モーリタニアン 黒塗りの記録のレビュー・感想・評価
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神ってなんでしょうね
十字軍の遠征までさかのぼる遺恨や、9.11に代表されるテロリズム。
けっきょく見つからなかった”大量破壊兵器”もグアンタナモでの拷問も。
スラヒが最後まで折れなかったのも信仰心からなのだろうし、
彼を拷問した人も、救った人も行動原理は信仰だったように思う。
スラヒは憎悪の連鎖を断ち切れたってことでいいのだろうか。
映画では描かれていない部分が気になってしまった。
「シネマ de 刑事訴訟法」としても優れた一本
〈映画のことば〉
「両親や親戚と七面鳥を食べたいなら、出ていって。疑念を抱いたまま弁護しても勝てない。私の時間を無駄にしないで、出て行って。」
〈映画のことば〉
「無実を信じていないなら、なぜ弁護する。なぜ、わざわざ悪党を助ける。」
「弁護される権利はある。」
刑事訴訟では、公訴官(日本では検察官)と刑事弁護人とは、刑事被告人の有罪を求める側と無罪を求める側ということで、いわば敵対関係として語られることが多いと思いますが、本作のような作品を観ると、公訴側と弁護側とが協力して事件の真相を解き明かそうとするのが、刑事訴訟手続の本当の理念であることが良く分かります(訴訟という場において、起訴状に記載された罪の成立及び求刑が妥当であることを主張するか、無罪…あるいはより軽い罪・量刑を主張するか、その立ち位置の違いだけ。)。
その意味では「シネマ de 刑事訴訟法」という観点からも、優れた一本だったと思います。
(追記)
まったくの余談ですが…。
本作では9.11同時多発テロに絡むアルカイダの一派の訴追をアメリカ軍が担当していることを、最初は奇異に感じました。
しかし、さすがに公判請求(起訴)まではできないものの、日本でも、自衛隊に対する犯罪は自衛隊(警務隊)も捜査ができますから、アメリカの場合は、そういう犯罪については軍隊が起訴までできるのかも知れないと思い直しました。
本作は、いわゆる実話モノということですから、その点にも脚色はないと考えていました。
全く碌でもない国…アメリカ
犯罪者と最初から決めつけ、偽りの罪を自供するまで拷問し続ける。
日本の警察が犯してきた冤罪事件と全く同じ構造。
脅迫、暴行、暴言、長時間にわたる尋問と無理な姿勢の強制、強烈な大音響や寒さで眠らせない、食事を摂らせない、遮音と遮光、強かんなどなど。
エンディングに、CIAも国防総省も非を認めず、拷問に関する謝罪もしていないとあった。
製作がアメリカでなく、イギリスというのもそういう事情からか。
こうした一連の罪業により、しばしば世界各国から怨嗟の対象になっていることの自覚がないようだ。
元アメリカ合衆国国防長官・ドナルド・ラムズフェルドはそもそもろくでなしだが、裁判が結審したにも拘らず、その後七年もの間収容所に拘束し続けた元アメリカ合衆国大統領・バラク・オバマも善人面した、どうしようもないクソ野郎だ。
情報公開は民主主義を支える、欠かせない支柱。 公開すべき情報を、形...
情報公開は民主主義を支える、欠かせない支柱。
公開すべき情報を、形だけ公開したポーズをみせる黒塗りは、日本だけでなく、USAにもあるのですね。
個人の順法の精神と、信仰心、倫理観が、システム、組織の都合より、上位の行動の動機にならないと・・・。
ジュディ フォスターがハマり役。
もう「タクシードライバー」から46年?
年齢相応になる訳ですね。
アメリカって恐ろしい
タリバンで訓練を受けていたってことは事実なようだが、それだけで拘束し、はっきりした証拠もないのに犯人扱い。アメリカとしてはなにが何でも犯人を挙げないと収集がつかない雰囲気で、誰でもいいから捕まえろって感じが怖い。認めるまでの拷問。ニュースでもそんな事が行われていると見たことはあるが、事実だったんだな。
確かにあのテロは大勢の犠牲者を出して酷い事件だったが、こんな事が行われていたとなるとどちらもどちらだと思ってしまう。
久しぶりのジョディー・フォスター、やはり存在感はさすが。とても良い歳の取り方、というのはあまりいい言い方ではないのかもしれないが、若づくりすることなく、シワがあっても美しいし品がある。
実話の持つ説得力と迫力がすごい
9.11の犯人の1人として投獄され、裁判もないまま拷問による自白を強要されて服役していた男の話。
そのとんでもない拷問は実話であるが故にものすごい重みを持つのだ。
世界中に衝撃が走ったあのテロ事件で、アメリカ人は誰かに罪を償わせたかった。そんな風潮もあったのだろう。
なんとしても起訴しろと言われた男と、人道主義に人生を捧げている弁護士の2人は、最初はそれぞれの立場で自分の役割を全うしようとしていた。
事実が明らかになるにつれて、2人の道は近づき信念に従って動き始める。
ベネディクトカンバーバッチも素晴らしかったが、なんと言ってもジョディフォスターが最高だ。素敵に年を重ねていて、相変わらず美しく強く、そして信念に満ちた目をしていた。
海の音は同じ
色々と話題になった9.11同時多発テロ関係者が収容されたグアンタモナ。テロにおける組織のリクルーターとされ捕らえられたモーリタニア人のモバメドゥを弁護する人権は弁護士、立件して死刑に持ち込みたい海兵隊検事、二つの側からこの収容所で行われた非人道的聴取が明かされていく。
何も関係ない人々が犠牲になったテロ、誰かに責任を持っていかないと気が済まない。その中で非国民と罵られながら現実を探る。今では明るみになった事であるがその映像をみるとなんともおぞましい。
アメリカがアルカイダを支援していた実体もある中、都合よく話を作っていく様はなんだも無様。我が国でも黒塗り文書があったりして何とふざけた事と思ったが、賢いと思われる人がこんな事やってちゃ世も末だ
イギリスでしか制作出来なかった
アメリカの制作の映画かと思いきや、
イギリスでしか制作出来なかった事が、
全てをものがったっていると思う。
裁判後も釈放に多くの時間を要したことに、
法治国家であるアメリカの影では汚いことも沢山しているであろう闇の深さを感じた。
人の道に非ず…
9.11は今でも衝撃的テロ行為で映像が脳裏にある。当然、テロリスト達を逮捕、実刑に処すことはあって然るべきだ。躍起になるのもわかる。しかし、映画ザ・レポートでもあったが無理やり自白強要する行為は正義と呼ばれるものではなく、非人道的行為だ。モハメドの語る再現シーンはおぞましく、胸にズシんと来るものであった。映画は一種の法廷闘争劇物ではなく、政府側であるスチュアート中佐の正義を貫く姿勢が最大のハイライトだと思う。被告の有罪無罪に因われず、あくまでも被告人の権利を主張するクールな弁護人ナンシーが、彼が受けた拷問を知り、寄り添うようになる姿も脚色あるかも知れないが良かった。この変わり様を演じるジョディ・フォスターはさすが。無罪になった後も長年拘束されたのが理不尽でならない。エンドロールで彼の笑顔が見れたのが救いだった。しかし、こうした拷問行為が余計に反米感情を生み出す負の連鎖に繋がると思う。
人権のない場所
拘束者の人権がないがしろにされるグアンタナモに不法に収監された拘束者と女性弁護士の戦いを記した手記に基づく実話。
彼は本当に無実なのか。揺れる弁護士事務所。じっくりとしたいい映画でした。
めちゃ社会派。それも最近の実話って。
犯人を逮捕する話ではなく、「拘束の不当性を証明する」。
なるほどね、と。
人権活動家の弁護士を、ジョディ・フォスター。
友人を9.11でなくした軍の代理人を、カンバー・バッチ。
どちらも渋い役。
容疑者への自白強要シーンは、ちょっとPG15っぽいところもあったし。
弁護士が情報開示を求めた資料が、黒塗りばかり。
「誰かが罰せられねばらなない、でも誰でもではない」。
これ、世界の司法関係者に訴えたい言葉。
実話でしかもこの6年ほど前の話。えええ!。
映画のストーリーは途中で終わっていても、その後どうなったかの本人登場。
もっと驚きました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「(アラビア語では)自由と許しは、同じ言葉」
政府が、国民が、ヒステリックになった時の恐怖
9.11の首謀者の一人として捕らえられたグアンタナモの捕虜収容施設に入れられた若者を救うべく奮闘する女性弁護士の物語。
実話に基づいたお話です。
女性弁護士を演じたジョディ・フォスターが主演ですが、国側の検察官として使命された海兵隊検事を演じたベネディクト・カンバーバッチ、捕虜となった若者を演じたタハール・ラヒム。それぞれが素晴らしい演技と存在感を魅せてくれました。
9.11という、ショッキングな事件。冷静さを欠いた政府と世論を向うにまわし、法を守るべく必死になる主人公が素敵です。
友人を失った恨みを捨て、上席からのプレッシャーに怯むことなく法律家としての矜持を守った検事が素敵です。
そして、数年に渡る拷問の中でも、英語を学び、希望を捨てなかった若者も素敵です。
ただ、wikkiを観ると、グアンタナモ釈放後に、テロ活動に戻った人も一定数いる・・・とのこと。必死になって助けた人がテロを行い大勢の人が殺される未来を想像すると、空恐ろしくなります。
私的評価は4.5。社会性が高く、極めて私好みの作品でした。
アメリカに人生を翻弄された男の戦い
911の事件に関わったとして、アメリカ政府から容疑を掛けられ
無実の為に15年間も拘束された人の話。
昔でなくて、つい最近までこれが事実としてある現実。
悪の枢軸としてでっち上げられたら、堪らない。
アマリカも何でも有りだと思ってしまった。
目が離せなかった
こういう映画を見る度に、目の前の情報や人の口にする言葉だけに惑わせれてはいけないと痛感する。
衝撃的な事件が起き、報道がなされ、容疑者が映る
報道は、少しでも興味を引く映像や言動にスポットを当て
そこを浮き彫りにして、さらに群衆を煽る
現在では、それがネットで拡散され、誹謗中傷や
炎上という現象が起きる
本当の真実はどこにあるのか、疑問も持たない者が
弱きを追い込む事もある
9.11では、中東系の人種差別が起き、映画の中にもあったが
何百人が拘束された
拷問し、精神的に追い込み、自白させ、死刑にさえ
しようとする
心情はわかる、理解出来ないが、実際に9,11の被害に遭った
方々やその家族、同僚にとっては同じ肌の色をした人は
同じように見えるのだろう
昔の日本にも、冤罪は多く存在した
追い詰め、暴力をふるい、自白を引き出す
生活環境や出自が、犯罪の根拠とされる事もあった
「その時間と労力を、真犯人探しに使えよ」と
腹立たしさすら覚える程だ
不都合な真実は闇に葬り、掘り出されない奥底に
埋没させようとする
それを掘り起こしたのが、今作である
スラヒ氏の忍耐と、臭いものに蓋をしてはいけないと
立ち上がった弁護士ホランダーの執念が見えた
現実には、そうやって有罪の者を無罪にしてしまう
事もあるのだろうと理解しつつ
エンドロール後に見せたスラヒ氏の笑顔が
この映画の根本的な意味なのだと納得した
ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバーバッチ
両俳優の演技は素晴らしいながらも、薄い印象を
受けるのは、浮き彫りにしたい事実を浮き上がらせる
為なのではないかと考えた
世の中から、不条理が減り、司法制度に本当の正義が
取り戻され、世の中から冤罪や誹謗中傷で苦しむ人が
少しでも居なくなる世の中を願いつつ
スラヒ氏と同じような境遇の人が、少しでも早く
苦しみから解放される事を心から祈る
この世の中には、苦しみを与えられて然るべき輩が
大手を降って、のうのうと生きているのだから
テロの犯人は処罰されなければならない。 しかし、誰でも処罰すればい...
テロの犯人は処罰されなければならない。
しかし、誰でも処罰すればいいというわけではない。
21世紀の米国で拷問による取り調べが行われていたという衝撃の事実は糾弾されるべきだと思う。
そして、裁判で無実が確定した後もなお7年間も勾留されていたという理不尽さ。
結果的に釈放されたからハッピーエンドということではなく、主人公が奪われた自由、被った精神的苦痛について、相応の補償をすべきだろう。
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