はモハメドゥ・ウルド・スラヒに対する軍の拷問や長期の隔離、極寒の気温やヘビーメタルを聴かせたり、母親の逮捕だけでなく死を脅かしたりなど、扱いが書かれていた書類を読んで、クリスチャンとして、人として、この場を立ち去し、同意できないから検事を降りるという正々堂々とした態度に好感が最ももてた。裏切り者と後ろ指を刺されながら、職場をさるが、そこには自分が何をしているのかわかっていて、自信が漲っていた。その後、彼は、この仕事を去っても、弁護士として、活躍していた様だ。
モハメドゥ・ウルド・スラヒは裁判すら受けられないまま、グアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていたが、2009年12月、裁判で法廷へのビデオリンクを介して証言することができた。このシーンも好きだ。
2010年3月、モハメドゥは手紙を受け取り、訴訟が成功したと知ったが、アメリカ政府が訴えたので、釈放されるまでには実際にはさらに7年かかった。それに、お母さんは既になくなっていた。
9.11の後の冬、私は友達にあいにベルギーに行ったが、EU入国はスキポール空港だった。その時の入国管理局での中東系の人々の列は長く、一人ひとりは9.11に関係していなくても、民族でこれだけの不条理があったから、攻撃された米国での軍の取り調べは想像がつくね。
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