モーリタニアン 黒塗りの記録のレビュー・感想・評価
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憎しみの連鎖の果て
9.11はやはり憎しみの連鎖の帰結だったのだろう。複雑に絡んだ国際社会の欲望と思惑と過ちが、数々の悲劇と、憎しみを産み続けた。
信仰は人を強くするのだろうか。信仰は平穏をもたらすのだろうか?
現代に溢れる紛争や殺戮が、宗教の違いに根ざしていることを考えると、疑問に思わざるを得なかったし、今でもちょっと疑念がある。
しかし、この物語の主人公モハメドゥは絶望的な環境を乗り越えた。それは弁護士ナンシーとの出会いなど様々な要因はあるが、やはり彼の心の中にある信仰の力に依るものが大きいだろう。考えさせられた。
ナンシーが疑念を抱かなければ、この国家の犯罪は世に知られなかったかもしれない。しかし、一旦明るみに出れば、真実を追及するシステムが機能する国なのかもしれない。
当時ネオコンと呼ばれた米国の政治家達は、歴史に断罪されなければならない。そして、憎しみの増幅と分断を好むかのような米国前大統領は(未だ影響力を持っているようだから)警戒しなければならないと感じた。
アメリカ式海苔弁当
USAの根幹に関わる恥部,しかも解決済みの遠い昔の歴史ではない出来事は,自由の国アメリカといえどもスルーするのかも知れない。
それでも弁護士,軍の司法官の双方とも,情に流されず,あるべき職業倫理に忠実だったのは立派。
ジョディを見に行こう
相変わらずクールで切れ味はそのまんまなのが嬉しい限り。
その上、赤い口紅が白ブロンドに映えて、いささか皺の目立つ面差しも迫力満点で、人権派弁護士だけど冷静に案件をコントロールしていきます。
カッコいい!
一方
軍の中尉で被告を死刑にすることのミッションを帯びたカンバーバッチも派手な演技はないが、観客としてはエールを贈りたい。
グアンタナモについてほとんど理解していなかったのでこの映画で911に対するアメリカの強硬な決意が改めて突きつけられた。
最終的に拷問による自白で信憑性なしとして被告は釈放され、感動的な結末で終わりますが。
この背景を違う観点も織り込んだNHKBSで最近放送された以下のドキュメンタリーも併せて見て、この映画がめでたしめでたしだけではないことも忘れずにいたい。
BS世界のドキュメンタリー「“復讐”(ふくしゅう)からの解放〜グアンタナモ その後」
BBCらしいノンフィクション映画
こういうセンシティブな題材をアメリカメディアが制作出来ないのが何とももどかしいというか残念。
でも、アメリカにとっては敵国であったキューバにあったグアンタナモ基地というのはかつての沖縄とも違い、日本人にはなかなか理解出来ない存在なので、ある一面からとは言え、抉り取ろうとした映画作品というのは意味があったと思う。
物語はあくまでも、収容されていた本人の手記を元にした収容所の実相を描いているのであって同時多発テロへの関与が事実かどうかは定かでは無いということも押さえておきたい。(不起訴イコール全面的にシロではない)
それにしても、自身もムスリムにルーツを持つオバマがこの問題に後ろ向きだったというのも、アメリカという国の権力構造の複雑さを感じさせられる。
近代国家の人権について考えるのに良い教材
かなり硬派なテーマながら映画作品として良くできてる。
脚本がうまい。
911テロに関しては、事件から20年以上たちイスラム過激派の犯行というより、アメリカ政府内部の犯行という情報も多く出てきている。
としたら、どれだけ多くの容疑者を引っ張てこようとも証拠や証言を取れるはずもなく、無理やりにでも犯人をでっちあげる必要がある。そんな背景もあるのではないかと思う。
グアンタナモで行われていることを伝える作品
2001年の9.11、そして2002年1月に設立されたグアンタナモ湾収容キャンプ。テロへの関与が疑われた人々がアメリカ軍により拉致され、強制連行された。
今作はここに収監された一人のモーリタニア人と弁護士たちを通して、ここで行われていることをわかりやすく伝える作品。
今思えばブッシュ大統領が再選を果たした2004年にはイラクに大量破壊兵器がないこともグアンタナモでの人権侵害もすでに問題になっていた。なのでブッシュの再選は驚きだった。衝撃だった。
このとき多くのアメリカ人にとっての正義を知った。善悪という尺度では計れない、我々には決して理解することができない正義を知った。
そしてグアンタナモは今も閉鎖されることなく存続している。これがアメリカ🇺🇸という国家だ。
「ゼロ・ダーク・サーティ」のB面
まずは、ジョディ・フォスターも老けたね・・・・ま、私も老けたのでお互い様ですが・・・
本作品、実話と言う事で、2001年のアメリカのテロ事件の裏側としてのお話と言う事で大変に楽しみにしていました。
「ゼロ・ダーク・サーティ」がA面なら、本作品は、そのB面に当たるでしょうか、取り調べを受けている側の方も、「ゼロ・ダーク・サーティ」に主演している人に何とも似ているので、私にとっては、「ゼロ・ダーク・サーティ」の裏側を見ているような気がしてなりません。
しかし、見ているこちら側でも、本当の正義ってなんだろうと思うのですが、事実上、戦争になると、何が正義で何が悪と判断しても、判断出来ないだろうと、戦争を仕掛けた側にも仕掛けられた側にも、正義もなく、ただただ重い責任だけがあるような気になりました。
映画の内容の方は、淡々と出来ていて、私的には、少しだれるかな・・・・
「ゼロ・ダーク・サーティ」の方は、凄くテンポが良かったので、凄く面白かったですが、本作品の方は、話が淡々として、何だか、やりきれなさだけが残りました・・・・
ジョディ・フォスターを含め芸達者が出ているので、安定して見る事も出来ました。
ヤクザ国家アメリカ
実話なんだってね〜、これ。
ヤクザ国家アメリカの暴力をイギリス国営放送が検証する作品。
9.11が自作自演だと言われるのも仕方ない。
イラクには大量破壊兵器がなかった。
大暴れしといて悪びれもせず相変わらず世界中に派兵しては暴力という国力を駆使し続けている。
イギリスは参戦してしまったことの懺悔からか?ず〜っとメディアがイラク戦争について検証を続けている。このアメリカとイギリスの差は凄いよね。
アメリカの属国・日本も検証してないね。残念。
ブッシュとラムズフェルドの闇ビジネスと極悪ぶりについては
「バイス」をみてください。
人権を無視した極悪非道の暴挙の数々に
泣いた人がどんだけいるのか?
ヤクザ過ぎるだろアメリカ!
それにしてもジョディフォスターはいくつになっても名優ですわ。
その年齢でしか演じられない役、芝居を見せ続けてくれてる。
更に老けて、どんな名演技を見せてくれるか楽しみ。
散らかっちゃったけど、まとめると…
9.11を風化させないように、アメリカに調子のらせないように
世界中が観ておくべき映画。
難しい政治
はじめから中ほどまでは政治の話で難しくウトウト。だが、後半からキツ目のドキュメントで目が離せない。ひーさしぶりのジョディ・フォスター。弁護士役にしっかりはまって 安心な演技に懐かしさが蘇った。しかし、主人公の実物の男性のノンフィクション半生がヤバし。彼の素晴らしい人間性にアメリカ軍の悪さが引き合いに出てしもた。人種差別は永久になくならんのかなぁ。
エンドクレジットのリアルスラヒの笑顔
9.11の後、裏にはこんなに恐ろしい事件があったとは、、、
国家をあげての陰謀、裁判すら受けられない拷問と虐待が行われているグアンタナモ米軍基地、目を塞ぎたくなるほどの衝撃と悲痛な拷問の恐ろしさを巧く映像と音楽で表現している。
弁護士ナンシーの信念とカンバーチッチ演じるスチュアートの正義感に心揺さぶられた。
まぁ、こんなの氷山の一角だよね。
ラスト、実際にスラヒの姿が映し出されます。
このストーリーを知らなければ天真爛漫な表情と笑顔で歌うボブディランの歌を歌う彼の姿から、まさかこのような壮絶な地獄を経験した過去があるとは誰も思わないでしょうね。
オフィシャル・シークレットとの二本立て決定です
モーリタニアというと一番身近に感じるのはタコ🐙。いつもお世話になっております。モーリタニアンに蛸壺漁を教えたのはJICAの日本人。たった一人で派遣されたらしい。えらい❗
アメリカ軍の収容キャンプがなぜキューバ(社会主義国)のグアンタナモというところにあるのか?
普通の拘置所や刑務所とはどう違うのか?
ドイツ留学経験のある優秀な青年がなぜ9.11の主犯格に疑われたのか?(優秀であるが故なんだろうけど)
ジョディ・フォスターの素晴らしい演技にもかかわらず、難しい会話の多い前半は睡魔に襲われてしまった。
9.11はアメリカにとっては戦争認識なんだろうけど。
モーリタニアの青年を監禁して拷問することは民主国家とは全く別モノ。国家の有事と認識することにより大抵のことは正当化されてしまう恐ろしさ。
カンバーバッチ扮する海兵隊検事であるスチュワート・カウチ中佐が、有罪にするには確固たる証拠が必要だと、人権派の弁護士以上の生真面目さと良心でとても好感度アップ。クーリエ:最高機密の運び屋では拷問される側で凄いダイエットだったのもよくわかる。
尋問の記録 MFR。あんなに黒塗りじゃ、全然わからない。わかるのは恐ろしいということ。
長い拘置期間中の過酷な尋問(拷問)に耐えられたのは彼個人の強さによるところが大きく、大抵の容疑者は耐えられないと思う。実際の本人の映像を見て、あぁ、この明るい人だから耐えられたのかなと思った。信仰心も大きい。最後のご本人映像に救われた。モハメドゥ・オールド・サラヒよくぞ死なずに生還してくださった。獄中の手記がナンシーの手に渡らなければ、解決できなかったし、この映画もない。
拘禁による幻覚?のシーンは映画における重要な表現手法で見せ場でもあると思うが、キャットウーマンみたいなかぶりモノの女性軍人を使った色仕掛け(性的暴行)が実際あったか???単なる幻覚か???
母親を逮捕して囚人に集団レイプさせると脅すなんて、なんてケダモノ!
サラヒ役のタハール・ラヒムはフランスのアルジェリア系のイケメン。ニューヨーク親切なロシア料理店でも主役だった。当初、オフィシャル・シークレットのメインキャストに決まっていたらしい。
事実に基づく内容で、スジに起伏が乏しいので、映画としてはあまり面白くはないが、ジョディ・フォスターが引き締める。
ジョディ・フォスターが出てるけど、これはアメリカ映画ではなく、イギリス映画。
政治映画ではなく人間性についての映画
ある日突然、911テロのリクルーターの嫌疑で捕らえられたモーリタニア人のサラヒ。
物語前半では、サラヒが潔白かどうかについてはあえて明示しないまま、彼がグアンタナモ収容所に送り込まれるまでの出来事を比較的淡々と描く。
後半で、彼が収容所で受けた仕打ちとその後の顛末が明らかになる。内容のインパクトもさることながら、「自由の国」アメリカの中枢で横行する隠蔽体質と同調圧力に唖然とするしかない。
それにしても、黒塗りで開示したとはいえ、あんな暴虐を一応文書にして残すというのは、褒める気は全くないが内容と事務処理の几帳面さのギャップがすごいなと思う。外に出せない内容と自覚しながらも、内輪の倫理では正当な行為という認識だったのだろうか。
黒塗りの記録なんていうと、日本政府絡みの報道を連想する人は多いだろう。だが結局、特定の国家の特性というより、人間の作る組織ならどこでも起こり得ることではないか。
マクドナルド監督は、本作を「政治映画」ではなく「人間性」についての映画だと述べている。どの立場の人物も、正しいことをやろうとしたんだということは理解しておくべきだと。「無実のテロリストが善で、アメリカ人はみんな悪」というのも違う、現実はもっと複雑だとも言っている。
視点の偏りを減らすよう配慮しながら、エンタメ要素も大切にしたメインストリームの映画に仕上げる。このバランス感覚が素晴らしい作品なのだ。
それを、日本版公式サイトに掲載された識者コメントのいくつかや、リンク先の記事の一部が自身の政治的主張と結びつけ、台無しにしている。こういった題材の作品がそのように利用されることは避けられないが、少々残念だ。
911がアメリカ人に与えた衝撃は、日本人の想像を絶するものがあるだろう。
カウチ中佐はこのテロで親友を失い、スラヒを死刑にするための弔い合戦のような心持ちで裁判に臨もうとした。彼は幸い遺恨を凌駕する良心の持ち主だったが、これはむしろ稀有なことだ。
テリーは、そこまで強くいられない普通の人間の象徴だ。彼女の心の底にも、アメリカ人として911で受けたショックがわだかまっている。だから、弁護する立場でありながら、サラヒが犯人と思わせる文書が出てきた段階で一度は耐えられなくなった。
法律家としてどうなのかという見方もあると思うが、カウチ中佐のような揺るがぬ良心や、ナンシーのような強固な信念を持つ人間は少ない。テリーの弱さは駄目なものとして描かれたわけではなく、この物語を勇者だけのものにせずリアリティを担保する役割を果たした。
テロでアメリカ人が受けた心の傷は深い。それでも、恨みを晴らすために必要だからと無差別に生贄を作り出してはならない。誰もがそういった誤りに陥る心の弱さを秘めているからこそ、一人一人が自戒することでしか負の連鎖は断ち切れないのだ。
エンドロールで流れる、モデルになったスラヒ本人の明るく穏やかな姿に心が和むと同時に、無実の罪を着せることの残酷さに一層心が痛んだ。
なお、ストロボのような激しい光の明滅が結構長く続くシーンがあるので、苦手な人は注意してください。
ジョディ・フォスターは、羊飼いの沈黙のままの清楚さで、まずそれにう...
ジョディ・フォスターは、羊飼いの沈黙のままの清楚さで、まずそれにうたれる。
ラストシーンで本人が出てくるけど、底抜けに明るい。人間の希望を感じる。
真実の重みに打たれた映画。
マルセイユとのシーンも印象的だ。
フォスターが、辞任したロイヤーとの語らいの中で見せる笑みはとても良かった。
ラストシーンで出てきた、本物の弁護士はもうちょっと大雑把な感じ。でもフォスターよかった。
法治国家USAにおける21世紀の魔女狩りの衝撃の事実と『法』に誠実で忠実であろうとした二人の法律家の姿に言葉を失う。
①9.11は確かに世界史に残る惨事・悲劇ではあるけれども、9.11に至った背景を知り、9.11以降の世界を目の当たりにしている今となっては国の威信を保つため世論を背景にUSA政府が行った落とし前を付けるだけの目的で人身御供(人柱)を立てようとしたやり口に慄然とせざるを得ない。②
これが実話なんて、たまんないよ
こんな現実絶えられない。一人一人の人生を奪う戦争が醜い。誰が誰の為に戦ってるんだ?最前線の兵士達が帰還して精神が狂うのもわかる。どうか、穏やかで平穏が訪れますように。
人権弁護士の姿、あんな信念持ちたい。『友だち少ない』上等だよ、信念貫く方が人を助ける方が正しい。
実話をドラマティックに作り上げた傑作
グアンタナモに収容されていたモーリタニア出身の男性の手記を映画化した作品。
本作は、実話を基に、と言うよりそのまま実話のような感じであった。
時間軸を色々使い分けて、かなりドラマチックに展開しており、2時間越えの作品であるが、
全く飽きを感じさせない力作。裁判に関する作品であるため、言葉が難しく、結構理解するのに大変かと思ったが、本編の芯はしっかりしてあり、なかなか見ごたえのある作品だった。
原告側と被告側の弁護人が真実を追求していく上で、とんでもない事実を知っていく様は、これまでの裁判系の映画ではあまり見られないような内容だったし、名優たちの熱演も素晴らしい。
裁判でのモハメドゥを演じたタハール・ラヒムのスピーチは感動ものだった。
「ゼロ・ダーク・サーティ」を思い出させる拷問シーンは、本当に常軌を逸したものだし、看守側の心理もかなり異常だったことがわかる。しかし、あれが本当なら米国は人権侵害で訴えられてもおかしくない。そして、今作ももしアメリカ人監督ならこういった描き方は出来なかったかもしれない。
決して人ごとではない
世界の奴隷制度を語るとき、モーリタニアは必ず話題に上る国だ。国として表向きは奴隷制度を廃止したと言っているが、実際には続けられているらしい。モーリタニアは日本と無関係の国ではない。スーパーで蛸を買うと、大抵は原産国がモーリタニアとなっている。
本作品を観て、米軍に法律家がいることに驚いた。そもそも軍隊に法律家がいるのは矛盾そのものである。軍隊は人を殺す組織だ。軍隊の訓練は殺傷武器や大量殺人兵器や乗り物などの使い方、建設技術と破壊技術、近接格闘術、サイバー攻撃、他人を操る心理技術などで、あとはそれらの技術を支える体力づくりである。法律の知識は軍隊の訓練にはない。そもそも人を殺すことを善としている以上、殺人を悪としている共同体の法律では裁かれない。そして米軍の最高司令官は大統領である。
本作品でベネディクト・カンバーバッチが演じた軍の法律家スチュアートは、軍に入ってから法律家になったのではなく、弁護士資格を持つ法律家が軍隊に入ったのだと思う。軍務に就いていることには矛盾がなかっただろうが、法律家としての働きを求められた途端に、自分の存在の矛盾に悩み始める。そして法律家としての意志が表面化する。自分は真実を知りたい。
真実を知りたいのはスラヒを弁護することになったナンシー・ホランダーも同じである。法律家としての冷静さと人道的な弁護士としての熱さを兼ね備えた複雑なヒロインをジョディ・フォスターが見事に演じている。美しい青い目は昔のままだ。
世界は軍と弁護士のように、矛盾を抱えている。人を救うはずの宗教であるイスラム教徒がスンニ派とシーア派に分かれて対立しているし、紛争地域に手を突っ込むアメリカとロシア、それに中国がいる。武器商人は武器を作り続け、劣化して使用期限が切れそうな武器をあちこちに売り捌く。やがて軍産複合体となった巨大な利益集団は、世界中から紛争の火種が消えないように、火を付けて回る。末端のサラリーマンはただ熱心に商品を売っているだけだし、軍の下っ端は目的もわからずに派遣されて人を殺す。
頂点に立つはずの大統領も、軍産複合体の意向を無視できない。当時史上最悪の大統領だったジョージ・ウォーカー・ブッシュ・ジュニアからバラク・フセイン・オバマに代わっても、軍産複合体を解体するようなドラスティックな改革は出来なかった。
モーリタニアはアフリカの国らしく政情不安が続いて政策はブレにブレている。国内の治安も悪い。しかしスラヒはモーリタニア人でも抜群に優秀で、アラビア語だけでなくドイツ語やフランス語を話せるし、尋問を受けている間に英語も習得してしまう。並大抵の頭のよさではない。本作品は、才能に溢れたモーリタニアの若者が、アメリカの軍産複合体によって無為の15年を過ごしたという話で、バカが利口を支配するという、世の中に溢れている事例のひとつである。
これからも世界はバカが利口を支配し続ける。それはバカを支え続けるバカがいるからである。人はパンの前には自由と権利を投げ捨ててバカになるのだ。人ごとではない。元からバカな人はしょうがないが、利口な人はパンのためにバカにならないように身を引き締めていなければならない。アベシンゾウやアホウタロウが20時に当選確実が出るような選挙をしている国では、スラヒの権利は守られない。名古屋の入国管理局の牢獄で殺されたウィシュマさんは、スラヒと同じ目に遭ったのだ。繰り返すが、本作品の出来事は、決して人ごとではないのだ。
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