「生き地獄と芯」プロミシング・ヤング・ウーマン ねぼすけ。さんの映画レビュー(感想・評価)
生き地獄と芯
基本的に洋画が得意ではなく、なんなら苦手意識まである私ですが、最後まで飽きずに疲れずに見られました。
ラランドのサーヤさんが最近見た映画として紹介していたのが視聴のきっかけ。
エンディングについて賛否両論に見えましたが、私はあそこで死ねただけ楽になれたのかもと思ってしまう。
始めから彼女の死と復讐(どこか更生を願いながらも)を人生の軸に置かずして生きられず、それ以外の息の仕方が分らなくなっていた主人公が、最後に彼女の為に犠牲になる。掘り返されるであろう事件への世間のバッシングを浴びずにいられるのなら、女の地獄を多少感じずにいられるのかもしれないと。
胸糞悪いまま終わるのかと思ったのもつかの間、万が一に備えて用意周到に詰めていた主人公の賢さと執念と芯の強さには拍手喝采。ライアンが助けに来ないところも含めて人間そんなもので、人はそんな簡単に変わらない。人間のリアルだと思うし、分かっていたからこそコーヒーに唾を吐けた。
彼女は生の苦しみの最中、動画で事実を知った、あの時の彼からの裏切りと自分の期待の崩壊、覚悟があるからこそエンディングなんだと思う。
私は何より、主人公の死よりも最後の最後に主犯格かつ1番最低なジョーが逃げ出して世に放たれたままなことに吐き気がする。いつか、彼の関わりも明らかになるでしょうが、きっとアルよりも重い罪にはならない。そう思うと罪と向き合うべき人が軽んじられ飄々と責任や後悔を持ち合わせず生きられると想像するといたたまれない思いです。
親友の傷を飲み込めないことに口出しせず見守れる両親の強さと、主人公への信頼と愛情を節々で感じるところが1番の救い。彼らが辛い目にあう未来が来ないでほしいと願うばかり。願うだけ。現実はきっと甘くない。
あと、個人的には、使われている英語が簡単で眠くならなかったのが素晴らしく高評価。